11月20日から始まるFIFAワールドカップ カタール大会。米国での放送権を持つのは、FOXコーポレーション傘下のケーブル局FOXスポーツと、コムキャスト傘下のスペイン語放送局テレムンドだ。この2局が全64試合を生中継する。
11月に入りFOXスポーツが、全試合を4K/HDRで撮影し、全米に生中継することを発表している。スタジオ番組も同様に、従来の2K/HDRから4K/HDRにアップグレードして放送する。ケーブルでの中継以外に、FOXスポーツアプリで配信するほか、同じくFOX傘下の広告入り配信サービスTubiのW杯専用FAST(=Free Ad-Supported Streaming TV)チャンネルで、全試合のリプレーを無料オンデマンド配信する。
ライブスポーツ配信のFuboTVも11月初旬、高額プラン向けに、英語中継される試合を4K/HDRでライブ配信すると発表している。FuboTVは2018年W杯ロシア大会でvMVPD(ネット経由でテレビコンテンツを同時配信)として初めて4Kでストリーミング配信を行い、22年の冬季五輪も4K/HDRで配信している。
今大会中は、カタール・ナショナルコンベンションセンターに放送センターが置かれ、75カ国の放送局がここに集結する。FOXスポーツは10月初旬から現地に150人以上のクルーを送り込み、このコンベンションセンター内に送出設備を置くなど4K/HDR中継に備えている。
国際サッカー連盟(FIFA)によると、今大会の世界中での視聴者数予測は50億人と記録的な数にのぼる。米コンサルタント会社のアルトマン・ソロンが17カ国1万7,000人を対象に行った調査でも、世界のスポーツファンの今大会への高い注目度が示された。アメフトや野球、バスケットボールに比べるとサッカー人気が低い米国でも、スポーツファンのほぼ半数(45%)が「W杯を見る」と答えている。ホリデーシーズン中の開催であることから、広告収入でも放送局に利をもたらすだろうと分析している。
このほか、アルトマン・ソロンの調査で、米国のスポーツファンの動向を世界各国と比較した以下のような結果が示された。
・W杯に「強い関心がある」と答えたのは28%で、イタリアの26%を上回った。
・26%が「お金を払ってでもW杯を見たい」と答えており、イギリスの24%を上回った。ブラジルは58%、UAEは70%だった。
・「全試合を見る」と答えた熱狂的なファンは13%。南米やUAEよりも低いが、サッカーの本場イギリス、フランス、イタリアとはほぼ同水準だった。