長崎放送は、動画配信サービス「ユウガク」を4月1日から開始した。過去のニュース映像やドローン空撮映像など同社が所有するアーカイブ動画を月額500円で自由に視聴できる。
同社は1972年からカルチャースクール「NBC学園」を運営していたが、社屋移転やコロナ禍の影響で2021年に閉校。受講者からの存続希望の声を受け、オンラインで復活させようと考えていた中で、「カルチャースクールオンライン化企画」を21年度のJNN系列の新規事業提案コンテストに応募し、採択された。22年からTBSホールディングス事業投資戦略部の支援を受けながら講座の生配信やアーカイブ動画を使ったオンデマンドサービスの実証実験を行ったところ、過去のニュース映像をもとにした"昭和の長崎"に高いニーズがあったことから、正式なサービスとしてスタートした。
名称は、鎖国時代に諸国の優秀な人材が長崎にきて異文化を学びながら暮らす「長崎遊学」に由来する。
ミドルからシニア層に、映像を通じて子ども時代の出来事を振り返ってワクワク過ごしてもらうとともに、昭和レトロな映像が好きな若い層の獲得も狙う。300動画以上が視聴可能。視聴数の多いコンテンツは、『昭和50年「赤迫~道ノ尾間道路拡張」』や『昭和42年「懐かしのレジャーランド・長崎スカイランド」』で、歴史的な出来事よりも日常や街並み、今は存在しない建物・施設など、当時の空気感を感じられるものが人気だという。
プラットフォームは、当初は自社開発も考えたが、TBSホールディングスから紹介のあった決済機能を持つmish社の動画配信プラットフォームを使用している。
「まだ大きな利益を生むところまできていないが、社内リソースが活用できるため、利益率が高いのが特徴」と語る伊東陽一・ユウガク事業本部長。「現段階では長崎エリアの映像のみのサービスだが、ゆくゆくは全国の放送局にも参画いただき、ユーザーが自由に行きたい場所や行きたい時代を選んで時間旅行が楽しめる『映像のタイムマシーン』を目指したい」と期待を寄せる。