米ディズニーが展開する配信サービスDisney+の広告入りプラン「Disney+ Basic」が、12月8日(現地時間)から米国で始まった。広告なしの従来プラン(SVOD)の月額10.99ドルに対し、広告入り(AVOD)「Disney+ Basic」は7.99ドル。HuluとESPNとのバンドルプランは、広告入りが月額12.99ドル、広告なしは19.99ドル。「Disney+ Basic」は、広告なしの従来プランと同様のコンテンツを視聴でき、複数ユーザーの同時使用や高画質視聴も可能だが、コンテンツのダウンロードやウォッチパーティ(番組を友人らにシェアして一緒に楽しむ)などの機能は使用できない。
今年第3四半期(7-9月)末時点のディズニー+の契約者数は世界で1億6,400万人。新たな広告入りプランの加入者数予測は発表されていないが、Disney+、Hulu、ESPNを合わせてネットフリックスの契約者数を超えたディズニーとしては、新プランへの期待も高い。ただ、調査会社カンターは、「市場の傾向から見ても、Disney+契約者の4人に1人は広告入りプランにスケールダウンするだろう」との予測を出している。SVODとAVODまたはFASTの両方を提供する配信サービス(HBO MaxとHBO Max with adsなど)の今年第3四半期の解約状況を見ると、平均で約4分の1(22.8%)がSVODからAVODまたはFASTにプランを変更しており、それらと同様のパターンを辿るだろうとの見方だ。
「Disney+ Basic」ローンチに当たり、100以上のブランドが広告枠を購入したと発表されている。グーグル、ベライゾン、ウォルマート、P&G、任天堂、タコベル、シャネルなど大手広告主が続々と並ぶ。Publicis Groupe、電通、IPGなどほとんどの大手グローバル広告会社が関与しているとのこと。ディズニーというファミリーブランドという性質もあり、現時点では広告主に制限がある。競合する映画スタジオやメディア企業のほか、アルコール飲料、政治広告は受け付けていない。広告の多くは15秒か30秒。これらはコンテンツ開始前と、途中に流される。同じ広告が何度も流れないよう、業界随一の厳しいルールも設けている。
ローンチには間に合わなかったが、詳細なターゲット機能を持つアドバンストターゲティングや、ビンジ広告(特定のコンテンツを夢中で見ているユーザーに流す広告)、ポーズ広告(視聴を一時停止中の画面に流れる広告)、ショッパブル広告などによる新広告フォーマットも2023年には導入する予定だという。また、サービス開始に当たり広告枠は「Disney+ Basic」専用に販売されたが、今後はESPNやHuluを含めた広告枠の一部として販売していくとのことだ。なお、現在は米国のみで利用可能な新プランとなっているが、国際的な展開の検討を開始する可能性も高いとしている。