ニューズとFOX 再合併の検討を発表 両社の成長分野拡大を狙う

編集広報部

「メディア王」ルパート・マードック氏が会長を務める2大メディア企業ニューズ・コーポレーションとFOXコーポレーションの合併を検討していることが1014日、明らかになった。2社それぞれが取締役による特別委員会を構成し、合併による利益・不利益を検討したうえで決定するとしている。

この発表から4日後、米オンラインメディアAxiosが関係者筋からの情報として伝えたところによると、2社が合併した場合、おそらくはニューズ・コーポレーションの名でオーストラリア証券取引所(ASX)に上場するとみられている。合併の目的は、スポーツ賭博と書籍出版事業の拡大にあると言われている。

現在ニューズ・コーポレーションの傘下には、ウォール・ストリート・ジャーナルの発行元ダウ・ジョーンズ社、出版事業のハーパーコリンズ社、イギリスとオーストラリアの新聞社などがある。FOXコーポレーション傘下には、ケーブルニュース局のFoxニュース、Foxスポーツ、地上波局のFoxネットワークと全米各地のローカル局、配信サービスTubiなどがある。1014日現在の時価総額はニューズ・コーポレーションが90億ドル、FOXコーポレーションが170億ドルで、合併後は300億ドルになると見込まれ、Warner Bros. Discoveryとほぼ同程度の規模となる。今回証券取引所に提出された書類によると、マードック一家の議決権保有比率はニューズ・コーポレーションが約39%、FOXコーポレーションが約42%となっている。

マードック氏は2013年、自身が保有するメディア企業を出版事業のニューズ・コーポレーションと、エンタメ・放送事業のFOXコーポレーションに分割している。2019FOXコーポレーションの娯楽部門(21世紀Foxなど)をディズニーに売却した後は、ニュース報道とスポーツ中継にフォーカスしていた。分割から10年も経たずに再度合併を検討する背景には、2社それぞれの成長株である事業を、より効率よくグローバル展開していく、という目的がある。例えば、以下のような事業展開を想定しているようだ。

・近年、ケーブル局FOXニュースは出版部門を立ち上げ、キャスターらが執筆する書籍を積極的に出版して売り上げを伸ばしている。ニューズ・コーポレーションのハーパーコリンズ社と連携すれば、さらなる展開と売上増が期待できる。

・ニューズ・コーポレーション傘下のオーストラリアのテレビ局Foxtelは、スポーツ賭博事業を展開中だが、これをFox BetFOXスポーツと賭博企業The Stars Groupとの提携による)と統合させることも可能となる。

一説には、ルパート・マードック氏の長男ラクラン・マードック氏が、合併後の企業の経営権を握ることに意欲的だと言われている。ラクラン氏は現在、父とともにニューズ・コーポレーションで共同会長、FOXコーポレーションではCEOの役職に就いている。

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