米国で今、女子スポーツの人気が急上昇中だ。試合のテレビ放送権争奪戦もヒートアップしている。最も注目されているのが女子バスケットボールリーグの「WNBA」(Women's National Basketball Association)。2025~26年シーズンから11年間で総額22億㌦(約3,300億円/以下、為替レートは日本の8月2日現在)の権料で合意したことが7月半ばに米メディアで大きく報じられた。この契約の下、リーグがライツホルダーの放送局から受け取るのは年間(1シーズン)平均2億㌦(約300億円)。24~25年シーズンで満期となる現行の契約(年間5,000万㌦=約75億円)から4倍に跳ね上がった。
第一報したThe Athletic誌によると、WNBAと現在契約しているテレビメディアはディズニー(ESPN)、CBS、Amazon、Ion Televisionの4社。25年からは新たにNBCが加わり、5社合計で22億㌦に。契約更新の条件としてWNBAはさらに2社追加することができるため、1シーズンでさらに6,000万㌦が上積みされ、総額も現行の6倍となる可能性もあるという。背景には、全米で最も注目されるケイトリン・クラーク選手のWNBA入りもある。
▶放送権交渉はNBAが代行
この放送権交渉を代行したのが、実は男子バスケットボールリーグのNBAだ。そのNBAもディズニー(ESPN)、NBCU、Amazonの3社と11年間で770億㌦(約11.5兆円)の権料で合意に達したことを7月24日に発表。25~26年シーズンからディズニー(ESPN・ABC)が平均26億㌦、NBCU(NBC・ピーコック)が平均25億㌦、Amazon Prime Videoが19億㌦をNBAに支払う。これとあわせてWNBAの合意金額が前述のように正式決定している。
NBAは7月半ばに3社とは合意していたが、現在契約中のワーナーブラザーズ・ディスカバリー(WBD)1社が取り残され、その動きを待って最終決定することになっていた。WBDは交渉締め切り間際に「Amazonの提示額に見合う金額」として年間平均18億㌦を提示したが、NBAは却下。合意に至らず、40年近いパートナーシップが幕を閉じることになった。WBDはこの決定を不当だとしてNBAを提訴している。
多額の放送権料を得る女子スポーツリーグはWNBAだけではない。女子サッカーリーグ(NWSL)は今年、4年間で2億4,000万㌦(約360億円)で契約した。これを上回るWNBAの契約はコンテンツとしてのスポーツ中継の力をあらためて示すことになった。