FCC委員長、放送の政治広告にAI使用の情報開示義務を提案

編集広報部
FCC委員長、放送の政治広告にAI使用の情報開示義務を提案

米連邦通信委員会(FCC)のジェシカ・ローゼンウォーセル委員長は5月22日、ラジオとテレビの選挙・政治広告にAI(人工知能)が生成したコンテンツが含まれる場合、その旨をオンエア時などに開示するよう義務づける規則案を提案した。

大統領選挙を控え、生成AIによるディープフェイク(虚偽の画像や動画・音声)が氾濫することを同委員長は問題視していた。対象となるのは地上波・ケーブルテレビ、衛星放送とラジオ局における選挙候補者とその公約・争点に関する広告だ。ただし、政治広告へのAIそのものの使用を禁止するものではない。

6月5日にオンラインメディア「US News」主催の「The State of Equity in America」に出席したローゼンウォーセル委員長は、「視聴者の知る権利を保障するための提案だ」と話した。これまでFCCは全ての選挙広告に対して、スポンサーや金額、放送日などの開示を求めており、「同じことをAIの使用にも行うべきと考えた」と説明した。同委員長はまた、1月にニューハンプシャー州の予備選挙でバイデン大統領の声をまねたAI音声による虚偽の自動電話で有権者に「投票するな」と呼びかけた事案を違法としてFCCがすでに対策を講じていることにも言及。連邦政府と州政府が超党派で取り組むことで、規則の目標を達成していきたいと意欲を示した。

一方、5月の提案が発表されて以降、米連邦選挙委員会(FEC)のショーン・クックシー委員長(共和党)は「政治運動に混乱をもたらす」と非難し、対案を検討しているとも伝えられる。また、インターネットやソーシャルメディア上の動画広告はFCCの管轄外のため規則の対象外となる。それでも、「この提案が通れば、(オンラインプラットフォームでの)AI利用開示の土台はできる」とローゼンウォーセル委員長は話している。

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