米トランプ大統領がニューヨーク・タイムズを提訴 地裁「訴状は不適切」と再提出命じる

編集広報部
米トランプ大統領がニューヨーク・タイムズを提訴 地裁「訴状は不適切」と再提出命じる

ドナルド・トランプ米大統領は9月15日にニューヨーク・タイムズ紙(NYT)と記者4人に加え出版社ペンギン・ランダムハウスを名誉棄損で訴えた。同19日にフロリダ州中部地区米連邦地裁はこれを棄却。スティーブン・D・メリーデー判事は「訴状は冗長で容認できない」として28日以内に訴状を修正して再提出するよう命じた。

トランプ大統領は、2024年の大統領選前に掲載されたNYTの記事や社説、さらにラス・ビュートナーとスザンヌ・クレイグの両記者による書籍を「悪意に満ちた中傷的内容」「大統領選を妨害し職業的・事業的利益に甚大な損害を与えた」と主張。150億㌦(約2兆2,500億円)の損害賠償を求めた。

しかし全85㌻に及ぶ訴状のうち肝心の名誉毀損を主張したのは80㌻目から。その前段はトランプ氏自身への賛辞やメディアへの不満が延々と記されていたという。判事は訴状を「悪口や非難を公に述べる場ではない」「簡潔かつ明瞭な主張を記載すべし」として、再提出する場合は40㌻以内に収めるよう求めた。

NYTは「今回の訴状を政治的な文書にすぎないと断じた判断を歓迎する」とコメント。トランプ大統領の弁護団は「フェイクニュースの責任を追及し続けるために再提出する」と表明した。大統領側が主張するようにNYTの報道内容が名誉毀損に当たるかどうかは、再提出後の審理に委ねられる。

トランプ大統領のメディア攻撃はCBSの『60ミニッツ』訴訟(既報)以降も続いており、今年7月にはジェフリー・エプスタイン氏(未成年者の性的人身売買などで起訴され獄中で死亡した実業家)との関係をめぐる記事でウォール・ストリート・ジャーナル紙を提訴。報道内容を理由にABCニュースを訴えた事案では『60ミニッツ』と同じ1,600万㌦(約24億円)の和解金を得ている。NYTへの訴訟も初めてではなく、2021年には財務履歴をめぐる調査報道を提訴したが棄却され、2020年には大統領選に関するオピニオン記事をめぐってトランプ陣営が提訴したがこちらも却下されている。

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