中国系の動画アプリ「TikTok」の米国事業が1月23日、米国の投資家らが主導する新たな合弁会社による運営に移行した(冒頭画像は新会社のリリース)。米・中両政府の承認を経て新会社への売却が完了し、6年にわたった法的・政治的な攻防が一区切りとなった。
新会社の「TikTok USDS Joint Venture LLC」はIT大手のオラクル、投資ファンド大手のSilver Lake、アラブ首長国連邦(UAE)の政府系投資会社MGXがそれぞれ株式の15%ずつを保有。これにTikTokの既存株主であるデル・テクノロジーズ創業者マイケル・デル氏の個人投資会社などが加わり、中国系以外の持ち株比率が80%を超え、バイトダンスの同比率は20%弱に抑えられた。CEOにはバイトダンス傘下のTikTokで運営責任者だったアダム・プレッサー氏が就任。取締役は7人で過半数が米国人だ。新会社は2億人を超える米国内ユーザーのデータ保護、アルゴリズムのセキュリティ管理、投稿内容の掲載可否判断などを担うという。
2024年に成立した「TikTok禁止法」はバイトダンスがTikTokの米国事業を分離しなければ、米国内での事業運営を禁止するとしていた。トランプ政権は法執行の延期を繰り返しながら売却を後押ししていたが、2025年9月に大統領令が定めた2026年1月22日の期限を前に、正式合意と取引完了が同時に成立した(それまでの経緯は既報)。
しかし、米メディアはこれまでの懸念が解消されたわけではないと伝えている。TikTokの中核である推奨アルゴリズムの扱いだ。アルゴリズムそのものはバイトダンスが引き続き保有し、新会社にライセンス供与されるが、これでは法律が求めた「あらゆる業務関係の終了」を満たさないとの指摘だ。アルゴリズムの設計や改修にバイトダンスがどこまで関与するのか不明で、国家安全保障上の懸念も残されたままだ。主要投資家の一部がトランプ大統領と近い関係にあり、政権寄りの意見や米政府の立場がアルゴリズムやコンテンツ運営に影響を及ぼすおそれがあるのではないかと懸念する声もある。
新法人への移行直後から米国版TikTokはアルゴリズムの挙動や投稿表示をめぐる混乱が表面化し、システム障害や不具合も相次いでいるという。表向きは「中国からの切り離し」が実現したものの運営上の課題はなお残り、これが終着点ではなく新たな議論の出発点となりそうだ。
