放送日誌 2024年8月

編集広報部

放送界の動きを中心に、行政や海外の動向もあわせ、1カ月の動きを日誌形式で記録します。
*2024年8月分を掲載。


【民放連】
8.8 放送法施行規則の一部を改正する省令案等に対する意見を総務省に提出。省令については、NHKのインターネット配信の必要的配信業務と任意的配信業務それぞれについて、費用の規模と明細などをできる限り分かりやすい形で国民視聴者に対して公表する必要性を指摘した。また、ガイドラインについては、民放の求めに応じ、TVerやradikoに対してより積極的な姿勢で協力することをNHKの業務計画などに明記して遂行するよう求めた。

8.8 総務省「自動運転時代の"次世代のITS通信"研究会」の第二期中間取りまとめ案に対する意見を提出。▷実験試験局の免許手続きの迅速化・円滑化にあたって既存無線局免許人の負担軽減を図ることは妥当、▷干渉検討を簡素化しても有害な混信妨害が発生しないための要件については既存無線局免許人との合意が必要、▷全国的な周波数移行を進めるのであれば既存事業者の不利益にならないことが大前提――などの内容。

8.19 民放連の堀木卓也専務理事、総務省「デジタル時代における放送制度の在り方に関する検討会」の第29回会合にオブザーバーとして出席。基幹放送とそれを支える二元体制の重要性を強調するなどの賛成意見を述べたうえで、▷IPユニキャストによる代替の要件はリーズナブルなものが望ましく、新たな権利処理の負担が生じないことが必要、▷NHKもIPユニキャストで代替可能とすることは適当――などの考えを示した。ラジオ中継局のIPユニキャスト(radikoを含む)による代替についても経営の選択肢を拡げるため、radikoの普及などラジオ特有の事情も踏まえた検討を要望した。

8.20 総務省「デジタル空間における情報流通の健全性確保の在り方に関する検討会とりまとめ(案)」に対する意見を提出。オンライン上の"質の高いメディア"への広告配信が確保されるよう、広告仲介プラットフォーム(PF)には偽・誤情報掲載メディアだけでなく、違法アップロードコンテンツを掲載するメディアへの広告費流入も防ぐよう求めることが必要と要望。


【放送・マスメディア】
8.1 テレビ東京、コンテンツのチェック機能を強化するため、「コンテンツ審査室」を新設したと発表。コンテンツ戦略局の下にあった番組審査部は8日付で廃止し、機能を審査室に移管する。 2023年3月に放送した『激録・警察密着24時‼』で過剰な演出や不適切な内容が複数あった問題などを受けての対応。

8.8  ATP賞グランプリ受賞式が開かれ、『不適切にもほどがある!』(TBSテレビ/TBSスパークル)がグランプリ受賞。

8.14 民放公式テレビ配信サービス「TVer」、パリ2024オリンピックコンテンツの総再生数が1億1,000万再生を突破したと発表。

8.19 NHKラジオ国際放送などの中国語ニュースで中国籍の外部スタッフが原稿にない尖閣諸島の帰属などについて日本政府の公式見解とは異なる不適切な発言を約20秒ほど行った。NHKは陳謝し、同20日から中国語ニュースを事前収録に切り替えるとともに必要に応じてAI音声の導入などの再発防止策を検討することを発表。

8.20 日本新聞協会、総務省「デジタル空間における情報流通の健全性確保の在り方に関する検討会」に意見書を提出。インターネット上の偽・誤情報情報をめぐりSNSを運営するプラットフォーム事業者に主体的な取り組みや責務をより強く打ち出すよう要望するとともに、政府による報道への法的規制につながらないよう慎重な検討を求めた。

8.22 ジャパネットブロードキャスティング、無料BS放送「BSJapanext」は2025年1月(予定)にチャンネルポジションをBS10chに変更するとともにチャンネル名を「BS10(ビーエステン)」にすると発表。あわせて衛星放送で初の同一チャンネルによる無料放送「BS10」と有料放送「スターチャンネル」(BS10スターチャンネル)のハイブリッド運営を行いチャンネルロゴも刷新する。

8.27 NHK、2025年度に「NHKインターネット活用業務実施基準」の2回の変更を検討していることを公表。個人情報等の保護に関する規定の変更や任意的配信業務として「教育」「ラジオ」「国際放送」での長期配信を行う費用を10億円を超えない範囲にする――などの内容を盛り込む予定。


【行政・海外】
<行政等>
8.15 気象庁、南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)に伴う政府としての特別な注意の呼びかけを17時をもって終了。※宮崎県の日向灘を震源とする最大震度6弱を観測した地震により、同庁は南海トラフ地震の想定震源域で大規模地震が発生する可能性が平常時に比べて相対的に高まっているとして8月8日に同呼びかけを開始していた。

8.27 総務省、「放送法施行規則の一部を改正する省令案」(NHKインターネット活用業務関連)について電波監理審議会の原案を適当とする答申を得て、速やかに省令等の整備を行う予定と公表。

8.30 総務省、2025年度予算の概算要求を発表。一般会計要求額は18兆8,327億円で2024年度予算額から6,221億円増加したほか、「重要政策推進枠」として472億円を計上した。放送関係の主な事業として新規に盛り込まれた施策は次の4件。「地上基幹放送の小規模中継局等のブロードバンド等による代替等支援事業」(11.1億円)、「放送コンテンツの海外展開推進に向けた配信プラットフォームに関する実証事業」(4.4億円)、「海外展開に資する高品質コンテンツ製作促進事業」(2.8億円)、「インターネット上の偽・誤情報等への総合的対策の推進」(20.0億円)。

最新記事