民放onlineは今秋の新番組について、民放連会員の地上テレビ127社と衛星放送13社にアンケートを行った。地上テレビの自社制作ローカル新番組と衛星放送の自社制作新番組の回答から、今回はプライム・深夜帯を紹介する。自局の強みを意識した番組や、出演者や番組の特徴を意識したものが並んだ。
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"強み"を活かす
北海道放送『音楽マシマシ』(月、24:59~25:29、=写真㊤)は、MCを務める北海道出身のシンガーソングライター金子智也さんが、いま気になるアーティストにインタビューを行うほか、アーティストからのメッセージも届ける。番組名は音楽情報を「マシマシ」で届けたい想いから命名。番組はラジオブースで収録し、テレビだけではなくラジオでも放送する。テレビのディレクター経験のあるラジオスタッフがテレビ版、ラジオ版ともに担当し、音声だけでも認識できるテレビ番組を意識して制作している。テレビとラジオで番組本編の時間が異なるため、その調整が難しいという。田嶋慎一・メディア戦略局編成部主任は、「番組認知やファンマーケティング手法の一つとして、ラ・テ兼営局の強みを生し、ラジオ・テレビ同コンテンツに積極的に取り組んでいる」と語った。
阪神タイガース戦の中継が看板番組のサンテレビジョンは、阪神タイガースの名試合をダイジェストで振り返る『虎辞書なる!!』(土、19:58~21:22)を組んだ。野球中継が雨天中止となった際の番組として2003年にスタートした同番組が、ナイターオフに新作を掲げてレギュラーに。番組名はこれまで進行・解説を担当していた同局の元アナウンサー・谷口英明氏の造語で、"虎の辞書"と伝統(traditional)をかけている。取り上げる試合は、ディレクターを中心に印象に残った中継について会議を行い、選定。水野亮・編成スポーツ局次長は、「いろいろな選手を紹介するとともに、試合プラスアルファのトピックスを入れるようにしている」と話した。アルファのトピックスを入れるようにしている」と話した。
独自の切り口から
南日本放送『ノーカットホテイソン』(月、23:56~24:26)は、お笑いコンビ・東京ホテイソンの大ファンの社員が冠番組を企画、年内でもらえたスケジュールが9月の2日間しかなかったため、2人が県内のあちこちを巡る様子をノーカットで届ける。初日に12本、2日目に8本分の本編をノーカットで収録。ロケ地は、配信も視野に入れて鹿児島県を全国にアピールするため、観光名所などを中心に決めた。導線を確保したうえで、見栄えや情報があるところをどう効率よく回るか、その選定に一番苦労したという。「収録本数は『いろはに千鳥』(テレビ埼玉)の1日8本収録を超えたのではないか? とひそかに思っている」と切通啓一郎・編成局長。「移動などただ歩いているだけの部分は通常カットするが、全部使う。2人の開き直った姿勢が逆に笑いを誘う」と語った。なおYouTubeでは、地上波では放送されていない2つのCMゾーンを含めた内容を順次配信している。
あいテレビ『シモリュウの5W1H』(隔週土、25:28~25:58)は、お笑いコンビ・シモリュウが全国津々浦々でロケを行い、5W1H(いつ、どこで、だれが、何を、なぜ、どんなふうに)を探して、最終的にそれを"ニュース化"して届けるバラエティ。若手の社内横断チームで企画検討し、全国に向けたコンテンツ制作と発信にチャレンジしようと立ち上げた。天野辰平・コンテンツ局制作部ディレクターは、「自らスポンサー獲得に動き、企画・営業・撮影・編集・プロモーションに至るすべてを網羅した番組作りを目指している。『市場はマス、ターゲットはコア』の考え方で、お笑い好きやシモリュウのファンに愛される番組にしたい」と話した。
東海テレビ放送『筋肉食道』(偶数週水、24:25~24:40)は、"筋肉芸人"の先駆けであるお笑いコンビ・品川庄司の庄司智春さんが、筋肉を愛する"筋肉ツウ"をゲストに迎えた筋肉×グルメがテーマの番組。
