米FCCがABCのトーク番組を「イコールタイム・ルール」抵触で調査開始

編集広報部
米FCCがABCのトーク番組を「イコールタイム・ルール」抵触で調査開始

米連邦通信委員会(FCC)は1月に地上波テレビに「イコールタイム・ルール(equal time rules、平等な時間ルール)」の遵守を求める指針を示したが(既報)、FCCのブレンダン・カー委員長は2月18日、ABCの昼のトーク番組『The View』が同ルールに抵触したとして、調査を開始したことを英ガーディアン紙に明らかにした。

問題となったのは、2月2日の『The View』にテキサス州の連邦上院議員候補ジェームズ・タラリコ氏(民主党、現テキサス州議会議員)が出演したことだ(冒頭画像の上段2枚=タラリコ氏が出演した『The View』/YouTubeの番組公式チャンネルから)。11月の中間選挙に向けて米国各州で予備選挙が進むなか、保守優位とされてきたテキサス州が革新へと傾きつつある動向が全米の注目を集め、3月3日の上院選予備選を控え候補者のメディア出演も活発化していた(同日の民主党予備選でタラリコ氏は勝利)。

イコールタイム・ルールは放送局が特定の選挙候補者に出演機会を与えた場合、対立候補者にも同等の放送時間を提供することを義務づけるもの。対象は地上波放送のみで「正規のニュース」などは例外枠とされる。今回焦点となったのは『The View』がこの例外に該当するかどうか。カー委員長は同番組を「正規のニュース番組ではない」「放送事業者に説明責任を負わせる」と強硬だった。当初は同ルールの実効性や強制力を疑問視する見方もあったが、これで規制の具体的なリスクが現実味を帯びてきた。

この動きは深夜番組にも波及した。CBSの深夜トーク番組『The Late Show with Stephen Colbert』もタラリコ氏へのインタビューを収録したが、局の「法務的な判断」で予定されていた2月16日の地上波放送が見送られた。CBS側は「法的ガイドラインを助言したに過ぎない」と説明しているが、司会者のスティーブン・コルベア氏には知らされておらず、その後の番組内で「政治的圧力に屈した」とCBSの対応を批判した。地上波で放送されなかったこのインタビューは、YouTubeの番組公式チャンネルやSNS上で爆発的に拡散。米オンラインメディアVarietyによると、関連動画は公開後48時間で530万回以上視聴されたという(冒頭画像の下段㊧=『The Late Show』に出演したタラリコ、コルベアの両氏。同㊨=FCCのカー委員長の姿勢に言及するコルベア氏/YouTubeの番組公式チャンネルから)。地上波が規制強化の対象となる一方、配信プラットフォームには同様の制約が及ばないという制度上の非対称性もあらためて浮き彫りになった。

この件をめぐってFCCの内部でも対立が顕在化。カー委員長は規定の厳格運用を支持する一方、アナ・ゴメス委員は「政権による言論への検閲に屈した」との声明を出し、カー委員長とCBSの対応を厳しく批判している。

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