放送界の動きを中心に、行政や海外の動向もあわせ、1カ月の動きを日誌形式で記録します。
*2024年1月分を掲載。
【民放連】
1.4 能登半島地震の被災者や避難所などにラジオ200台を届ける。大規模災害時のためにラジオ委員会が備蓄していた。石川県でラジオ放送を行っている北陸放送とエフエム石川に送られたラジオ受信機(各100台)は、社員や石川県を通じて配布された。
1.17 総務省の放送法施行規則等の一部を改正する省令案等に意見を提出。「複数の放送対象地域における放送番組の同一化」と「複数の特定地上基幹放送事業者による中継局設備の共同利用」のための関係規定の整備に賛成するとともに、「基幹放送事業者等の業務管理体制の確保」のための新たな規定には民放事業者への負担軽減を図るよう要望。
1.24 2023年度第8回理事会を開催。▷能登半島地震で被害の大きかった石川県の会員5社の会費を半年間免除する▷日本民間放送連盟賞番組部門の種目を2024年から一部見直す(テレビの「エンターテインメント」を「バラエティ」に名称変更)▷第72回民間放送全国大会を11月6日に東京のグランドプリンスホテル新高輪・国際館パミールで開催する――ことを決める。
1.30 民放連研究所、「2024年度のテレビ、ラジオ営業収入見通し」を発表。地上波テレビ全社の2024年度営業収入は前年度比1.1%減、スポットを同2.3%減と予測。地上波ラジオ全社の営業収入は前年度比で横ばい、スポットは同1.9%減を見込む。
【放送・マスメディア】
1.1 16時10分ごろ、石川県能登地方を震源とするマグニチュード7.6の地震が起きる(令和6年能登半島地震)。輪島市と志賀町で最大震度7を観測し、建物の倒壊や火災、土砂災害が発生。沿岸は津波に見舞われる。死者は200人を超え、多くの被災者が避難生活を強いられた。緊急地震速報のほか、能登に大津波警報、日本海側の広い範囲に津波警報と津波注意報が出され、NHKと民放は通常番組を報道特別番組に切り替えて放送。津波の危険が迫る地域の人たちに「命を守る避難行動」を繰り返し強い口調で呼びかけた。同日以降、テレビ各局は系列局の応援を得て取材や特番などの災害報道体制を敷く。SNS上では被災者に向けた有益な情報だけでなく多数の偽情報も拡散され、放送はそれを打ち消す報道も行った。
1.1 電通の新社長に佐野傑・前統括執行役員が就任。榑谷典洋前社長は2023年12月31日付で退任した。
1.2 羽田空港の滑走路で18時前に日本航空の旅客機と海上保安庁の航空機が衝突。海保機の乗員5人が死亡、旅客機の乗客は全員無事だった。NHKと民放は速報や特番で対応し、2日連続で緊急報道体制を敷く。
1.4 能登半島地震の影響で石川県輪島市の一部でNHKと県内民放4局が停波していると総務省が発表。放送設備の非常電源用バッテリーの枯渇などによるもの(1.9 NHK、臨時対応として4月以降に停波する旧BSプレミアム(BS103ch)のチャンネルで地上波の全国ニュースや金沢放送局の地域向けニュースの放送を開始。12日からは総合テレビのほぼすべての番組も視聴可能に。1.24 総務省、NHKと民放4局の地上波テレビの・ラジオの放送が同日13時30分までに復旧したと発表)。
1.8 吉本興業、所属するお笑いコンビ「ダウンタウン」の松本人志氏が芸能活動を当面休止すると発表。『週刊文春』2023年12月27日発売号が報じた性加害疑惑に対する裁判に注力するとの意向から(1.22 松本氏の代理人弁護士が文藝春秋を提訴したことを吉本興業が発表。1.24 吉本興業、ハラスメント防止のための教育・研修を実施するなどの対応方針を発表)。
1.9 NHK、2024年度収支予算と事業計画を発表。事業収入は前年度比6.5%減の6,021億円、事業支出は同1.9%減の6,591億円。▷NHK、2024―2026年度の中期経営計画を発表。2023年度の受信料値下げを堅持。番組の総量や設備投資などを抑え、事業支出を2027年度までに約1,000億円減らし収支均衡を目指す。AMラジオと衛星テレビをそれぞれ1波削減する。
1.11 BPO・放送人権委員会、TBSテレビの『news23』で2023年1月12日に放送したJA(農業協同組合)職員による"自爆営業"をめぐる調査報道企画に「放送倫理違反があった」とする見解を公表。「取材源の秘匿を貫くことができなかった」と判断。ただし、各社が調査報道に積極的に取り組んでいることは高く評価。挑戦の継続を期待した。
1.23 NHK、能登半島地震の被災世帯・事業者を対象に1―6月の受信料を免除すると総務省に申請(1.25 総務省が承認)。
【行政・海外】
<行政等>
1.18 甲府地裁、2021年10月の放火殺人事件で殺人罪などに問われた当時19歳の「特定少年」に求刑どおり死刑の判決。18、19歳の特定少年が重大事件で起訴された場合に実名報道を可能とした2022年4月施行の改正少年法も踏まえ、検察側は起訴時に少年の氏名を初めて公表している。特定少年への死刑判決も初めて。東京新聞を除くほとんどのメディアが実名で報じた。
1.26 総務省「公共放送ワーキンググループ」第18会合で第2次取りまとめ案をまとめる。地上波ラジオと国際放送の同時・見逃し配信などを必須業務とすべきと明記。衛星放送については権利処理に関わるコスト面で課題があるとし、「当面は見送ることが適当」とした。NHKがネット上で番組の関連情報として提供する「理解増進情報」は廃止を提言(1.29総務省が公表、意見募集~2/20)。
1.31 総務省「日本放送協会のインターネット活用業務の競争評価に関する準備会合」第3回会合を開く。NHKが必須業務化にあたっての基本的な考え方やコンテンツの具体例、多元性の確保と負担のあり方を説明し、意見交換した。
1.31 自民党派閥の政治資金パーティーをめぐる問題で辞任した小森卓郎総務大臣政務官の後任に西田昭二衆院議員(石川県選出)が就任。
<海外>
1.1 地上波と配信の両方で視聴できる無料のテレビネットワーク「Free TV Networks」が米国で開局。スタートは黒人視聴者層向け「The365」とクラシック西部劇ファン向け「Outlaw」の2チャンネルから。広告入りの無料配信〔FAST〕サービスは2024年中に開始する予定。
1.29 Amazon Prime Videoの広告モデルが米国市場で始まる。広告入りプランが月15㌦(年間139㌦)。広告を見たくない会員は月3㌦の追加料金を支払う必要がある。英国・ドイツ・カナダでも同時期にスタート。2024年の後半にはフランス・イタリア・スペイン・メキシコ・オーストラリアにも拡大する。