RTDNA新ガイドライン 犯罪報道の顔写真使用見直しなど提言

編集部

米ラジオ・テレビ・デジタルニュース協会(RTDNA)がこのほど、犯罪報道に関する新ガイドラインを発表した。同協会の倫理委員会が定期的に見直しているもので、今回は特に犯罪報道を人種に関する現在の社会倫理・認識に即したものにするのが目的。容疑者の顔写真使用の見直し、告発前の容疑者の氏名公表に関する判断基準の設定、デジタルアーカイブの更新の検討などを盛り込んでいる。

顔写真の使用について、それらを頻繁に放送・掲載することで人権が侵害されることがないよう、各編集部で多人種スタッフによるチームを編成し、その都度使用の可否を判断するよう求めている。その際に考慮すべき点として、▽その人物が社会にとって危険であり、積極的な捜査が行われていると警察が発表しているか▽他にも被害者がいる可能性があり、警察は被害者に名乗り出るよう求めているか▽容疑者は公務員・公人か、一般人か▽使おうとする顔写真はその犯罪と直接関係があるか、他に適切な画像・映像はないか――などを挙げている。また、容疑者や重要参考人について説明する際、人種や性別だけでは有害で誤った固定観念を永続させる可能性があると指摘。詳細な身体的特徴や当局がこの人物を探している理由を具体的に伝えるよう求めた。暴力犯罪でない場合、起訴される前に容疑者の氏名を公表するか否かについての判断基準を設けることも推奨された。瞬時に情報が流れ、その情報の正誤にかかわらず半永久的にネット上に残る今の時代、この判断は人権に関わることだとRTDNAは指摘する。

犯罪報道のデジタルアーカイブの取り扱いについても言及。事件の記録が抹消されたり起訴が取り下げられた場合、年月の経過で被害者や被告人の環境に変化が生じた場合などは、デジタルアーカイブからの映像・記事の削除や再編集を考慮するよう勧告した。

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