米地上波無料配信 Locastが運営停止 違法判決を受け入れ

編集部

「地上波テレビは無料であるべきだ」として2018年から全米各地の地上波ローカルテレビの放送を無料配信していたアプリLocastが9月2日、ついに運営を停止した。CBS、ABC、NBC、FOXの4大ネットワークが著作権法違反でLocastを訴えていた訴訟(「民間放送」19年9月3日号既報)で、ニューヨーク南部地区連邦裁判所が8月31日に違法判決を下したことを受けたもの。Locastは控訴する意向はあるものの判決を受け入れ、「すぐに運営を停止する」と発表した。

Locastを立ち上げたのは、ワシントンD.C.の弁護士であり、クリントン政権下で米連邦通信委員会(FCC)の法律顧問も務めたデービッド・グッドフレンド氏。「4大ネットワークは米連邦政府から地上波放送用の電波使用権を無料で認められているにもかかわらず、ケーブルや衛星放送のプロバイダーを通じて視聴者から月12ドル以上の再送信料を得ているのはおかしい」と主張している。

19年1月当初の利用者は、ヒューストンやシカゴなど主要都市に約6万人ほどだったが、今年9月の閉鎖時点では全米で約320万人に膨れ上がっていた。貧困層に対しては無料で配信。少しでも払える"有志"からは月5ドルを「寄付」という名目で受け取り、20年の寄付収益は約430万ドルだった。

グッドフレンド氏が「合法的に運営している」と主張する根拠は、Locastが非営利運営であり、視聴者から受け取っているのは「配信料」ではなく、自主的な「寄付」であること。米著作権法では、非営利団体が商業的な利益を目的とせず、サービスを維持・運営するコストを賄うために必要な額以外の料金を利用者に課さない場合、放送局と契約せずに放送を再送信することを認めている。今回の判決は、Locastが維持・運営に必要な額をはるかに上回る金額を利用者から集めていたと指摘。また、法令上、Locastは寄付収益を市場拡大への投資には使用できないと判断した。

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