米CBSニュースの"保守寄り"改革方針に高まる不満 キャスターやスタッフも続々と離脱

編集広報部
米CBSニュースの"保守寄り"改革方針に高まる不満 キャスターやスタッフも続々と離脱

米CBSニュースで2025年10月に編集長に就任したバリ・ワイス氏の方針に内外から不満が高まっている。ワイス氏はニューヨーク・タイムズ紙の記者を経て、保守系オンラインメディア「The Free Press」を創設。CBSの当時の親会社だったパラマウントがスカイダンスと合併して「パラマウント・スカイダンス」に経営が移ってから、スカイダンス出身のディビッド・エリソンCEOがThe Free Press を買収するとともにCBCニュース部門の責任者に抜擢していた。

ワイス氏は1月下旬、ポッドキャスターや独立系ライターを中心とする新たな出演者陣を発表。ここにはThe Free Pressでコラムニストや寄稿者として活動してきた保守派の歴史学者などが名を連ねる。米国民のニュース離れを「視聴者がニュースを消費しなくなったのではなく、ポッドキャストやYouTube、Twitch* といった別の場所に移動しているだけだ」とその背景を説明。テレビ放送にとどまらず複数のプラットフォームを通じて発信力を高めていくとしている。

しかし、米メディアによるとワイス氏の編集判断や人事をめぐってベテラン記者やプロデューサーの間に「編集の独立性が損なわれかねない」との懸念が強まっているという。看板番組の『CBSイブニングニュース』や『60ミニッツ』に対して、トランプ政権関係者に発言機会をより多く与えるよう圧力をかけているとも報じられている。1月に『CBSイブニングニュース』の新たなアンカーにトニー・ドコウピル氏が就任して以来、マルコ・ルビオ国務長官を称賛するような演出や米移民・税関捜査局(ICE)の取締官による銃殺事件の深刻さを矮小化したと受け取られかねない内容が放送されるなど批判が噴出。視聴者数も低迷しているという。

今回の改革方針にもすでに反発や混乱が表面化。オンラインメディアの「Variety」が2月12日に報じたところによると、『CBSイブニングニュース』のスタッフ40人のうち11人が新方針に納得できず辞職。また、2月16日には人気キャスターのアンダーソン・クーパー氏が『60ミニッツ』から離脱したと報じられた。クーパー氏はCNNのアンカーで、20年近く『60ミニッツ』の特派員を兼任していただけに打撃といえる。さらに同じ時期には15%近いレイオフの可能性も報じられた。

地上波ニュースの視聴者が長期的に減少し、広告収入の基盤も揺らぐなか、外部に影響力を持つ人材を取り込んで存在感を高めようとするワイス氏の戦略は一定の合理性があると報じるメディアもある。一方、報道機関としての信頼性や公正で一貫した編集プロセスをいかに維持するかも重要だ。すでにCBSニュースではこれまで数年にわたって経営陣や番組司会者の交代が相次ぎ、組織の不安定さが指摘されてきた。ワイス氏の体制が混乱をさらに増幅させるのか、新たな均衡点を見いだすのかが注目されると米メディアは伝えている。


* Amazonの子会社が提供するライブ配信プラットフォーム

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