テレビ東京『午後のロードショー』25周年 "素敵な映画体験"を届け続けて 地上波における映画放送の文化を守る

岡本 英一郎
テレビ東京『午後のロードショー』25周年 "素敵な映画体験"を届け続けて 地上波における映画放送の文化を守る

『午後のロードショー』(毎週月~金、13401540)は、1996年4月1日にスタートし、2021122日に放送5,000回、同年41日に放送25周年を迎えることができました。ここまで番組が続いてきたのは、ひとえに『午後のロードショー』をご覧いただいている視聴者の皆さまのおかげです。あらためて感謝をお伝えしたいです。

テレビ東京のお昼映画の歴史を振り返ると、『午後のロードショー』の前身番組『2時のロードショー』(19823月〜949月)、『シネマタウン』(199410月〜963月)以来、約40年近い歴史があります。昔は今以上に番組予算も少なかったので、マニアックなB級映画や劇場未公開作品などを発掘して放送していました。今も他局と比べて予算が潤沢というわけではないので、誰もが知る大作をラインナップできることもあれば、劇場未公開作品や、B級映画をラインナップすることもあります。ただ、こうした劇場未公開作品の中から "金の卵"を見つけだし、良い数字がとれたときほど喜びもひとしおです。

そのためには常にマーケットリサーチは欠かせません。劇場公開作品の中から数年後に番組で放送できそうな作品を探したり、Amazon Prime Videoなどのオンラインのストリーミングサービスや、TSUTAYAの店舗に足を運び未公開作品で面白そうな作品を探したりと、放送用作品の確認を合わせると年間300400本鑑賞しています。しかし一方で、映画オタク過ぎてマニアックになってもいけません。誰がどこから見始めても楽しんでいただけるような、そんな映画を日々探しています。

番組として大切にしていることは、25年間変わりません。それは視聴者の方が楽しんでもらえるラインナップを考え、視聴率を取るということです。具体的には、番組のメインの視聴者は60代以上の男性なので、男性層が好むアクション系の作品を中心にラインナップしています。また同時に女性の方にも楽しんでいただけるよう、女性が主人公の作品やサスペンスの特集を組んだりしています。一方で、民放である以上視聴率も取らねばならないので、単に"豪華スターが出ているから"、"アカデミー賞を受賞した作品だから"といってラインナップするということではなく、2時間という枠の中で楽しめるストーリー展開になっているかという点も考慮しなければなりません。その点、アクション系の映画はテンポ良く物語が展開し、勧善懲悪的な結末は視聴者にとって分かりやすく、ウケがいいのだと思います。平日に毎日映画をお届けしているので、視聴者が飽きないようなラインナップを考えることは毎月大変な作業です。そこで、曜日ごとの特集を組んでみたり、シーズナリティーを考えあえて暑い時期に凍結モノをラインナップしてみたりしています。ほかにも人気俳優特集やシリーズものなどは最新作公開との連動企画を考えたりしています。

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<プレビュールーム>

逆に25年間で変わったことをお話しします。『午後のロードショー』がスタートした頃は、昼の時間帯でもエロティックだったり、過激なバイオレンスシーンを放送しても、そんな尖った部分が「午後ローらしい」と笑って許されていた時代がありました。しかし現在は違います。特にここ2年は、コロナ禍のもとでの在宅勤務という新たなライフスタイルが生まれました。緊急事態宣言中は児童・学生も家にいる機会が多かったので、番組を視聴中に過激な性的表現や暴力に触れてしまわないよう、作品の表現には注意しています。場合によっては、前回放送した事があるシーンでも当該シーンをカットすることもあります。それでは「午後ローらしくない」と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、時代に合わせて視聴者のすべての方が楽しめるような作品に仕上げていくことが、地上波での映画放送という文化を守っていくために必要だと思っています。

コロナ禍による番組への影響は、大きくありました。おうち時間を楽しむために番組をご覧くださる方が増えたこともあり、視聴率は大きく伸びました。特に2020年度は世帯3.2%、個人全体1.5(ビデオリサーチ調べ〔関東地区〕)を取ることができました。この視聴率は、世帯・個人全体ともに番組史上歴代2位という結果でした。

SNSについてはFacebookTwitter(@tx_gogoro)を運営しています(Twitterフォロワー数19,064人/20211217日現在)。日々書き込まれるコメントなどは、スタッフ間で共有しています。Twitterをよく使用する世代と番組のメインの視聴者層はリンクしていないため、SNSでの盛り上がりが視聴率に直結することはあまりありませんが、SNSで話題になるのはうれしいことです。今までで一番反応が大きかったのは、21年2月16日に放送した『ミスト』(2007)です。スティーブン・キング原作のサスペンスで、番組Twitterのインプレッションは歴代最高(846,742)を記録しました。他には『コマンドー』(1985)を放送した際もTwitterが大いに盛り上がりました (インプレッション数:610,142。アーノルド・シュワルツェネッガー主演で、名言がたくさんある日本語吹き替え版を楽しみにしている方も多く、番組に関連したつぶやきが放送前後で37,644件(番組調べ)もありました。また、Twitterの日本トレンド3位、Yahoo!話題ランキングでも4位となりました。先日111519日には"秋のスペシャルウイーク!"と題して超大作を放送したのですが、それに合わせて放送中にリアルタイムでツイートするという新たな試みもトライしました。

放送25周年記念のイベントはもうまもなく終了してしまいますが、次は50周年を目指して『午後のロードショー』の枠を守っていきたいと思っています。配信サービス全盛の今、膨大な作品数の中から自分で作品を選ぶ作業は、人によっては大変な作業です。見た作品があまり面白くなかったという経験をされた方も多いのではないでしょうか。「午後ロー」は、映画好きなスタッフが皆さんに代わって面白い作品を選りすぐって提供しています。無料で、かなりの確率で面白い作品に出会うことができます! "素敵な映画体験"をお届けできるよう、今後とも頑張って参ります。『午後のロードショー』、引き続きよろしくお願いいたします。

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