個性あふれる"街ブラ"
テレビ大阪『大阪おっさんぽ』(土、18:58~19:54)は、お笑いコンビ・メッセンジャーの黒田有さんと2人の"ゲストおっさん"が大阪の街を散歩する。同局が放送する大阪ローカルのゴールデンタイムのレギュラーとしては11年ぶりの新番組。変にバランスをとらず、"おっさん"だけで固めた方が面白そうという思いから企画した。マイクロドローンやシネマカメラを使い店の情報や風景を入れるなど「街情報の紹介映像は魅力を伝えるために工夫している」と三好直・制作局プロデューサー。「時折入る羽野晶紀さんの関西弁のツッコミのナレーションは視聴者が共感し、面白いものになるように構成作家や演出など皆で頭を悩ませながら作りあげている」と明かした。
お笑いコンビ・笑い飯の西田幸治さんが奈良県内を大喜利しながら歩くのは、奈良テレビ放送『笑い飯西田のてくてく大喜利』(隔週火、23:05~23:35)。RKB毎日放送『#バズポチ~ソクセキを残せ!~』(火、24:55~25:25)では、お店自慢の逸品グルメをかけて、街ゆく人々から聞き出したSNSフォロワー数をポイント化しながら"街ブラ"する。
それぞれの視点から歌を届ける
日本BS放送(BS11)『鶴瓶のええ歌やなぁ』(木、20:00~20:57)は、笑福亭鶴瓶さんと八木亜希子さんが、スナック風のスタジオにゲストを迎え、名曲にまつわる秘話からプライベートまでを聞くとともに、ゲストに名曲を歌ってもらう歌謡&トーク番組。視聴者にも「ええ歌やなぁ」と思ってほしいという願いを込めたほか、「鶴瓶さんがつぶやきそう」ということもあり、このタイトルに。鶴瓶さんは収録の前に必ずゲストの曲を聴き込んでから収録に臨んでいるという。プロデューサーを務める小林都仁氏は、「鶴瓶さんがMCだからこそ引き出せる、ゲストが曲に込めた思いやエピソードトークが番組の大きなポイント。それを聞いたうえで、曲を聴くといつもと違った味わいがある」と話した。
CBCテレビ『お歌詞もぐもぐ』(木、24:58~25:30)は、ゲストアーティストの楽曲の「歌詞」だけにフューチャーして届ける音楽バラエティ。「今までで一番作詞が大変だった歌詞」「影響を受けた有名アーティストの歌詞」「他のアーティストが使っていない言葉を使った歌詞」などを深掘りする。BSテレビ東京『晩酌放浪歌~名曲と瓶ビールと~』(土、22:00~22:30)は、お笑いコンビ・霜降り明星のせいやさんが瓶ビールとギターを持ってさまざまなお宅を訪問、瓶ビールを飲み交わしながらその人の人生を深堀りし、即興歌や楽曲を披露する。
日韓制作やマンガ原作のドラマ
名古屋テレビ放送が韓国の製作会社PH E&Mと共同製作した連続ドラマが、『彼女のいない時間』(水、24:20~24:52)。記憶を失った主人公が愛で再起する物語で、主演をキム・ヒョンジュンさん、ヒロインを天翔天音さんが務める。韓流ドラマのビジネスノウハウ獲得と、人気をフックに日韓の強みを組み合わせて日本全国・世界の視聴者に興味を持ってもらうことを狙う。紹介や商談会を通じてスケジュールや予算、ロケ地などの諸条件が一致したPH E&M社とタッグを組んだ。同局からは第1コンテンツプロデュース部の4人が監督、プロデューサーなどで制作に携わっている。プロデューサーを務めた北川咲絵氏は、「日本の監督の"間"を重要視する情緒的感性や、韓国の脚本家の王道でストレートな脚本構成、韓国の撮影監督の画の強さなど、日韓両国の強みを融合した表現に期待してほしい」と述べた。
BS松竹東急『めんつゆひとり飯2』(水、23:00~23:30)は、瀬戸口みづきさん原作のマンガ『めんつゆひとり飯』をドラマ化したシリーズ2作目。鞘師里保さんが演じるズボラOLの面堂露(めんどう・つゆ)が、万能調味料・めんつゆを駆使してアイデア料理を作る。読売テレビ放送『未成年~未熟な俺たちは不器用に進行中~』(月、25:35~26:05)は、全世界で640万PV以上を記録した韓国発のBL(ボーイズラブ)マンガを実写化した。