民放連は6月13日、第1回人権に関する講演会を開催した。特定社会保険労務士の小磯優子氏を講師に招き、「ビジネス推進の現場における人権尊重の必要性と実践方法」と題し講演。民間放送特有の人権リスクを指摘するとともに経営層が人権尊重の取り組みの本質を理解し、主体的に関わることを求めた。民放連会員社の経営トップなど184人が参加した。この講演会は、民放連が5月22日に決定した「民放連・緊急人権アクション」(既報)で実施することとしていたもの。
はじめに、ビジネス上の人権尊重の時代背景や近年の動向を概説、人権に関する企業の取り組みに関して欧米を中心に人権デューディリジェンスの義務化等について法制化する国が増えていることなどを紹介した。
続いて、日本の状況を概説。「『ビジネスと人権』に関する行動計画(2020-2025)」、「責任あるサプライチェーン等における人権尊重のためのガイドライン」等を紹介し、企業として取り組むべき▶人権方針の策定、▶人権デューディリジェンスの実施、▶救済メカニズムの構築――を解説、人権尊重に取り組む際に自社のサプライヤー(芸能事務所、番組制作会社等)等に対して一定の取り組みを要求することも想定されるとした。
<第1回人権に関する講演会(2025年6月13日)>
人権に関するリスクとして、国内法と国際基準との間に齟齬がある事例を紹介し、国際基準を尊重するよう求めた。また、民間放送特有の人権に関するリスクにパワハラ、セクハラが挙げられることを調査結果をもとに指摘したうえで、人権リスクを軽減させる取り組みとしてネットフリックスの「リスペクト・トレーニング」を例示し、放送局も人権尊重の取り組みを社会に示すべきだとした。
最後に、人権尊重の取り組みには経営層のコミットメントが重要であること、人権尊重は放送業界として最優先で取り組むべきテーマであることを説明。対応を誤らないためにも経営層が人権尊重の取り組みの本質を理解して積極的・主体的に関わることが極めて重要と強調した。
今後も同講演会を開催し、会員社の経営トップが人権尊重およびコンプライアンスの徹底をあらためて確認する機会とする。