今年で17回目となる「東京ドラマアウォード2024」(主催=国際ドラマフェスティバル in TOKYO実行委員会)の受賞作が決定し、10月28日に東京プリンスホテルで授賞式が行われた。また授賞式の模様は、東京ドラマアウォード公式YouTubeチャンネルで初めてライブ配信された。
連続ドラマ部門はTBSテレビの『VIVANT』が、単発ドラマ部門はNHKの『デフ・ヴォイス 法廷の手話通訳士』がグランプリに選ばれた。主演男優賞を草彅剛さん(NHK『デフ・ヴォイス 法廷の手話通訳士』)、主演女優賞を石橋静河さん(NHK『燕は戻ってこない』)が受賞した。助演男優賞は若葉竜也さん(関西テレビ放送『アンメット ある脳外科医の日記』)、助演女優賞は内田有紀 さん(NHK『燕は戻ってこない』)に贈られた(=冒頭写真 前列左から、内田有紀さん、石橋静河さん、草彅剛さん、若葉竜也さん)。
今年は三谷幸喜さんと有働由美子さんの2人が新たに司会を務めた。冒頭、遠藤龍之介実行委員長(民放連会長)は開会宣言で「真田広之さん主演ドラマ『SHOGUN 将軍』がエミー賞を受賞し、9月にはコンテンツ産業強化の課題などを議論するコンテンツ産業官民協議会の初会合があるなど、いよいよドラマを含むコンテンツの未来は明るいと思う」と期待を述べた。
<三谷幸喜さんの不適切な発言が聞こえないように笛を吹く有働由美子さん、会場が笑いの渦に包まれた>
また、船橋利実総務大臣政務官は来賓あいさつで、本アウォードについて「日本のドラマが持つ高い可能性を引き出し、海外への発信を促す意義深いものである」と語り、動画配信サービスによって国境を越えてコンテンツが視聴されていることから、「制作者・出演者の皆さまには日本の放送番組が世界に大きく羽ばたく機会と捉えて、海外発信により一層力を入れて取り組んでほしい」と述べた。
作品賞の表彰では、連続ドラマ部門でグランプリのTBSテレビ『VIVANT』で原作・演出を担当した福澤克雄さんが「このドラマを作った目的は、テレビの復権。どうにか面白いものを作れば、テレビを見てくれる、それをこのドラマで証明できたと思っている。テレビの皆さん、面白いものを作っていきましょう」とテレビドラマにかける思いを明かした。なお単発ドラマ部門でグランプリに輝いたNHK『デフ・ヴォイス 法廷の手話通訳士』の受賞にあたり、会場と配信で手話通訳が行われた。
<左から『VIVANT』の福澤克雄さん、飯田和孝プロデューサー>
ローカル・ドラマ賞には、朝日放送テレビ『京都のお引越し』、琉球放送『琉球歴史ドラマ 阿麻和利 THE LAST HERO』が選ばれた。『阿麻和利 THE LAST HERO』で演出・脚本を務めた土田豪介さんは、「歴史を知ることで、その土地のことを知ることができると思っている。多くの人にこの作品を通じて沖縄のことを知ってもらいたい」と語った。
<左から『阿麻和利 THE LAST HERO』の土田豪介さん、主演の佐久本宝さんとその妻を演じた比嘉梨乃さん>
また、昨年11月29日に亡くなった脚本家であり小説家である山田太一さんに特別賞が贈られたほか、世界最大級のコンテンツ見本市「MIPCOM2024」との連携企画である"MIPCOM BUYERS' AWARD for Japanese Drama"で、グランプリを受賞した日本テレビ放送網『最高の教師 1年後、私は生徒に■された』とフジテレビジョン『海のはじまり』、奨励賞の関西テレビ放送『アンメット ある脳外科医の日記』も紹介され、制作者が喜びの声を伝えた。
最後に三谷さんが「地球が誕生してから46億年がたっています。演劇が始まってから2,500年以上。映画が始まってから128年。日本のテレビドラマはわずか84年の歴史しかありません。僕らは今まだスタート地点に立っている。永遠の未来に思いを馳せながら、今年はこれで終わりたい。来年また会いましょう」と締めくくった。
なお、授賞式の模様はテレビ朝日で放送予定。詳しくは「国際ドラマフェスティバル in TOKYO」のウェブサイトで案内される。
受賞一覧(敬称略)
【作品賞 連続ドラマ部門】
グランプリ 『VIVANT』TBSテレビ
優秀賞 『舟を編む ~私、辞書つくります~』NHK
優秀賞 『燕は戻ってこない』NHK
優秀賞 『不適切にもほどがある!』TBSテレビ
優秀賞 『アンメット ある脳外科医の日記』関西テレビ放送
【作品賞 単発ドラマ部門】
グランプリ 『デフ・ヴォイス 法廷の手話通訳士』NHK
優秀賞 『未解決事件 File.10 下山事件』NHK
優秀賞 『侵入者たちの晩餐』日本テレビ放送網
優秀賞 『ブラック・ジャック』テレビ朝日
優秀賞 『生きとし生けるもの』テレビ東京
優秀賞 『PICU 小児集中治療室 スペシャル 2024』フジテレビジョン
【ローカル・ドラマ賞】
『京都のお引越し』朝日放送テレビ
『琉球歴史ドラマ 阿麻和利 THE LAST HERO』琉球放送
【個人賞】
主演男優賞 草彅剛 『デフ・ヴォイス 法廷の手話通訳士』(NHK)
主演女優賞 石橋静河 『燕は戻ってこない』(NHK)
助演男優賞 若葉竜也 『アンメット ある脳外科医の日記』(関西テレビ放送)
助演女優賞 内田有紀 『燕は戻ってこない』(NHK)
脚本賞 宮藤官九郎 『不適切にもほどがある!』(TBSテレビ)
演出賞 金子文紀 『不適切にもほどがある!』(TBSテレビ)
【主題歌賞】
Creepy Nuts『二度寝』(「不適切にもほどがある!」(TBSテレビ)主題歌)
【特 別 賞】
山田太一(脚本家)