【事績概要】日本テレビ放送網 3Dスキャンワークフローの簡易化とその活用が最優秀(2025年民放連賞技術部門)

民放連企画部
【事績概要】日本テレビ放送網 3Dスキャンワークフローの簡易化とその活用が最優秀(2025年民放連賞技術部門)

73181日中央審査【参加/19社=24事績】
審査員=民放連技術委員会「技術表彰選考小委員会」委員


民放連賞の技術部門は、会員各社の放送技術に関する開発・改良などにより、民放事業に貢献し、その発展に寄与した事績に賞を贈る。

本年は1924事績の申請があり、民放連技術委員会「技術表彰選考小委員会」が、有効性、汎用性、創造性、主体性などの観点から総合的に判断し、最優秀1件、優秀6件を選考した。さらに、技術奨励賞1件を選考した。表彰事績の概要は次のとおり。

最優秀=日本テレビ放送網/3Dスキャンワークフローの簡易化とその活用(=写真)
映像入力に対応した3D生成システムを最新技術の活用によって内製化し、簡易に撮影した動画から短期間で3DCGを制作するシステムやWebビューワーなどを開発・実用化した。
これにより、従来のCG制作において避けがたかった専用機材や手作業への依存、制作期間の確保などの課題を解決し、CGの「撮って出し」や報道への応用が可能となるなど、テレビ制作技術の効率化と高度化に大きく貢献した。

優秀=日本テレビ放送網/特殊カメラを用いたゴルフ打球軌跡リアルタイム描画システムの開発
価格と精度のトレードオフとなっている既存システムの課題を解決するため、明るさの変化を検出する特殊カメラに着目し、従来の方式と組み合わせることで、ゴルフの打球軌跡を高精度にリアルタイム描画する、安価なシステムを社内で開発した。
これにより、さまざまな中継場面でより高度な軌跡描画が可能となり、演出の幅を広げるとともに、テレビ制作技術の高度化に貢献した。

優秀=テレビ朝日/AIを用いた放送用ヒューマンキーヤーの開発
AIを用いてカメラ映像から人物のシルエットを抽出して信号出力することを実現し、クロマキーやLEDなどの背景を用いなくても、人物の後ろにCGがあるような表現が可能となる新しいバーチャルプロダクション手法を開発・実用化した。
これにより、通常のスタジオセットや中継先などさまざまなロケーションにおいて新たな空間演出が可能となり、テレビ制作技術の高度化に貢献した。 

優秀=フジテレビジョン/現行テレビ放送を対象とした放送ターゲット広告技術(ISDB版TA)と偽広告対策技術の開発
現行の放送設備に追加・改修することなく、地上波テレビ放送でターゲット広告を提供できる国際規格と整合させた技術、さらに来歴情報の応用により動画広告の広告主や考査団体を表示し、その真正性を暗号技術で担保できる偽広告対策技術を開発した。
これにより、現行地上波放送の高度化とテレビ広告価値の向上に対する新たな選択肢と可能性を示し、放送技術の高度化に貢献した。

優秀=中京テレビ放送/多機能送り返しシステム「MRET」の開発
映像・音声送り返し、インカム、タリーを統合したWEBアプリをAI活用により内製し、テレビ番組中継の本線以外に関わる機材を削減することで、少人数での中継制作が可能となるシステムを開発・実用化した。
これにより、制作費用の低廉化と機動力向上を両立させ、中継による魅力ある番組制作と業務負担の軽減を実現し、テレビ制作技術の効率化に貢献した。

優秀=毎日放送/現場の"思いつき"を内製化 生放送中にクラウドから瞬時に映像活用 クラウドリプレイシステム
クラウド上に保存した大量の過去素材の中から、必要な映像を検索してダウンロードするだけで、放送機器から番組に素材を送出できるシステムを開発した。
これにより、スポーツ中継のオンエア中に、試合展開に合わせた過去素材を即時に活用することが可能になり、演出の幅が広がるとともに、事前の素材準備作業の負担軽減にもつながり、テレビ制作技術の高度化と効率化に貢献した。

優秀=朝日放送テレビ/クラウドライブプロダクションプラットフォームの開発
映像コンテンツを効率的に制作し、多様なプラットフォームで発信するニーズに応えるため、内製により、映像やテロップの制御など多様な機能を備えたクラウドライブプロダクションプラットフォームを開発・実用化した。
これにより、直感的なWebアプリ操作で高品質なライブコンテンツ制作が可能になり、配信等の放送関連業務の効率化と民放制作コンテンツへの接触促進に貢献した。

技術奨励賞=テレビ静岡/AWSを活用したマスター運行支援システムの自社開発
マスターの運行状況を社外から確認・サポートできるリアルタイム配信システムを開発し、緊急時の放送運行業務の安全信頼性向上と業務負担の軽減に貢献した。

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