ローカルニュースのライブ配信終了 リニア放送優先の姿勢示す 米Nexstar

編集広報部

米メディアグループNexstarがこのほど、全米傘下局のローカルニュースとオリジナル番組のライブ配信を終了した。Nexstarは「ケーブルや衛星放送などのプロバイダーへの配慮」と、その理由を説明している。

配信の普及によるコードカットが加速する近年、米国ではケーブルなどへの再送信同意料金の交渉で揉めるケースが相次いでいる。Nexstarのような放送局は可能な限り値上げを要求するものの、ケーブル、テレコム、衛星プロバイダーは視聴者数減少を理由に値上げに応じないため、二者間で合意に達するまで当該チャンネルの放送が中止されてしまい、視聴契約世帯に損害を与える結果となっている。

今回のNexstarの決断は、配信よりリニア放送を優先する姿勢を示すことで、再送信同意料金交渉を有利に進める目的があると米メディアは伝えている。さらに、地上波放送はアンテナ経由で無料視聴できるが、それをあえて有料視聴してくれているケーブルなどの契約世帯を優遇することは、リニア放送の価値を上げることにつながるというのが、Nexstarの見解だ。

しかし、例えば傘下のWTNH(コネチカット州)は、地上波でのローカルニュースとオリジナル番組を、ライブで放送してから2時間後に傘下ローカル局独自のウェブサイトでそれらを視聴できるようにする。そのほか、WGN-TV(シカゴ)、KTLA-TV(ロサンゼルス)、KRON-TV(サンフランシスコ)の3局は、引き続き自局アプリWGN PlusKTLA PlusKRON Plusでローカルニュースのライブ配信を続けるとの方針を示している。それ以外の各局も、ニュース速報や緊急を要する気象情報など生活に密着した重要コンテンツは、引き続き各局のウェブサイト、アプリ、ソーシャルメディアでライブ発信していくとのことで、足並みはそろっていないようだ。

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