米ローカルメディアのデータ収集・評価・分析・資金融資を手がけるBIAアドバイザリー・サービシズ(バージニア州)が9月22日、OTT(ネット配信によるストリーミングサービス)がローカル広告の中で最も急速に成長するとのレポートを発表した。大きな選挙がある年は特に成長幅が大きく、中間選挙がある今年の売上総額は前年比57%増の20億ドルになると見積もる。大統領選挙年の2024年は28億ドルに、次の中間選挙年の26年には34億ドルに達する見込みだ。
この急成長は、新型コロナウイルスのパンデミックに扇動された部分が大きいとBIAは指摘する。配信視聴者が増えたことで、広告主も配信広告に目を向け始め、その効果を認識し始めた。
一方、OTA(Over-The-Air、従来の地上波テレビ)広告収益に比べると、OTTはまだ遠く及ばないのも現実。今年のOTA広告売上の見積りは約204億ドル(OTTの約10倍)で、緩やかな成長率にとどまるものの、26年には約219億ドルに達するとの予測だ。BIAはそのレポートで、「それでもOTTローカル広告売上の急成長ぶりは注目に値する。配信を利用する視聴者が今後も増えることを考えると、テレビ局は今後配信事業を拡充することで、追加広告収益を見込めるはずだ」などと指摘している。
OTT向けローカル広告支出のトップカテゴリーは、日常生活に根づいた業種。例えば地元の弁護士や配管工事サービス、冷暖房機器の販売・施工サービス、水道・ガス関連が挙げられる。これらが今年は全米で総額3億3,700万ドルをOTT広告に投下する見込みだ。以下、自動車(2億7,320万ドル)、レストランとヘルスケア(それぞれ2億280万ドル)、金融・保険(1億8,280万ドル)と続く。地元のスーパーマーケットや食材店、開業医や歯科医などの業種も、OTT広告支出を顕著なレベルで増やしている分野だと報告されている。
地域別に見ると、急成長エリアのトップは、中部大西洋岸諸州(ニューヨーク、ニュージャージー、ペンシルベニア、デラウエア、メリーランドなど)。最も成長幅が小さいエリアは太平洋南西部諸州(カリフォルニア、ユタ、ネバダ、アリゾナ、ハワイなど)だった。