第45回「地方の時代」映像祭2025 グランプリはNHK福岡 優秀賞に鹿児島テレビ、福井放送

編集広報部
第45回「地方の時代」映像祭2025 グランプリはNHK福岡 優秀賞に鹿児島テレビ、福井放送

第45回「地方の時代」映像祭2025(主催=NHK、民放連、日本ケーブルテレビ連盟、吹田市、関西大学で組織する実行委員会)が11月15―21日に大阪・吹田市の関西大学千里山キャンパスで開かれた。

15日のコンクール贈賞式では、冒頭、主催者を代表して高橋智幸・関西大学学長から開会のあいさつと宣言が行われた。高橋学長は、「本年も全国から318作品が寄せられた。これらの作品は、どのような視点から何を問いかけようとしているのか。いま地方では何が起こり、それは現代社会に何を訴えかけるのか。ある地方での投げかけが、別の地方での課題解決の糸口になるのではないか。本映像祭に集まった関係者が一緒になって、この国のあり方に考えをめぐらせる。そうした機会となることを願う」とあいさつし、開会を宣言した。


高橋学長あいさつ.JPG<関西大学の高橋学長(中央)が開会あいさつ>

第1部の贈賞式では、「高校生(中学生)部門」(参加:28作品、以下同)」「市民・自治体・学生部門」(86作品)、「ケーブルテレビ部門」(58作品)、「放送局部門」(146作品)の順に、参加作品から選ばれた優秀賞・選奨・奨励賞が発表、表彰された。

★高校生、大学生セット.jpg<「高校生(中学生)部門」㊧、「市民・学生・自治体部門」の贈賞式のもよう>

★ケーブル、放送局セット.jpg

<「ケーブルテレビ部門」㊧、「放送局部門」の贈賞式のもよう>

民放関係では、放送局部門の優秀賞を受賞した鹿児島テレビ放送報道制作局制作部・四元良隆氏、福井放送報道制作局報道部・五十嵐康平氏がそれぞれ代表して壇上で受賞のことばを述べた。


★鹿児島テレビと福井放送.jpg<優秀賞を受賞した鹿児島テレビ放送の四元氏㊧、福井放送の五十嵐氏>

放送局部門の入賞作品は次のとおり(エントリー順)。
【優秀賞(3作品)】
★放送局優秀賞.jpg

【選奨(6作品)】
★放送局部門選奨一覧表.jpg
さらに全参加作品の中から選ばれる最高賞のグランプリは、NHK福岡放送局『ETV特集「独りでも、大家族 久留米・じじっかの1年」』(=写真㊦㊧)が受賞。同作品は子育てや不登校など、さまざまな悩みを抱える人たちを"実家"のように寄り添って支える施設(「じじっか」)に1年間にわたって密着した番組。妊娠中に福岡から久留米に通って制作したという加藤麗ディレクターは「綱渡りのような番組制作で、ここまでたどり着けたのは奇跡のよう。取材先のじじっかの環境と配慮に感謝したい」と語った。

★グランプリ写真セット.jpg

<グランプリを受賞したNHK福岡放送局の加藤ディレクター(写真㊨)>

「地方の時代」映像祭2025の入賞作品一覧はこちら。(※外部サイトに遷移します)

贈賞式の後、袴田ひで子さん(死刑判決確定から再審無罪となった袴田巖さんの姉)による記念講演『58年闘って...今 思うこと』が行われた。

★袴田ひで子さん.JPG

<袴田ひで子さんによる記念講演

第2部では、グランプリ作品の上映とシンポジウムを開催。シンポジウムは「戦後80年"戦争とメディア"を問い直す」と題し、森達也氏(作家・映画監督)をモデレーターに、パネリストとして大島隆之氏 (NHKエンタープライズ シニア・プロデューサー)、伊藤秀男氏(伊那ケーブルテレビジョン 常務取締役)、松本早織氏(沖縄テレビ放送報道局 報道部記者)、須賀川拓氏(戦場記者 元TBS中東支局長)が登壇。「メディアが戦争を伝える今日的意義」「ジャーナリズムとドキュメンタリー」などについて話し合った。

★戦争とメディア.JPG

<森達也氏(写真㊧)をモデレーターに行われたシンポジウム

16日は、受賞作品などの上映会のほか、2つのワークショップを開催。ワークショップ①「学生・高校生の映像制作 ~テレビ制作者とガチトーク!~」(=写真㊦)では、学生・高校生の受賞者と、現役テレビ制作者らが番組づくりについて意見交換。受賞・入賞作品の裏側や制作意図がよく分かるとともに、学生・高校生はプロの多様なアドバイスに学ぶ、同映像祭ならではのトークセッションとなった。

★学生ワークショップ写真.JPG

16日午後のワークショップ②「SNS時代"情報の民主化"と民主社会の未来」では、山田健太氏(専修大学ジャーナリズム学科教授)をモデレーターに、パネリストとして村瀬健介氏(TBS「報道特集」キャスター)、前川茂之氏(神戸新聞)、鵜殿良氏(NHKメディア総局デジタルセンター)が登壇した。

17日には、2024年「侍タイムスリッパー」が大ヒットした映画監督で、米農家をしながら創作する安田淳一氏による「私の映画づくり、コメづくり」と題した特別講演および映画『ごはん』の上映が行われた。


参考情報:
12月6日(土)13時30分―17時には、「グランプリ作品東京上映会・作品を語る会」が東京・丸の内の関西大学東京センターで開催される。詳細や参加申し込みはこちらから。(※部サイトに遷移します)

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