放送日誌 2023年1月

編集広報部

放送界の動きを中心に、行政や海外の動向もあわせ、1カ月の動きを日誌形式で記録します。今年1月分から随時、掲載予定です。


【民放連】
1.18 「文化審議会著作権分科会法制度小委員会報告書(案)」の意見募集に対する意見を文化庁に提出。民放連は簡素で一元的な権利処理方策と対価還元について、▷新しい権利処理の仕組みの構築にあたっては、「既存のライセンスビジネスや商慣行に悪影響を与えないようにすること」が重要と考える▷分野横断権利情報データベースについては、「制度や仕組みについて、管理運営コストを考慮し、持続可能な仕組みとすること」に留意し、データベースの構築・運用に関して権利者等に過度な負担を求めることがないよう要望する▷オプトアウトの方法について、「著作物単位や著作権者単位での主張を可能とするなど、柔軟な仕組みとする」との記述などに賛成するとした。

1.25 2022年度第8回理事会を開催。主な審議事項は次のとおり。▷2023年度民放連事業計画案・予算案▷「民放の日」キャンペーンの取り組みを見直し、①23年度は「地球環境問題啓発スポット」の放送と「サステナビリティ活動事例集」の作成を行う、②24年度以降の取り扱いは継続検討する▷地上基幹放送局の再免許等に関する諸規定に係る意見募集への対応▷「AM局の運用休止に係る特例措置に関する基本方針案」に対する意見募集への対応▷マスメディア集中排除原則に関する制度改正に対する意見募集への対応▷放送分野における外資規制等に係る法令改正の意見募集への対応▷第71回民間放送全国大会の開催概要▷2022年度スピーカー聴取キャンペーン実施結果▷「文化審議会著作権分科会法制度小委員会報告書案」に対する民放連意見の提出。

1.25 「基幹放送の業務に係る特定役員及び支配関係の定義並びに表現の自由享有基準の特例に関する省令」の一部改正案等の意見募集に対し、技術委員会が関連する委員会と連携して民放連意見を取りまとめ総務省に提出した。

1.25 AM局の運用休止に係る特例措置に関する基本方針(案)に対する意見を総務省に提出した。

1.31 研究所、「2023年度のテレビ、ラジオ営業収入見通し」を発表。地上波テレビ全社の2023年度営業収入は、前年比0.2%増、スポットは同0.2%減と予測。地上波ラジオ全社の営業収入は1.9%増、スポットは同0.2%増を見込む。


【放送・マスメディア】
1.10 NHK、2023年度予算・事業計画を発表。同日の経営委員会で議決後、総務省に提出した。また、修正した2021ー2023年度の経営計画を発表。2023年10月から地上契約と衛星契約の受信料をそれぞれ約1割引き下げることから、2023年度の受信料収入は6,240億円(2022年度比460億円減)の大幅な減収を見込む。

1.16 Zホールディングス、グループ企業が運営する無料動画配信サービス「GYAO!」を3月31日に終了すると発表した。

1.17 国内外のメディアなど11法人、「OP技術研究組合」を設立。インターネット環境の健全化を目指し、新しいデジタル技術「オリジネーター・プロファイル(OP)」の実用化に向けた共同開発を担う。2024年以降、技術規格の国際標準化などを目標とする。

1.19 朝日新聞出版は、創刊100年を超える『週刊朝日』を2023年5月末で休刊すると発表した。このほか、2008年10月創刊の『Journalism』が3月号で休刊する旨を発表、休刊後は同誌の意義を引き継ぎ、「朝日新聞デジタル」や「朝日新聞」の本紙でジャーナリズムをめぐる記事や論考を発信していく予定。

1.25 NHK、新会長に元日本銀行理事でリコー経済社会研究所参与の稲葉延雄氏が就任。前田晃伸氏は1月24日付で退任した。

1.26 日本新聞協会、総務省「誹謗中傷等の違法・有害情報への対策に関するワーキンググループ(WG)」が検討しているインターネット上の誹謗中傷など有害な情報への対策をめぐり、意見書を提出。SNSなどでの人格権を侵害するような投稿の削除をプラットフォーム事業者に求める「削除請求権」を法律に明文化する案について、表現の自由や国民の知る権利に悪影響を及ぼす懸念が解消されない限り同意できないとした。

1.31 Zホールディングスとその傘下のヤフー、LINE、Z EntertainmentがTVerとの業務提携を発表。広告分析ソリューションの共同開発や各社のサービス成長に向けた連携などを強化する。


【行政・海外】
<行政等>
1.18 総務省、2022年12月にNHKの放送受信規約の変更を認可した。NHKは2023年4月1日から、正当な理由なく受信契約に応じない人に、受信料の2倍にあたる割増金を請求できる制度を導入する。

1.18 総務省、電波監理審議会会長に慶應大学名誉教授の笹瀬巌氏、会長代理に三井住友トラスト・ホールディングス取締役会長・三井住友信託銀行取締役の大久保哲夫氏を選任。前会長の日比野隆司氏は任期満了により2022年12月24日付で退任した。大久保氏は12月25日付で委員に就任していた。長田三紀氏を含め任期途中の3委員は変わらない。

1.27 石川県の馳浩知事、記者会見で自らの肖像権をめぐり、石川テレビ放送を批判した。同社は、元日に出場した馳知事のプロレス試合の映像提供を許可されなかったことで馳知事に質問状を提出していた。馳知事は理由を説明するなかで、2022年10月に公開した同社製作のドキュメンタリー映画『裸のムラ』を取り上げ、「自らの肖像権の取り扱いに納得できない」ことを要因に挙げた。同社は後日質問状を撤回したうえで、新たに「報道目的の利用で問題ないと認識している」旨を文書で提出した。

1.31 総務省、「デジタル時代における放送制度の在り方に関する検討会」第15回会合が開かれた。NHKが津波対策で浸水想定地域にあるAMラジオ放送を補完する「主たるFM補完中継局」の整備を認めるよう要望した。

<海外>
1.5 英政府、非営利法人として所有するテレビ局「チャンネル4」を民営化する方針を撤回すると発表。番組制作に関する制限の緩和や民間融資をうけやすくするなどの措置を講ずるとしている。

1.9 米テレビ大手5グループ(Fox、NBCU、Paramount、TelevisaUnivision、Warner Bros. Discovery)と、テレビのターゲット広告販売を強化・推進する企業連合OpenAP、テレビ広告の業界団体VAB(Video Advertising Bureau)、メディア視聴データにおける業界初の共同の委員会「ジョイント・インダストリー・コミッティ〔JIC〕」を結成した。クロスプラットフォーム測定の認定規準などを検討する。

1.11 米ニールセン、次世代視聴データシステム「Nielsen One」の新モジュール「Nielsen One Ads」を全米で始動すると発表した。デバイスや配信プラットフォームを問わずコンテンツの視聴者数を測定する「Nielsen ONE Content Alpha」は、年内に始動すると発表されている。

1.19 米ネットフリックス、2022年第4四半期(10-12月)の収支報告を発表。全世界での新規契約者は766万人で、同社が予測していた450万人を大きく上回った。2022年11月に導入した広告入りプランが既存の広告なしプランのユーザーを侵食することなく、収益を生み出すだろうと同社は評価している。

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