「CES 2026」で米ATSC 3.0をアピール 集合住宅用インフラや低価格コンバーターなど

編集広報部
「CES 2026」で米ATSC 3.0をアピール 集合住宅用インフラや低価格コンバーターなど

2026年1月6〜9日に米ラスベガスで開かれた恒例のエレクトロニクスショー「CES 2026」で米国の次世代テレビ放送規格「ATSC 3.0」(NextGenTV)が展示され、これまでの普及段階から実用段階に移行していることを印象づけた。

ATSC3.0を推進する団体の「ATSC」のブースでは対応受信機や関連機器メーカーが家庭用の受信機を展示した。Televes USA社は有料テレビへの加入に頼らなくても集合住宅や宿泊施設などで安定的に地上波の放送を受信・提供できる仕組みを実演。ATSC 3.0が戸建てだけでなく集合住宅を含む幅広い居住形態に対応し得ることを示した。SiliconDust USA社も集合住宅向けの新たな受信機を展示し、無料ライブ視聴と一定期間の録画再生を可能にする仕組みを紹介した。放送事業者向けには、アンテナで受信するテレビ放送とインターネット経由のネット動画の利点を組み合わせてローカル放送局などが低コストでFASTチャンネルのような高品質な配信を行えるようにするATSC 3.0のBEST機能(Broadcast-Enabled Streaming Television)を披露。視聴データの把握や運用監視といった実務面での活用が意識されている。

こうした展示と並んで、ATSC 3.0の普及の鍵を握る対応として注目されたのが「Pearl TV」の動きだ。Pearl TVはATSC3.0の普及促進のための全米の主なローカル局グループによるコンソーシアムで、CESに合わせて次世代TV「コンバーターボックス」の初期モデルをお披露目した。現行の地上波チューナーで視聴する世帯が、引き続き無料の地元テレビ放送を視聴しながら手軽な価格でATSC3.0にもアクセスできるようにするもの。テレビを買い替えなくても既存のテレビに接続して利用できる新たな受信手段だ。米連邦通信委員会(FCC)が検討している次の政策ステップで主な論点となっている消費者保護や受信環境の確保、無料地上波放送の継続性の現実的な選択肢として位置づけられている。Pearl TVは今後「コンバーターボックス」の消費者調査や放送事業者向けの要件、小売価格、認証・相互運用性を踏まえた共通仕様を策定し、2026年後半には製品としての投入を想定している。

また、現行制度でATSC 3.0放送は放送局による任意の移行とされ、ATSC 1.0(従来規格)とのサイマル放送が求められている。このため、今後は移行の進捗状況を踏まえた制度の見直しが議論される見通しだ(既報)。全米放送事業者連盟(NAB)は1月20日にFCCに対して全面的な移行に向けて検討を迅速化するよう強く求める意見書を提出している。

(本文中は原則として現地の日時で表記しています)

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