NYTに続き米地方8紙がOpenAIとMSを提訴 AI学習への無断利用で 

編集広報部
NYTに続き米地方8紙がOpenAIとMSを提訴 AI学習への無断利用で 

ニューヨーク州のニューヨーク・デイリーニューズ、イリノイ州のシカゴ・トリビューンなど全米の地方新聞8紙は4月末、共同でOpenAIとマイクロソフト(MS)を著作権侵害で提訴した。ニューヨーク、シカゴをはじめフロリダ州やカリフォルニア州、コロラド州、ミネソタ州の計8紙は、いずれも米国の大手投資企業アルデン・グローバル・キャピタル社の傘下。対話型AI(OpenAIのChatGPTとMSのCopilot)の開発過程で記事を無断でAI学習に使ったとして損害賠償を求めている。

同様の訴訟は2023年末、ニューヨーク・タイムズ紙(NYT)が2社を相手に提起しており、断固戦う姿勢を示している。AIの学習だけでなく、生成AIが利用者の質問に対して新聞社が不正確に報道したかのように回答を捏造するケースがあることも問題視している。例えば、ユーザーからのある質問にChatGPTはデンバーポストが「喫煙は喘息を完治する」との研究結果を報じたと答えているが、完全な捏造だという。シカゴ・トリビューン紙も類似の被害を被っているとして、訴状では「新聞社の信頼を著しく貶めるものである」とし厳しく批判している。

ドイツ系メディアのAxel Springerをはじめ、AP通信やフィナンシャルタイムズなどは、AI開発企業とコンテンツ利用のライセンス契約を結ぶ方向で動き、年間数百万㌦規模の支払いを求めて交渉している。こうしたなか、NYTはAI企業に対抗する唯一の新聞媒体だったが、今回8紙が参戦したことで勢いを得たとの見方もある。米メディアによると、8紙の弁護を請け負っているのはNYTの訴訟を担当する2つの弁護士事務所のうちの一つ。提訴先も同じ米ニューヨーク州連邦地裁で判事も同じ。今後、NYTと8紙の訴訟は統合される可能性もあると伝えられている。

アルデン・グローバル社の子会社メディアニューズ・グループとトリビューン・パブリッシングも提訴する構えだという。アルデンは8紙のほかにも全米60紙以上のローカル新聞を擁しており、今後これらが訴訟に参加する可能性も否定していない。

今回の訴訟の結果次第で今後、ニュース媒体の収入源が激変する可能性もあると米メディアは見ており、行方が注目されている。

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