英BBCは7月14日、現行の英国内向けニュースサービス「BBC News」とグローバル市場向けサービス「BBC World」とを統合した新たなTVチャンネルを来年4月に立ち上げる計画を発表した。これはBBCが5月26日に発表した「デジタルファースト構想」に沿った動きで、ティム・デイビー会長は、コスト削減とデジタル化推進のために2つのニュース専用チャンネルを統合すると表明していた。
今回、統合にむけて詳細な計画が明らかになった。それによると、新ニュースチャンネルは、英国でお馴染みの「BBC News」のブランド名に統一される。2チャンネルの制作チームは1つに再編成され、ライブ報道に力を入れるためにデジタルニュース部門との緊密な協力体制が作られる。今後スタッフや労働組合と協議するとのことだが、統合により英国拠点の職員70人が削減されるという。また予算を抑えた新番組として、朝の人気ラジオ番組を「映像化する」という。
大きなニュースが発生した時にウェブのライブ情報にアクセスが集中するという、最近のニュースの消費傾向に合わせた「デジタルファースト」の実現も目指す。指揮するのはBBC Newsデジタル担当ディレクターのニールセン氏。デンマークの公共放送DRでデジタル改革を推進した経歴を持つ。
「国内外の視聴者に、世界で最高のジャーナリズムを届ける」とし、「世界で最高のライブ映像と動画によるニュース速報を、ウェブサイト、アプリ、iPlayer、そして新しいテレビニュースチャンネルで提供すること」を目標に掲げている。
24時間ライブ体制を強化するため、ロンドン以外にワシントンD.C.とシンガポールに放送拠点を新設するとのことで、英国の日中時間帯はロンドン発で放送し、夜間は新設の2拠点のスタジオが放送を担当する。このため、米国首都のスタッフ数は20人増員となり、D.C.発の番組も制作される予定だ。
毎晩18時半から放送されているスポーツニュース『Sportsday』に加え、新チャンネルでは世界のスポーツニュース番組が登場するなど英国の視聴者にとっては、より幅広い国際ニュースにアクセスできるようになる。その一方で、英国向けニュースが手薄にならないよう、英国向け定時ニュースを流すほか、英国で大きなニュースが発生した場合は、英国内向けにニュース中継をストリーミング配信するとしている。このほか、英国内は広告なしの無料放送であっても国外ではCMが挿入されるため、CM時間に英国内だけは別のコンテンツが流れるなど、部分的に国内、国外向けに2つのフィードが制作される模様だ。