全米で地上波+配信の「Free TV Networks」が開局 ハイブリッドの時代迎える

編集広報部

地上波と配信の両方で視聴できる無料のテレビネットワーク「Free TV Networks」が1月1日に全米で開局した。全米テレビ市場の約80%でまずは地上波の放送を開始。広告入りの無料配信(FAST)サービスは2024年中に開始する予定だ。元日から始まったのは「The365」「Outlaw」の2つのチャンネル。「The365」は黒人視聴者層向け、「Outlaw」はクラシック西部劇ファン向けと、それぞれターゲットも明確だ。年内のFAST開始時には1980―90年代のVCR時代(ビデオカセットレコーダー=VHSビデオで映画を楽しんだ時代)の懐かしい映画に特化した「VCR Action」「VCR Haha」チャンネルが追加されるという。

2000年代に地上テレビのデジタル化でマルチキャスト・ネットワークを立ち上げたKatz Broadcastingの創始者ジョナサン・カッツ氏が新会社「Free TV Networks」を設立。同社がワーナー・ブラザーズ・ディスカバリー(WBD)と映画製作会社ライオンズゲート、ローカル放送局グループのグレイ・テレビジョンと提携して実現した。各チャンネルの映画やコンテンツはいずれもWBDとライオンズゲートが提供する。カッツ氏は声明文で「今やデジタル放送の広告売上が年間10億ドル以上、FASTチャンネルのそれが50億ドル以上の時代。無料であることはユーザーにとって重要な要素だ」と意気込む。

地上波+配信のハイブリッドサービスは米国のテレビ市場で新たなトレンドになりつつある。米メディアによると、WBDはFree TV Networksへのコンテンツ提供に加え、独自のFASTサービス「WBTV」(仮称)を開始する計画があるという。次世代放送規格ATCS 3.0FASTのさらなる普及もあいまって、米国では地上波と配信の両方でより多くの無料コンテンツが見られるようになりそうだ。

最新記事