連載

2024年11月1日施行!よくわかるフリーランス法解説講座〔第1回〕 フリーランス法の概要と適用対象
2024年11月1日施行!よくわかるフリーランス法解説講座〔第1回〕 フリーランス法の概要と適用対象
大東 泰雄、堀場 真貴子

放送業界も深く関係する新たな法律「フリーランス法」について、解説講座を連載開始しました。大東泰雄弁護士、堀場真貴子弁護士による共同執筆です。連載後半では読者の皆さまからの質問にも回答いただく予定ですのでご期待ください。(編集広報部) 特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律(以下「フリーランス

【放送人 この言葉、あの言葉①】~「一緒に不安になりましょう」(星野源) 
【放送人 この言葉、あの言葉①】~「一緒に不安になりましょう」(星野源) 
丹羽 美之

面白い番組、優れた番組の背後には魅力的な作り手や演じ手がいます。彼らの残した印象的な言葉は番組制作の極意を伝えるとともに、一種の演出論やメディア論、社会論とも言えます。新連載【放送人 この言葉、あの言葉】はこれら珠玉の言葉の数々を、東京大学でメディア論の教鞭を執る丹羽美之さんの視点で選んでいただき、

今さら聞けない「肖像権」のアレコレ~「『現場で活かせる』法律講座シリーズ」⑥
今さら聞けない「肖像権」のアレコレ~「『現場で活かせる』法律講座シリーズ」⑥
國松 崇

1.はじめに 放送局は年間のうちに数えきれない番組を制作・放送していますが、番組の撮影などで一般の方にご協力いただくことがあるかと思います。その時に意識しなければならない問題の一つとして「肖像権」が挙げられますが、この肖像権という権利については、法律にハッキリとした記述もないため、意外と正確に理解さ

書評 本、気になって(第4回)『ケアするラジオ―寄り添うメディア・コミュニケーション―』
書評 本、気になって(第4回)『ケアするラジオ―寄り添うメディア・コミュニケーション―』
石井 彰

気になる本=ケアするラジオ―寄り添うメディア・コミュニケーション―金山智子 編著、さいはて社 日本のラジオ放送は1925年に始まり、来年2025年に100周年を迎えます。しかし、その歩みは決して平坦なものではありませんでした。戦後に限ってみても1953年にテレビ放送が開始されると、人々の関心は瞬く間

2024年夏ドラマ総括 新しい家族のあり方を模索する良作が出そろう
2024年夏ドラマ総括 新しい家族のあり方を模索する良作が出そろう
成馬 零一

2024年夏クールのドラマは、新しい家族のあり方を模索するホームドラマが多かった。 若者が子どもを育てる困難さ 月9(フジテレビ系月曜夜9時枠)で放送された『海のはじまり』は、大学時代に別れた恋人・南雲水季(古川琴音)の葬儀で、彼女が自分との子どもを産み、一人で育てていたことを知った青年・月岡夏(目

戦争体験者の声を次代に伝える【私の民放ドキュメンタリー鑑賞記】④
戦争体験者の声を次代に伝える【私の民放ドキュメンタリー鑑賞記】④
城戸 久枝

ローカル局が「地域密着」「長期取材」による優れたドキュメンタリー番組を放送していることは知られていますが、その局以外の地域の視聴者が目にする機会が少ないという現状があり、ドキュメンタリー番組の存在や価値が社会に十分に伝わっていないという声も聞かれます。そこで「民放online」では、ノンフィクション

Z世代の中高校生たちとテレビの向き合い方の可能性について考える「子どもとメディア⑪」
Z世代の中高校生たちとテレビの向き合い方の可能性について考える「子どもとメディア⑪」
加藤 理

若者のテレビ離れが言われて久しい。だが、周知のように、青少年たちの間で映像離れが進んでいるわけではない。テレビや新聞などのマスメディアから離れる傾向は顕著に見られるものの、YouTube、Instagram、TikTokなどさまざまな映像に囲まれて成長している、1990年代後半から2010年代初頭に

書評 本、気になって(第3回)『外岡秀俊という新聞記者がいた』
書評 本、気になって(第3回)『外岡秀俊という新聞記者がいた』
石井 彰

気になる本=外岡秀俊という新聞記者がいた及川智洋 著、田畑書店 激動する現代を、一陣の風のように駆け抜けた新聞記者がいました。朝日新聞の故・外岡秀俊さん(以下敬称略)。 外岡は1977年朝日新聞社入社。支局に配属された後、本社学芸部などを経て、ニューヨーク支局。帰国してAERA編集部、論説委員を兼務

2024年春ドラマ総括 「記憶」「裁判」と題材が重なるなかで可能性を広げる作品も
2024年春ドラマ総括 「記憶」「裁判」と題材が重なるなかで可能性を広げる作品も
成馬 零一

さまざまに描かれた「記憶」のドラマ テレビドラマは同時期に題材がかぶることがよくあるが、2024年の春クールドラマは「記憶」を題材にしたドラマが多かった。 登場人物の一人が記憶に障害を抱えている『366日』(フジテレビ系)や『9ボーダー』(TBS系)がある一方で、ミステリードラマ『約束〜16年目の真

地域から全国に発信するメッセージ【私のドキュメンタリー番組鑑賞記】③
地域から全国に発信するメッセージ【私のドキュメンタリー番組鑑賞記】③
城戸 久枝

ローカル局が「地域密着」「長期取材」による優れたドキュメンタリー番組を放送していることは知られていますが、その局以外の地域の視聴者が目にする機会が少ないという現状があり、ドキュメンタリー番組の存在や価値が社会に十分に伝わっていないという声も聞かれます。そこで「民放online」では、ノンフィクション

