米連邦地裁 裁判の音声記録放送 禁止の州法に違憲判決

編集部

米メリーランド州の連邦地裁は9月21日、裁判の音声記録の放送を禁止する同州の法律に違憲判決を下した。2018年6月に地元新聞社の社員5人が銃撃された事件の裁判の音声記録の放送をめぐり、米公共ラジオ局NPRが「同州法は言論・報道の自由を保障した憲法修正第1条に違反する」として訴えていたもの。今回の判決はNPRの事案に限って違憲と判断したもので、「裁判音声記録の放送を禁止するメリーランド州法」自体を違憲としたものではない。NPRは同裁判の音声記録をポッドキャストで放送するため、州を相手取って訴訟を起こしていた。

同州では1981年から、公正な裁判の名の下に、刑事裁判の映像および音声記録のライブ・録画放送を禁止している。同連邦地裁は今回の判決理由を「すでに有罪判決は下っている。NPRのポッドキャストで放送されることで、証人の安全が脅かされることもなければ、裁判の進行に影響が及ぶこともない」としている。同州の禁止法については連邦第4巡回区控訴裁が6月に出した判決で合憲性に疑義を呈したほか、ジョージタウン大学ロー・スクールの教授らも「裁判内容の放送に違憲性はない」との意見を表明している。

米国では、裁判の中継や録画映像・音声の放送について長年議論されてきた。連邦裁判所内での裁判の中継・録画放送は禁止されているが、州によっては州裁判所での裁判中継を許可している。

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