全米放送事業者連盟(NAB)のカーティス・ルジェット会長が9月13日、連邦議会下院の通信・技術小委員会公聴会で証言を行った。議会とFCCに対してアクションが急がれる放送業界の諸課題について文書と口頭で意見を述べた。折しも、上院議会が米連邦通信委員会(FCC)委員にアナ・ゴメス氏を承認(9月7日)した直後のことだ。
ルジェット会長は証言に先立ちNABウェブサイト内のブログで「FCC委員が5人そろったことは、"ニュース砂漠"が進む現状下で、放送局のサービスに頼る米国民のため、業界をさらに強化するきっかけとなる」と布石を打っていた。公聴会ではメディア所有規制やダイバーシティ、vMVPD(配信経由でリニアのテレビチャンネルを提供するバンドルサービス)に対する規制、次世代テレビの導入促進などについて特にFCCに次のように訴えた。
▷AMラジオを全ての車両に搭載するための法案「AM Radio For Every Vehicle Act」 を通過させること。
▷放送会社の所有権の多様化を支援する「Diversity Tax Certificate」プログラムを復活させること。放送局を人種的マイノリティが所有する場合、税金控除の対象となるプログラムで、これにより放送局が多人種に所有・運営されることを促進する。
▷デジタルメディアの急速な浸食に対応するため、数十年前に制定された放送局所有規制(オーナーシップ・ルール)を最新のものにアップデートすること。
▷ローカル放送局が効果的にM&Aによる経営強化を図り、存続することができるよう、よりガラス張りの、公平な売買プロセスを設定すること。
▷vMVPDの業務を見直し、必要かつ公正な規制を設けること。2014年にFCCはvMVPDをMVPD(リニアケーブル/衛星テレビ)に含めることを検討するとしていたが、その後10年間の劇的な市場変化にもかかわらず、FCCはその変化を規制に反映していない。
▷次世代テレビ放送規格「ATSC 3.0」の継続的な普及への支援。