米ニールセン MRC認定回復後にスーパーボウルの測定ミス発覚 局側は認定プロセスに疑問符

編集広報部

米調査会社のニールセンは2023年4月、MRC認定を再取得したと発表した。コロナ禍の2020年に視聴データを過小評価し、実際の数字よりも低く測定していたとして、同社は21年9月に「MRC」(Media Rating Council)からテレビ視聴率測定の認定を取り消されていた。MRCは全米のメディア業界として測定機関に基準を課している非営利組織。データの精度をめぐってテレビ局側との対立がくすぶるなか、同社はその後もアップデートを行いながら視聴率調査を続けており、1月には次世代型のサービス「Nielsen One Ads」をスタートさせている。そんな矢先、今度は2月のスーパーボウル視聴者数で測定ミスが発覚した。

FOXによると、発端はNFLが運営する専門チャンネルNFL Network上のスーパーボウル視聴者数が極めて多いとNFLから指摘されたこと。ニールセンの再調査でオーディオデータ変換時のエラーが原因だったことがわかった。本来はFOXの視聴者数に変換されるべき100万人以上がNFL Network視聴者数にカウントされていたという。さらに屋外視聴(OOH=Out of Home)分100万人も過小換算されていた。この2つを合わせて既報の1億1,300万人から210万人をFOX視聴者に追加した。この結果、視聴者数は1億1,510万に。当初の「スーパーボウル史上3位」の視聴者数から「同史上最多」に改められた。

さらにその数日後、ニールセンは、OOHデータを再換算するきっかけとなった12市場(シカゴ、シンシナティ、デトロイト、ヒューストンなど)でローカルテレビ視聴データ全体を再検証するとFOXとNFLに報告している。調査の対象期間はスーパーボウル中継当日を含む23年1月9日から3月30日まで。結果はまだ出ていない。

ニールセンは「スーパーボウルの全米ネットワークデータに問題はない」としているが、業界には「同じことが全米の番組、特にスポーツ中継で起きている可能性がある」と懸念する声もある。アドエージ誌によれば、NBCUはニールセンのMRC認証回復の妥当性とMRCの認定評価プロセスそのものにも疑問を呈し、「2万5,000時間に及ぶ監査を経てMRCが認証回復を決定してもなお、全米最大のテレビ中継イベントでこれだけのエラーが生じているということは、MRCの認証プロセスそのものも見直されるべきではないのか」との声明を発表した。

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