番組プロデューサー・乙部奈瑠美さん KBCラジオ『PAO~N』ここだけの話【制作ノートから】④

乙部 奈瑠美
番組プロデューサー・乙部奈瑠美さん KBCラジオ『PAO~N』ここだけの話【制作ノートから】④

作り手の思いに触れ、番組の魅力を違った角度から楽しむシリーズ企画「制作ノートから」。第4回は番組プロデューサーの乙部奈瑠美さんに、昨年40周年を迎え、リスナーとの絆がさらに深まった『PAO~N』(九州朝日放送【KBCラジオ】で毎週月~金曜日13:00~16:00放送中、ポッドキャストは各種配信サイトにて金曜日20時頃配信中)について執筆いただきました。(編集広報部)


1983年5月30日に生まれた福岡のラジオ番組『PAO~N(パオ~ン) ぼくらラジオ異星人』をご存じでしょうか? 夜の生放送で、当時の中高生の心をわしづかみにしたお化け番組です。radikoも無い時代、地方番組にもかかわらず全国レベルで人気だったパーソナリティが九州朝日放送(以下、KBC)の沢田幸二アナウンサー(現・エグゼクティブアナウンサー)。2003年から昼帯に移動し、番組名が『PAO~N』に変わった今でもメインパーソナリティとして元気に喋り続けています! 1983年といえば、東京ディズニーランドが開園し、ファミリーコンピュータが発売された年です。ちなみに私はまだ生まれていません!

今明かされる 40周年企画 ここだけの話

2023年度に40周年を迎え、ここぞとばかりにさまざまな企画を敢行しました。ラジオのスタジオを飛び出して、リスナーと直接交わることの楽しさ......そしてなにより、ラジオのメディアパワーを実感しました。1年かけて延べ13企画を実施したので、抜粋してご紹介します!

① ハッピーバースデーの人大集合! 2023年5月30日(火)
放送を開始した5月30日にKBC社屋前広場から生放送を実施。放送中に来てくれた5月30日生まれの人(身分証明書必須)に、スペシャルTシャツをプレゼントするという企画です。20枚しか用意していなかったところ76人が参加! 急遽、追加発注をして皆さんに届けることができました。ここだけの話、沢田アナもスタッフも2~3人来てくれればいいと言っていたので正直驚きです(笑)。放送終了間際に、『PAO~N』と生年月日が同じ1983年5月30日生まれのリスナーが来てくれたことには運命を感じました!

② ティッシュペーパー空箱投げ大会開催! 2023年8月11日(金)
毎年行う環境啓発キャンペーン「KBC水と緑のキャンペーン」の特別番組企画の一環で開催した、ティッシュの空箱を遠くに投げて飛距離を競うだけの大会です。35年前にも開催したことがあるみたいですが、ここだけの話、元ネタは『吉田照美のてるてるワイド』(文化放送)だと最近知りました(パクリだったんですね!)。「ティッシュの空箱を投げる」という一見シュールな企画でも、リスナーの顔がキラキラしていたのが印象的で、「あぁ、皆さんあの頃に戻っているんだなぁ」と、なんだか泣けてきたのを覚えています。エコ特番企画だったので、最後はしっかり空箱を古紙としてリサイクルに回しました。

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<大会の解説を担当した沢田アナも投げるフリ>

③おせちダジャレ大会開催! 2023年10月11日(水)
番組オリジナルおせちのPRで、試食ができるリスナー参加型の企画です。豪華なおせちを試食できる条件は、重箱に入る40品のどれかに絡めたダジャレを披露すること。参加賞は黒豆を、素晴らしいダジャレを披露してくれたリスナーにはタコをそれぞれ試食してもらうということで、21人のリスナーが渾身のダジャレを披露してくれました。ここだけの話、タコレベルのダジャレが続出!皆さん、恥ずかしがらず大きな声でダジャレを叫ぶ姿は素晴らしかったです!ちなみに優勝したのは"なます"にちなんだダジャレ「おくさま?この美味しーいおせちはPAO~Nおせち?」「そうなます♪」でした。

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<"タコレベル"のダジャレが続出した大会 こういう時の看板は段ボールに手書きしています>

④PAO~Nぼくらラジオ異星人 40周年イヤーに一夜限りの復活! 2023年12月30日(土)
夜時代と同じ放送枠(21:00~24:30)で、晦日に生放送を行いました。当時の出演者を集め、かつて福岡の中高生を沸かせた企画盛りだくさんの放送は、タイムスリップしたような感覚に陥り、今でいう"エモい"3時間30分となりました。「大喜利コーナー」は、このご時世にメールではなく「ハガキしばり」でネタを募集したのですが、ずっしり厚い184通ものハガキが局に届きました。ここだけの話、沢田アナは「今も昔も字が汚い~!」とぼやいていましたが、メール・LINE世代の私にとって、直筆でしたためたハガキの時代っていいなぁとグッときました。放送は、Xで全国トレンド入りを果たし、ありがたいことにradikoタイムフリーの平均聴取者数は、福岡エリアの全局で2023年に放送した全番組で1位を記録しました。

