2022年民放連賞最優秀受賞のことば(テレビドラマ番組) TBSテレビ 『最愛』

新井 順子
2022年民放連賞最優秀受賞のことば(テレビドラマ番組) TBSテレビ 『最愛』

このたびは、栄誉ある素晴らしい賞を頂きありがとうございます。この作品はサスペンスでありながら、さまざまな深い愛情を描いた人間ドラマにしたいと企画しました。湊かなえさん原作の『夜行観覧車』『Nのために』『リバース』を一緒に作った脚本の奥寺佐渡子さんと清水友佳子さん、そして塚原あゆ子監督をはじめとする優秀なスタッフとオリジナルサスペンスに挑戦できることは楽しみしかありませんでした。

...が、初めてのオリジナルサスペンスをどう進め、展開していくのが良いか? 走っては立ち止まり振り返り、また走っては立ち止まり振り返り......と一歩ずつ進んだ制作期間でした。会議室に何時間も籠もり、構成に頭を悩ませ...「この打ち合わせは終わらないかもしれない」と思ったのは一度だけではありません(笑)。それでも脚本家さんと監督の力を借りて1話ずつ丁寧に作り上げていきました。

そしてその台本をもとに、素敵なキャストの皆さんが役に息を吹き込んでくれるワクワクとドキドキ。現場では主演の吉高由里子さんの明るさに救われ、キャスト皆さんのお芝居に感銘を受け、編集室では一番初めの視聴者になれる恍惚感は、前に進む原動力になりました。

コロナ禍の撮影は岐阜県の白川郷からスタートし、オールロケでさまざまな場所で撮影をさせていただきました。白川郷では毎日のように雨が降り、A・B・C・Dパターンと数パターンスケジュールが用意され、天候によってスケジュールが変わりました。急に晴れ間がくれば急きょ予定を変更し、「良い画(え)」を撮ろう! と一致団結して素晴らしい景色とお芝居を撮ることができました。どんなときも柔軟に対応してくれたキャストとスタッフには感謝しかありません。

そしてこのドラマは、本当にたくさんの方々に指導や監修、ご協力をいただきました。専門家の皆さんがいなければ台本は完成していなかったと思います。この場を借りてお礼申しあげます。本当にありがとうございました。

スタッフキャストが一丸となり、面白いものワクワクするものを届けたいと挑んだ作品がこのように評価をいただくことができて心からうれしく思っています。ドラマが作れるのは観てくれる視聴者の皆さんがいてこそ。今後も視聴者の皆さんの顔を想像しながら、物語を作り続けていきたいと思います。

最後になりましたが、これから数十年経っても『最愛』が見てくだった方々の心と記憶に残る作品であり続けることを願っています。


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