世界最大級のコンテンツ見本市「MIPCOM」が10月21~24日、フランスのカンヌで開催中だ。その初日、「国際ドラマフェスティバル in TOKYO」(実行委員長=遠藤龍之介・民放連会長)が"MIPCOM BUYERS' AWARD for Japanese Drama"の受賞作品を発表した。『最高の教師 1年後、私は生徒に■された』(日本テレビ放送網)と『海のはじまり』(フジテレビジョン)がWグランプリに。奨励賞を『アンメット ある脳外科医の日記』(関西テレビ放送)が受賞した(冒頭の写真は審査員と受賞関係者。遠藤委員長は後列右から2人目/稲木せつ子撮影=以下同)。グランプリに2作品が選ばれたのは同アウォード創設以来初めてとなった。
"MIPCOM BUYERS' AWARD for Japanese Drama"はMIPCOMを主催するRX Franceとドラフェス実行委が連携した公式行事として2009年に始まり、今回で15回目。ヨーロッパを中心とする海外の著名バイヤーが「自分で買いたい」「自分のマーケットで紹介したい」作品を選出するもので、今年はNHKと在京・在阪の民放による以下の9作品が選考対象となった。
10月21日の8時(現地時間)からMIPCOM会場近くのホテルマジェスティックで開かれたドラフェス実行委主催の朝食会の席上で受賞作が発表された。カナダ、ドイツ、フランス、イギリスをはじめ中東諸国やインドなどさまざまな国のバイヤーや放送関係者150人近い参加を得て、立ち見が出るほどの盛況に(写真㊦)。今年初めてこのイベントに参加した人も見られ、関心の高さをうかがわせた。
審査員からは、▷「粒ぞろいで選考に苦労した。毎年どんどん良くなっていく。今年は現実世界により根ざした作品が多く、ほとんどの物語に若者が関わっていたのも印象的だ。俳優たちの演技も並外れていた。若者たちが自分の道を切り拓いていく物語でありながら、若者向けにとどまらず、大人が見ても素晴らしいものばかりだった。多くの作品がリメイクできると思う」(オーストラリア)、▷「日本のドラマは脚本が深みがあって素晴らしく、魅力的だ。海外展開でそれを変える必要はない。しかし、日本のドラマをそのまま欧米に売るのは難しい。西洋の俳優に演じさせるなどのアダプテーションが必要だろう」(スイス)――など、海外市場で日本の作品がステイタスを上げていくための具体的な提言が相次いだ。
会場では日本から現地入りしたドラフェス実行委の遠藤委員長がバイヤーたちを歓迎。昨年に続いての登壇となった同委員長は「日本の多様なコンテンツの魅力を皆さんと分かち合うために参りました」とあいさつ。MIPCOMでの各国の熱心な売り込みも引き合いに出しながら、「皆さんにはどうか日本のファンになっていただきたい。そのためにはまず、私たち日本の文化や習慣、美意識に理解を深めてもらうことが大切です」と述べ、そのあと予定された日本の食をふるまうイベントへの参加を促した(写真㊦)。
【編集広報部注】
・グランプリを受賞した『最高の教師』は2024年民放連賞「テレビドラマ」で優秀を受賞しました。詳しくは桧山珠美さんによる審査講評をご覧ください。同じくグランプリの『海のはじまり』は成馬零一さんの「2024年夏ドラマ総括」、奨励賞の『アンメット』も「2024年春ドラマ総括」で紹介いただいています。
・稲木せつ子さんによるMIPCOM全体のリポートは後日掲載の予定です。