米メディア各社 アフガン情勢緊迫で現地記者らを国外退避

編集部

8月15日夜、米軍のアフガニスタン撤退を前に、タリバンの攻勢で首都カブールが事実上陥落。現地の外国人ジャーナリストや、20年間米軍・メディアに協力したアフガニスタン人の生命が一気に危険に晒されることになった。これを受け、米大手メディアは自社の特派員を迅速に国外に脱出させている。

CNNやFOXニュースなどのテレビメディアは、15日以降密かに自社の特派員らを国外退避させた。危険地帯での報道で知られるCNNチーフ国際特派員のクラリッサ・ワードは今回もギリギリまで現地にとどまり、地元女性らの不安の声を拾っていたが、22日までには現地協力者とその家族らとともにアフガニスタンを後にしている。また、ニューヨーク・タイムズ紙、ウォール・ストリート・ジャーナル紙、ワシントン・ポスト紙の3紙は連名で、カブール陥落と同時にバイデン政権に公開文書を送り、現地ジャーナリストの迅速な避難への政府支援を訴えている。

こうした現地での動きと並行して、米連邦議会内にある超党派の「報道の自由議員連盟(Congressional Freedom of the Press Caucus)」からも、ジャーナリスト避難の支援要請がバイデン大統領に提出された。しかし8月末現在、いまだ現地にとどまり報道を続けるアフガニスタン人ジャーナリストはいる。「報道陣全員の避難を目指すが、それでも誰かが現地の様子を世界に知らせなければならない」とし、残留報道陣の保護を買って出たのは、NPO団体「ジャーナリスト保護委員会(CPJ)」だ。ニューヨーク市に拠点を置き、世界各地で暴力や政治的圧力などからジャーナリストを保護している。CPJは、今後のタリバン政権下での現地報道について「これまでの20年間のようにはいかない」と先を案じている。

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