東京2020オリンピックが8月8日、17日間にわたる競技の幕を閉じた。日本のメダル数は金27、銀14、銅17個の計58個と、リオデジャネイロ大会を上回り過去最多に。民放各局は日本選手・チームの活躍を総力を挙げて伝えた。編集部は民放ラジオ統一番組の制作本部を訪ね、熱戦を伝える民放の取り組みを聞いた。
「民放ラジオ統一番組」の制作本部が置かれたのは東京・有楽町のニッポン放送(LF)。大会期間中はここでJC制作の競技中継音声や、在京キー局のスタッフで構成する民放連ラジオ委員会ユニが取材した素材などを基に、民放ラジオ統一番組や男子マラソン実況中継を制作し、各局へ送った。編集部記者が8月9日に同本部を訪れ、担当者から制作体制などを聞くとともに、ハイライト特別番組の収録模様(=写真)を取材した。
期間中の制作本部スタッフはディレクターや放送作家など7人ほど。新型コロナウイルスの対策で交代要員としてディレクターを別に2人確保した。1つのスタジオを専用として24時間使用可能に。放送機材は通常LFで使用しているものを民放ラジオ全99局に配信できるようシステムを拡充した。大会前と期間中に情報ベルト番組、大会後には特別番組を収録し各局に配信した。
番組のキャスターを務めたのは元LFの新保友映さんとスポーツ好きタレントの笹木かおりさん。大会前の番組では注目の選手や競技などを紹介した。選手が新型コロナに感染し出場できなくなった場合を想定し言葉選びなどに配慮。また、差し替え素材を揃えるなど万全を期した。
大会期間中には毎日午前・午後・夕方帯ごとに結果などを伝える番組を放送。コメンテーターは里崎智也(野球解説者)、吉田沙保里(元女子レスリング日本代表)、八木沼純子(スポーツコメンテーター)の3氏が務めた。里崎さんは「知らない競技でも素人目線で観戦し、自分の思ったことを伝えた」と番組を振り返った。
ハイライト特別番組「感動!東京2020オリンピック 総集編」(前編・後編)は8月14―23日の間に全局で放送。同番組の収録後、制作本部責任者の野島哲男・LF報道スポーツコンテンツセンターは「スポーツを楽しいと感じてもらえる番組にしようと思った。また、大会を通してインタビューから選手が自分の考えを持っていることや運営スタッフへの感謝の想いを広く伝えられて良かった」と語った。キャスターを務めた笹木さんは「結果だけでなく、選手の気持ちをすくって伝えるように心掛けた」と話し、八木沼さんは「約半年後にある冬季大会を目指す選手にも勇気を与えたと思う」と語った。
また、今大会では男子マラソンの中継を民放ラジオ全局で行った。冒頭とエンディングは本部から生放送し、中継部分はJC共通素材を流した。なお、希望する局にはそれ以外の競技の中継も配信した。