⑤PAO~N40周年大感謝祭 開催! 2024年2月25日(日)
これまで支えてくれたリスナーへ感謝の気持ちを込め、福岡市内中心部のホールを借りて"放送を一切絡めない"イベントを開催しました。ステージでは、現パーソナリティによる宴会芸、リスナー参加型の大喜利コーナーやモノマネコーナー、『徹子の部屋』(テレビ朝日系)のオマージュコーナーなど、オフエアならではのきわどいトークを交えてお送りしました。会場で販売したグッズも大反響! しかし、イベントには全国各地からリスナーが集まり、ここだけの話......というのは本当に申し訳ないのですが、予想を遥かに超える来場者数で、開始後すぐに入場規制を行うという事態に......。会場は、歩くスペースもないほどひしめきあう盛況ぶり。あの時の光景は今でも忘れられません。

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<大感謝祭 押し寄せたリスナーで会場がパンパン!>

⑥『われらラジオ異星人』本発売! 2024年3月22日(金)
40周年を記念した企画は、イベントにとどまらず本も出版! 番組が生まれた裏話、これまでの歩みを振り返りつつ、ハプニングなどの逸話がたっぷりと掲載されています。ここだけの話、こちらも予想を遥かに超えて発売当初はネットも店頭も売り切れ続出。ありがたいことに発売前にして増刷が決まり、その後も増刷の嵐! 増え続ける販売数に、あらためて『PAO~N』の人気と、40年の時の重みをひしひし感じました。

アニバーサリーイヤーの締めくくり

――と、一部の企画を紹介させていただきましたが、ほかにも、番組オリジナルグッズの販売、沢田アナのLINEスタンプリリース、『PAO~Nくだらないポッドキャスト』開始、「桜を見る会」と題して花見をしながらゲリラ生放送などなど、ノリと思いつきを形にしながら1年間企画をお届けしてきました。リスナーの皆さま、楽しんでいただけたでしょうか?

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<桜を見る会 段ボールを机に 段ボール様様>

締めくくりは、2024年5月30日(木)に行ったKBC社屋前広場からの生放送です。3時間の放送中に来てくれた先着100人に、「この日だけのオリジナルステッカーと焼肉のタレ」をセットにしてプレゼント。ド平日にもかかわらず、なんと45分で100人分のプレゼントがゼロになり、結局、入れ代わり立ち代わりで約200人が来場しました。木曜パーソナリティを務める松村邦洋さん扮する達川光男さんと、深瀬智聖さん扮する黒柳徹子さんが生放送を盛り上げていたところ......ここだけの話、黒柳さんの髪の毛から飴が出てくるパフォーマンスを見て、心の中で「本物の黒柳さんだ!」と思ったのですが、目の前にいたのは、やはりニセモノだったんですよね(笑)(本当に激似なんです!)

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<ゲリラ生放送 ニセ達川光男さんとニセ黒柳徹子さん>

「くだらないことを本気でする」

沢田アナは、特に熱狂的なリスナーのことを、「ゾンビリスナー」と呼んでいます。「キミたちは来なくてもいい、絶対に来なくていい、と言っているのに絶対に来てくれる。それを、撃っても決して倒れないゾンビに例え、親しみを込めて言っている」とのこと。「ゾンビ」と呼ばれるリスナーは本当に、ゲリラ生放送をしても、イベントをしても必ず来てくれるんです。神出鬼没ですよね(笑)。そんなリスナーと沢田アナの関係には、大袈裟じゃなく40年にわたって育まれた確固たる愛があると私は思うのです。そのうえで、私たち制作スタッフ・出演者はいつの時代も「リスナーファーストの精神」を根底に持ち、「くだらないことを本気でする」。これこそ、番組の真髄であり、40年にわたり愛される秘訣だと思います。そして、そのような番組に携われていることを個人的に大変ありがたく感じています。

沢田アナという絶対的存在を中心に、41周年の『PAO~N』も、毎日にぎやかに放送しています。日替わりのパーソナリティも個性豊かで、どの曜日も聞き逃せません。41年、42年・・・一緒に歳を重ねていくリスナーの皆さん、お互いに健康に気を付けてラジオの前で午後1時にお会いしましょう。沢田アナにも、健康第一ということをよく言っておきます。

私たちは番組を聴いてくれている全てのリスナーに支えられています。ここだけの話、沢田アナもやる気満々です! これからもよろしくお願いします!

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