米TikTokの売却期限迫る 最高裁は禁止法支持の方向

編集広報部
米TikTokの売却期限迫る 最高裁は禁止法支持の方向

動画共有アプリTikTokの米国内での事業売却期限が1月19日に迫った。TikTokの親会社である中国のテック企業「バイトダンス」がこの日(大統領就任式前日=バイデン政権最後の日)までに売却しなければ、米国でアプリの配信や更新が禁止される。2024年4月に米連邦議会が可決し、バイデン大統領が署名した「TikTok規制法」に基づくものだ。

TikTokは規制法の制定後、「言論・報道の自由を保障した憲法修正第1条に違反する」として裁判所に異議を申し立てたが、24年12月6日、ワシントンDC連邦控訴裁判所は"国家安全保障上の懸念"を理由にこれを退けた。TikTokは12月10日に米連邦最高裁判所に上訴、年が明けた1月10日に開かれた口頭弁論で憲法修正第1条に違反するとあらためて主張。しかし、判事側は新法を支持する可能性が高いと示唆した。Forbes誌は早ければ1月15日にも判決が下ると伝えている。

「TikTok規制法」は米国の国家安全保障やデータプライバシーが脅かされるとの懸念から立法化。米国内で1億7,000万人が利用しているといわれ、ピュー・リサーチセンターの調査によれば、30歳未満の米国内成人の39%がニュースや情報をTikTokから得ているという。ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)は12月15日付でFOXニュースやNBCなどの放送メディア、WSJ、ニューヨーク・タイムズ(NYT)など大手新聞社が近年、TikTokを大いに活用していると伝えている。FOXの視聴者の平均年齢は69歳。その子どもや孫の世代にリーチするためにはTikTokが重要なツールだという。FOXやNBCUなどは、TikTokのユーザーが企業の公式アカウントよりも個人のクリエーターアカウントに反応するとのデータを基に、自局のリポーターにその個人アカウントでニュースを発信するようタスクを課しているという。WSJによると、従来メディアによるTikTokでのこうした発信努力は、それ自体で収益にはつながっていないものの、テレビや新聞に無縁の若者層にリーチするにはTikTokがベストとの判断があるとみる。それだけに、TikTok禁止の現実化に備え米メディアや広告主、クリエーターなどは代替計画を立てているといわれている。

なお、ドナルド・トランプ次期大統領は当初から同法律には懐疑的で、24年12月には発効延期を求める意見書を最高裁に提出していた。近く下される最高裁の判断とその後のTikTokの去就に注目が集まっている。

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