米連邦議会で「AMラジオ全車搭載法案(AM Radio for Every Vehicle Act)」への支持が広がっている。自動車メーカーが新たに製造するすべての乗用車にAMラジオを受信できる機器を標準装備するよう義務づける規則を米運輸省が1年以内に制定することを求める法案だ。下院議会の法案共同提案者が6月下旬に228人に達し、法案可決に必要な過半数(218人)を超えた。上院もフィリバスター(廃案に追い込むことを目的に反対派が審議を引き延ばす妨害行為)を回避できる61人の共同提案者がすでに名を連ね、成立への機運が高まっている。
同法案は共和党のガス・ビリラキス下院議員(フロリダ州)と民主党のフランク・パローン下院議員(ニュージャージー州)、さらに上院では共和党のテッド・クルーズ議員(テキサス州)と民主党のエド・マーキー議員(マサチューセッツ州)らが推進してきた。
下院で過半数の賛同を得たことをNAB(全米放送事業者連盟)のカーティス・ルジェット会長は「重要な節目」と歓迎するコメントを発表した。NABによると、同法案には放送業界にとどまらず、全米緊急事態管理協会(NEMA)、米国農業連盟(AAFB)、AARP(米国高齢者協会)、SAG-AFTRA(米映画俳優組合)、全米黒人系放送事業者協会(NABOB)など125を超える団体も賛同を表明しているという。
ただし、成立するかどうかは依然として不透明だ。下院では目下、高速道路・交通小委員会で審議中だが本会議での採決日程は未定。上院も立法審議の予定表に掲載されたものの、次回の日程は明らかにされていない(7月8日現在)。同法案はこれまで何度も審議にかけられ、2023年に上院商業委員会、24年には下院エネルギー・商業委員会をそれぞれ通過していたが、いずれも本会議での採決に至らないまま会期が終了している。NABは「引き続き議会での足場を固め、速やかな成立を目指したい」としている。