放送の裏側 "技術"を語るラジオ番組(ラジオ沖縄、IBC岩手放送、ラジオ関西)

編集広報部
放送の裏側 "技術"を語るラジオ番組(ラジオ沖縄、IBC岩手放送、ラジオ関西)

放送技術に着目したラジオ番組が、ラジオ沖縄、IBC岩手放送、ラジオ関西で放送されている。それぞれの担当者に番組のきっかけや込めた想いを聞いた。番組開始順で紹介する。


ラジオ沖縄の『ROK技術倶楽部』(日、24・00―24・30)は、同社の技術管理部に所属する塩川拓弥氏、金城信秀氏、西原正太郎氏の3人がラジオ放送の裏側から見ている景色をマニアックに語る。

2020年6月の沖縄県議会議員選挙特番の際、塩川氏がミキサーを担当し、金城氏、西原氏はその様子を見学していた。3人の会話をディレクターとして横で聞いていた当時の制作部長・前川英之氏(現社長)からの「面白いから放送技術の番組をやってみてはどうか」という話が番組のきっかけ。冗談かと思っていたら、タイトルや放送時間、コーナーの詳細がいつの間にか決定、いつでも番組をやめられるようにと日曜日の放送休止時間前の最後の枠で、同年7月5日からスタートした。

類似の番組はなく手探りの状態で始まったが、番組開始前から多くのメールが届いた。収録はスタジオではなく、各自のデスクに毎回マイクを設置して、業務の空き時間に行う。塩川氏が副部長に昇進し、同席が難しくなったことで金城、西原両氏での収録が多くなっている。同社が九州朝日放送(KBC)から譲り受けて使用していた中継車「ブルービー」が老朽化により廃車が決まり、最後に車内で収録した放送回はKBCからも連絡があり、反響が大きかったという。

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<デスクでの収録風景

番組について西原氏は「放送技術の面白さが伝わるといい。番組中の音楽にもこだわっている」、金城氏は「あまり表に出ない放送の裏側、特に放送技術の部分について、番組を通して興味関心を持ってもらいたい」とそれぞれ述べた。

IBC岩手放送の『おしゃべり技術くん』(木、12・45―13・00)は、同社の長谷川拳杜アナウンサーと技術部員が、ニッチ過ぎてなかなか取り上げられなかったラジオやテレビの放送技術の裏話を紹介する。

同番組のディレクターも兼務する長谷川アナは学生時代に音響会社でアルバイトしていたことがあり、もともと技術に興味があった。ニッチなミニ番組の人気が全国的にじわじわと出てきていたことから、狭く深い番組の話題性を狙い20年10月にスタート。番組タイトルは、技術部員がおしゃべりするからという理由だが、同部員におしゃべりな人は少なく、あえて「おしゃべり」と付けた。

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テーマに合わせてラジオや送信などそれぞれ担当者が語るという体裁で、話に自信がないと言われても頼み込んで出演してもらっている。岩手県内外から反響があり、公開放送の会場では技術部員がリスナーからサインを求められることがあるという。

これまでの印象的な放送回として、1953年の開局当時から使っていたマイクを修理してよみがえらせた回や、20年6月末に閉局した新潟県民エフエムで停波作業を担った技術部員へのインタビューなどを挙げた長谷川アナ。「寡黙な人の話でも職人気質な感じがしていい。プロの仕事に対する哲学は業種関係なく心に響くところがある。仕事に向き合う熱い思いをリスナーと共有できればうれしい」と語った。

ラジオ関西の『おしえて!サウンドエンジニア ~ギジュツLOVE~』(火、17・55―18・00)は、同社で放送に携わっている技術部員が放送の技術や音響、電波などについて話す技術専門番組。

「なぜラジオで無音はNGなのか?」を解説した回では"放送できない曲"について▷無音が入っている▷尺が長すぎる▷楽器のパンニング(スピーカー間の音量差)が偏っている――など裏方目線を交えて解説。その他に「ラジオ局の時計のヒミツ」や「電波塔の高さについて」など日々感じることや現場で実際に役立つと感じた情報を発信している。

出演者は同社技術センターの辻正明氏、サウンドエンジニアの樫本芙美佳氏、ディレクターの赤澤聡氏の3人。番組の最後に樫本氏が「今日も盛り上がりましたね」と言うと、赤澤氏が「えっ、どこが?」と返すのが、ささやかなお決まりとなっている。

芸術系の大学で音響の講師を務めている赤澤氏が、若者たちにさらに興味を深めてもらいたいという想いで発案し、21年4月にスタートした。サブタイトルの「ギジュツ LOVE」には、放送技術に親しみを持ってほしいとの願いを込めた。番組の内容は書籍化され、大学で教科書としても使われているという。

辻氏は、「トークは素人の3人ですが、録音編集はプロ。収録番組なので、ある意味、非常に聴きやすい番組になっている点にも注目してほしい」と熱を込めた。

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