米大手家電量販店チェーンのベストバイがDVD/ブルーレイといった物理メディアの販売を店舗とオンラインの両方でとりやめる。2月20日時点ですでに多くの店舗からディスク商品が消えている。2023年10月の発表時、同社はバラエティ誌の取材に「消費者のメディア接触の方法が10年前から激変した。これからは物理メディアに代わって新たな商品やテクノロジーを提供する時代だ」とコメントしている。
こうした流れの背景にあるのがディズニーの存在だ。ディズニーは物理メディア部門をソニー・ピクチャーズ・ホームエンターテインメントに移管することで2月半ばに合意。今後、米国とカナダで全ディズニーのタイトル(既発売、新リリースとも)はDVD/ブルーレイ/4Kブルーレイの製造・販売、小売店への仲介をソニーが代行する。これに伴い、ディズニーは自社タイトルの映画ディスクを販売する会員制のオンラインストア「ディズニー・ムービー・クラブ」も閉鎖する。約1,000万人の会員には今年5月末で受注を終了し、7月20日最終的に閉鎖することを通知している。また、物理メディアの製造・販売そのものをオーストラリアなどでは終了する動きもある。
配信大手Netflixも、祖業であるDVDの郵送によるレンタルサービスを昨年9月に終了。レンタルビデオの最大手だったブロックバスターが2010年に経営破綻しており、現在DVDレンタルを行うのはレッドボックスのみ。しかし、そのレッドボックスも22年にメディア企業のチキンスープ・フォー・ザ・ソウルに買収され、現在も負債がかさみ存続が危ぶまれている。
物理メディアの売上は年々下降し、2023年前半の全米での売上は前年同時期比28%減の7億5,400万ドルだった(業界団体のDEG〔デジタル・エンターテインメント・グループ〕調べ)。配信の全盛で回復は見込めず、24年は年間を通して初めて10億㌦を下回るとみられている。