ディズニーが7月27日、傘下の配信サービスHuluでの政治広告を解禁すると発表した。Huluは人工妊娠中絶の合法化と銃規制強化をうたった民主党の選挙運動団体の広告を拒否したことで、ユーザーから激しく批判を受け、解約運動まで起こっていた。
背景には米最高裁による中絶違憲判決と、米国で頻発する銃乱射事件がある。基本的人権としての中絶を再度合法化することと、機関銃のような軍用武器を規制し違法化することは、11月の中間選挙における民主党の2大論点。そのキャンペーン広告の拒否は、検閲行為に値するというのがHuluユーザーから挙がった訴えだった。
アメリカでは法律により地上波ネットワークは、どんな内容の政治広告であっても放送を拒否できないが、ケーブルや配信にはその法律が適用されないという事情もある。そのためHuluは長年、政治広告を拒んできた。しかし、親会社ディズニーのESPN、FXといったケーブルネットワークではこうした政治広告は放送されており、今回の解禁でHuluの広告ガイドラインはそれらと同調する内容に変更された。
ディズニーはHuluでの変更を発表するにあたり、年末にかけてサービスを開始するDisney+の広告入りプランには、かねてからの発表とおりアルコールや政治広告は一切流さないことも明言している。
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今年の中間選挙は、CTVと配信が初めて大きな広告シェアを獲得することが予測される。2018年の選挙では目にしなかったCTVや配信の選挙広告が、今年はケーブルを上回るとの予測もある。