【2021年日本民間放送連盟賞 最優秀受賞のことば(テレビCM)】東海テレビ放送 公共キャンペーン・スポット ジェンダー不平等国で生きていく。(300秒)

繁澤 かおる
【2021年日本民間放送連盟賞 最優秀受賞のことば(テレビCM)】東海テレビ放送 公共キャンペーン・スポット ジェンダー不平等国で生きていく。(300秒)

周りに女性の先輩がいない。新人時代、報道部で勤務していた私は、自分の未来像を描けず、心細い思いをしていました。

あれから11年。育休から復帰して間もない今年初め、CMの制作責任者を任されました。過去に同じ立場を経験しているため、作業量を考えると時短勤務の私に務まるのかと不安が先に立ちました。ところが、上司から「女性を扱うのはどうだろう?」とテーマの種のような提案と制作スタッフ増員の約束をもらった途端、「あのときのモヤモヤに今なら向き合えるかもしれない」との思いに切り替わりました。

女性の後輩に制作チームに加わってもらい決めたテーマは、ジェンダー平等について。後輩とは「社会に出て女性として感じた生きづらさや、やりにくさに向き合えるものにしたいね」と思いを共有。この点はチーム内の女性たちとは感覚的に分かり合えても、男性に理解してもらうまでにはかなり言葉を尽くして説明する必要がありました。男性からは「ジェンダーの議論を聞くと、なんだか責められているように感じて引いてしまう」という感覚的な本音などを語ってもらいました。より多くの人に届く表現を目指す上でどうしたらいいのか。ジェンダーの問題をみんなで考えるときに、一歩引いてしまう人たちを巻き込むにはどうしたらいいのか。最後までスタッフ内で議論が続きました。

こうして完成したのが今回のCMです。受賞という形で受け止めていただけたことをとてもうれしく思います。


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