放送界の動きを中心に、行政や海外の動向もあわせ、1カ月の動きを日誌形式で記録します。
*2025年9月分を掲載。
【民放連】
9.5 ガバナンス対応に関する全社説明会をオンラインで開催。「民間放送のコーポレート・ガバナンス強化に関する基本的考え方(案)」のほか、民放連が実施した全社アンケート結果などを説明。
9.18 2025年度第4回理事会を開催。▶民間放送のコーポレート・ガバナンス強化に関する基本的考え方▶2025年日本民間放送連盟賞各部門の受賞作品・事績およびグランプリ候補番組▶第73回民間放送全国大会(名古屋)宣言文▶臨時総会の開催と議案――を承認。
9.18 早河洋会長が定例記者会見。「民間放送のコーポレート・ガバナンス強化に関する基本的考え方(案)」を示し、本来、ガバナンス強化は各社がそれぞれに取り組むものであり、実際に個社の経営判断で適切に進められているが、フジテレビの事案を契機に、民間放送全体のガバナンスのあり方が疑問視された」「社会からの疑念を払拭し、民間放送が信頼できる情報の発信主体としてあり続けるためには、必要な強化策を自ら講じる必要があると判断し基本的考え方を整理した」と述べた。
9.18 2025年日本民間放送連盟賞〔民放連賞〕の各部門の審査結果を発表。最優秀および優秀に選ばれた作品・事績は番組・CM・技術・特別表彰の4部門13種目で計87件と技術部門で技術奨励賞1事績が選ばれた。あわせて、番組部門のラジオとテレビからそれぞれ選ばれるグランプリ・準グランプリの候補16番組も発表。
9.24 民放連の堀木卓也専務理事、本橋春紀常務理事・事務局長、中村直人弁護士(民放連「ガバナンス対応特別プロジェクト」特別委員)が総務省「放送事業者におけるガバナンス確保に関する検討会」に出席し、「民間放送のコーポレート・ガバナンス強化に関する基本的考え方(案)」などについて説明。
【放送・マスメディア】
9.1 在京民放ラジオ5社(TBSラジオ、文化放送、ニッポン放送、エフエム東京、J-WAVE)、「災害時等における報道協力に関する協定書」に調印。激甚災害が発生した際に報道協力・情報共有などを各社で円滑に行うことが目的。関東のラジオキー局による災害時の相互協力協定は初。
9.2 日本テレビとTBSテレビ、Ad Reach MAXの共通プラットフォーム化に向けた検討で基本合意書を締結。2027年春をめどに業界共通のプラットフォーム化の実現を目指す。
9.2 私的録音録画補償金管理協会〔sarah〕が2025年12月1日からブルーレイディスクレコーダーおよび録画用ブルーレイディスクに係る私的録画補償金の徴収を開始すると発表。
9.13 TBSテレビ、「東京2025世界陸上」を同系列で地上波生放送(21日まで)。開催国としてホストブロードキャスターの役割を務める。日本での開催は1991年東京大会、2007年大阪大会以来3回目。
9.17 NHKの稲葉延雄会長が定例記者会見で民放との中継局の共同利用について、事業化の見通しがコスト的に厳しいとして代替案を含めて協議する方針を明かした。
9.29 日本テレビ放送網、元TOKIOメンバーの国分太一氏によるコンプライアンス違反問題をめぐり、「ガバナンス評価委員会」の最終意見書を公表。再発防止に向け、感度の向上、研修、契約の人権条項を盛り込んだ契約書の取り交わしを適切に対応する仕組み――などを提言した。
【行政・海外】
<行政等>
9.1 東京地裁、NHKがラジオ国際放送等で損害賠償を求めた訴訟に判決を下す。NHKの請求どおり中国語ニュースで不適切な発言をした中国籍の元外部スタッフに1,100万円の支払いを命じた。<関連記事「放送日誌2024年8月」、「放送日誌2024年9月」 【放送・マスメディア】掲載>
9.8 総務省「衛星放送ワーキンググループ」第15回会合を開く。TBSホールディングスが4K放送・4Kコンテンツの流通等に関する取組について、BS-TBSのBS4K放送は収支が厳しい状況が当初(実用放送開始、2018年12月)から続いていることや2027年の放送免許の更新、さらに4K放送のマスター更新の判断も控えている――などを説明。
9.26 政府の地震調査委員会が南海トラフ地震において発生確率の算出方法の見直し(2つの数値を併記する)を発表。地震学的な科学的限界を考慮し12年ぶりに改定した。
9.30 内閣官房と公正取引委員会、「実演家等と芸能事務所、放送事業者等及びレコード会社との取引の適正化に関する指針」を公表。実演家への適切な収益還元やコンテンツ産業関係者の健全な活動等を促進するために①芸能事務所と実演家の取引、②放送事業者等(放送事業者、番組制作会社)と芸能事務所・実演家の取引、③レコード会社と芸能事務所・実演家の取引の3類型について、それぞれが採るべき行動を取りまとめている。
<海外>
9.25 米ドナルド・トランプ大統領が米国内事業として「TikTok」を米国主導で存続させる枠組みを承認する大統領令に署名。
9.29 米カリフォルニア州のギャビン・ニューサム知事がAI企業に安全性・透明性の開示を義務付ける「AI安全開示法(SB53)」案に署名し、成立。米国初の最先端AI技術を対象とした包括的州法となる。年間売上高5億ドル超の企業が対象で違反1件につき最大100万ドルの罰金を科す。施行は2026年1月1日。