TBSテレビのドキュメンタリー映画「ムクウェゲ『女性にとって世界最悪の場所』で闘う医師」が、3月4日から東京の新宿シネマカリテ、シネ・リーブル池袋などを皮切りに全国で順次公開される。2018年にノーベル平和賞を受賞したコンゴ民主共和国の婦人科医、デニ・ムクウェゲ氏の活動とその背景、さらに信念に迫った作品だ。
監督を務めたのは外信部デスクの立山芽以子氏(=写真)。1997年の入社で、以前からアフリカに関心があった。その理由を「良い部分も悪い部分も極端に表れ、世界の縮図のような場所。日本の価値観や常識が通じず、学びが大きい点が面白い」と説明する。16年にムクウェゲ氏の来日を取材したことが本作誕生のきっかけとなった。
豊富な鉱物資源の利権を目当てに、住民支配の手段として武装勢力が女性へのレイプを繰り返すコンゴ東部。自ら病院を建てて治療にあたるムクウェゲ氏の活動を、これまで「news23」「ザ・フォーカス」などで伝えてきた。昨年3月のTBSドキュメンタリー映画祭を機に劇場版を制作。さらに今回、女優・常盤貴子さんによるナレーションなどを追加しバージョンアップした。
18年11月にはコンゴで現地取材を行い、レイプの被害者、加害者らに向き合った。「相手が言いたくない、思い出したくないことも聞かないといけない。ある意味で残酷な仕事だと考えさせられた」と立山監督。鉱物は電子機器に広く使われており、日本も無縁ではない。「いろいろな人、特に若い人に見てほしい。将来を考えるきっかけになれば」と期待を寄せるとともに、「『視聴者は難しい話に興味がない』などと予断を持たず、見てもらえる丁寧な作品づくりをしていきたい」と意気込みを語った。
3月5日に新宿、6日に池袋、翌週12日には大阪・第七藝術劇場で監督の舞台あいさつを予定。なお、本作はTBSドキュメンタリー映画祭2022での上映も予定している。