「愛知・岐阜・三重制作者フォーラムinなごや」(2022年度)開かれる テレビのこれからを考える

編集広報部
「愛知・岐阜・三重制作者フォーラムinなごや」(2022年度)開かれる テレビのこれからを考える

各地の放送局と放送文化基金が共催する「制作者フォーラム」が、11月から2023年1月まで、全国5地区(北日本、北信越、愛知・岐阜・三重、中・四国九州・沖縄)で開催されている。フォーラムでは、制作者同士の交流の場を設けることを目指し、若手制作者によるミニ番組コンテストと、ゲスト審査員のトークセッションが行われる。民放onlineでは各地区の模様を伝える。今回は「愛知・岐阜・三重」。

なお、各地区から制作者が集う「全国制作者フォーラム」は23年2月18日(土)、東京の如水会館で行われる。


「愛知・岐阜・三重制作者フォーラムinなごや」は1116日、愛知・名古屋市の東別院ホールで開かれた。CBCテレビ、東海テレビ、名古屋テレビ、中京テレビ、テレビ愛知、岐阜放送、三重テレビの民放テレビ7社に加え、NHK名古屋・岐阜・津の各放送局から95人が参加した。

ミニ番組コンテスト

各局の若手が制作したミニ番組を上映した。ゲスト審査員を務めたテレビ東京の高橋弘樹ディレクター、元フジテレビの明松功・KAZA2NA社CEO、元東海テレビの齊藤潤一・関西大社会学部教授が作品ごとに講評を行った。

学生の頃に通りがかったかき氷屋の店主や、地元の百貨店の外商員、音楽活動をするお坊さんなど、ユニークなテーマを取り上げた特集や番組が並んだ。審査員は若手の制作力に感心したり、ローカル局ならではのテーマを高く評価したうえで、制作者自身の目線を入れることや、さらなる深掘りを提言した。

上映された10作品の中から次の3本を優秀賞に選んだ。▷東海テレビ・小島範美氏=NEWS ONE『14歳!!左手の指なくても「二刀流」』▷CBCテレビ・柳瀬晴貴氏=チャント!『悪魔の病と闘うウーバー配達員』▷中京テレビ・市村哲大氏=「キャッチ!」アスリート全力応援 『プロ野球ドラフト会議"母への恩返し"その結末は...』。

3番組いずれも、障がいや挫折などそれぞれの困難と向き合いながら夢を目指す若者に焦点を当てた作品で、取材対象者の前向きな姿勢を取り上げ、明るく伝えた点などが評価された。

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<優秀賞講評の模様

トークセッション

続いて、元テレビ局員の明松氏と齊藤氏、現在YouTubeに注力している高橋氏が、事前に参加者から寄せられた質問をもとに、「テレビのこれから」について議論を交わした。

制作者としてやりがいを感じた瞬間をそれぞれが回顧。明松氏は、東日本大震災直後の『FNS27時間テレビ』での経験を挙げた。「当時、ディレクターとしてロケハンで被災地に行ったが、現地の人たちは心を開いてくれなかった。2カ月ほど避難所や現地に通い、少しでも仲良くしてもらえるようにした」と話し、「放送当日は被災3県から中継し、コントや歌を届けた。その経験から『ただ届ければいい』から『ちゃんと伝えないといけない』に意識が変わった。40歳にして良い勉強になった」と明かした。齊藤氏と高橋氏は自身が携わった番組の初めてのオンエアを振り返り、高橋氏は「マスに届けられるのはテレビの特権だと思う。若い人には活かしてほしい」と伝えた。

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<明松氏

齊藤氏がディレクターを務めたドキュメンタリー『裁判長のお弁当』のタイトルにまつわるエピソードも。実際の裁判官の執務風景を通じて、司法の現状と問題点を描いた同作品について、齊藤氏は「取材当初は裁判長が朝から晩まで机に座っているだけの画しか撮れなくて面白くなかったが、裁判官が毎日昼食と夕食の2回分の弁当を持ってくるという聞いたことから着想した」と述べ、「ギリギリでタイトルを決めた」と明かした。高橋氏は「『裁判長のお弁当』は堅さと柔らかさが合わさった意外性がよい」と分析し、タイトルの付け方をめぐって、会場の若手に「視聴率を狙うなら、分かりやすさを重視してはどうか」と助言した。

テレビ局を辞めた理由を問われた齊藤氏と明松氏。齊藤氏は「母校から声がかかり、子どもの頃の夢だった大学教授になった」。明松氏は理由を明かせないとしながら、「『テレビでもまだこんなことができるのか』と感じる番組を見ると辞めたことを後悔する。制作者の皆さんにはそういった番組を作ってほしい」と伝えた。

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<齊藤氏

終電を逃した人の家について行くバラエティ番組『家、ついて行ってイイですか?』を企画した高橋氏には、「一般の人の中からドラマを見いだすには」という質問が。高橋氏は「取材対象者の味方になるスタンスを崩さない。ダメなところも含め、その人が持つ魅力を引き出す」と答えた。齊藤氏は中京テレビ『ヒューマングルメンタリー オモウマい店』を挙げ、「短期間でも、人間関係をつくるからこそ面白いものができる。あの番組は若い人にとって勉強になる」と話した。高橋氏も「良いドキュメンタリーは対象との関係ができている」と分析した。

制作者なら気になるコンプライアンスについて、それぞれが向き合い方を語った。齊藤氏は「常識的な目線で考えながらも、まずは自分の信念や表現を貫いてほしい。辞めてからそう思った」と伝えた。明松氏は「視聴者はコンプライアンスが気になると笑えなくなる。狙った笑いが取れないので遵守すべきだ」とし、「本当に抵触するかどうかは自分で考えてほしい」と制作者に提言した。続けて、高橋氏も「『コンプライアンス=法令遵守』だという定義を再確認してほしい。『抵触しているか分からないから遵守する』ではいけない」と話した。

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<高橋氏

最後にテレビの将来を問われ、「番組づくりを大切にしながら、さまざまなチャレンジが必要だ」(齊藤氏)、「社員の副業を認めてほしい。外部で制作したものが話題になれば局に還元されるのでは」(明松氏)、「今日の上映作品を見て、テレビはクオリティが高いと感じた。一方でテレビはハードとしては使い勝手が悪いので、工夫していくべきだ」(高橋氏)とそれぞれ答えた。

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