【書評】本、気になって(第2回)
【書評】本、気になって(第2回)
石井 彰

気になる本=テレビ局再編根岸豊明 著、新潮新書 若者のテレビ離れが続き、広告収入がインターネットに追い抜かれたテレビの最前線でいま何が起きようとしているのか? これからどうなっていくのか? 続きをどんどん読みたくなる一冊です。 著者は1957年生まれのジャーナリスト、メディア研究者。というよりも日本

2024年冬ドラマ総括 バラエティ番組のような見せ方と社会問題に向ける眼差し
2024年冬ドラマ総括 バラエティ番組のような見せ方と社会問題に向ける眼差し
成馬 零一

時代に「笑い」の力で応答した怪作 2024年冬(1月)クールのテレビドラマはバラエティ番組の見せ方を用いて社会問題に切り込んでいく作品が印象に残った。その筆頭は何といっても、宮藤官九郎脚本の『不適切にもほどがある!』(TBS系、以下『不適切』)だろう。 本作は昭和の体育教師・小川市郎(阿部サダヲ)が

【書評】本、気になって(第1回)
【書評】本、気になって(第1回)
石井 彰

今月から書評を毎月連載していきます。放送に携わる人たちに、ぜひ読んでほしい本を取り上げてご紹介します。ラジオ・テレビや広告にとどまらず、幅広く刺激を受け、新たな知見を得られる本――社会の実相を伝えるドキュメントや私たちの常識を覆すような小説や哲学書もあるでしょう。なにより、きっと読んでみたくなる本で

能登を生きる人々 【私のドキュメンタリー番組鑑賞記】②
能登を生きる人々 【私のドキュメンタリー番組鑑賞記】②
城戸 久枝

ローカル局が「地域密着」「長期取材」による優れたドキュメンタリー番組を放送していることは知られていますが、その局以外の地域の視聴者が目にする機会が少ないという現状があり、ドキュメンタリー番組の存在や価値が社会に十分に伝わっていないという声も聞かれます。そこで「民放online」では、ノンフィクション

テレビスポットの"今そこにある危機" Part 3 スポットをプラスにする方策はあるのか? 「データが語る放送のはなし」㊱
テレビスポットの"今そこにある危機" Part 3 スポットをプラスにする方策はあるのか? 「データが語る放送のはなし」㊱
木村 幹夫

1月の初めにアップしたPart1、Part2から少し間が空いてしまいましたが、「テレビスポットの"今そこにある危機"」のPart3です。この間、1月末には来年度のテレビ、ラジオ営業収入を予測した「2024年度のテレビ、ラジオ営業収入見通し」を発表し、ここでもその概要をご報告しました。2024年度もテ

テレビスポットの"今そこにある危機" Part 2「データが語る放送のはなし」㉟
テレビスポットの"今そこにある危機" Part 2「データが語る放送のはなし」㉟
木村 幹夫

Part2では、テレビ広告費が景気・企業収益に関係なく低迷している要因を、インターネットとの関係でもう少し詳しく掘り下げてみましょう。 コネクティッドTVの普及と放送のリアルタイム視聴 よく知られているように、テレビの視聴率は、近年、低下傾向にあります。以前は世帯単位で"どのくらいの世帯がテレビ放送

2023年秋クールドラマ総括 光っていた作家性の強い独創的な作品
2023年秋クールドラマ総括 光っていた作家性の強い独創的な作品
成馬 零一

2023年秋クールのドラマは大ヒット作こそなかったが、作家性の強い独創的な作品が多かった。 中でも突出していたのが『いちばんすきな花』で、作品のテーマ、脚本の構成、演技や演出といった映像表現も独創的で、テレビドラマでこんなことができるのかと毎週驚かされた。 木曜劇場(フジテレビ系木曜22時枠)で放送

テレビスポットの"今そこにある危機" Part 1「データが語る放送のはなし」㉞
テレビスポットの"今そこにある危機" Part 1「データが語る放送のはなし」㉞
木村 幹夫

9月初頭以来、ほぼ4カ月ぶりの連載です。この間、国内外でさまざまな出来事がありましたが、日本経済は物価が持続的に上昇するという、久しく見られなかった形(これが正常な景気拡大の姿なのですが......)で拡大基調を概ね維持しています。円安効果もあり企業収益も概ね堅調です。当初の円安の恩恵が高い製造業中

見る者の心を打つものとは 【私のドキュメンタリー番組鑑賞記】①
見る者の心を打つものとは 【私のドキュメンタリー番組鑑賞記】①
城戸 久枝

ローカル局が「地域密着」「長期取材」による優れたドキュメンタリー番組を放送していることは知られていますが、その局以外の地域の視聴者が目にする機会が少ないという現状があり、ドキュメンタリー番組の存在や価値が社会に十分に伝わっていないという声も聞かれます。そこで「民放online」では、ノンフィクション

『VIVANT』 の新しい風~塚田祐之の「続・メディアウォッチ」⑮
『VIVANT』 の新しい風~塚田祐之の「続・メディアウォッチ」⑮
塚田 祐之

今年の夏は暑かった。9月末まで、気温35℃を超える猛暑日が全国各地で続き、東京都心では30℃を超える真夏日も観測史上最多の90日に及んだ。 記録的な暑さが続いた今年の夏。外出を控え、"おうち時間"が長くなる中で、テレビをじっくり見る機会が増えた。最近は、リアルタイム視聴はもとより、「TVer」や「N

2023年夏クールドラマ総括 超大作もコンパクトな深夜ドラマも
2023年夏クールドラマ総括 超大作もコンパクトな深夜ドラマも
成馬 零一

日本のテレビドラマの可能性を大きく広げた超大作 猛暑が続く2023年の夏だったが、夏クールのテレビドラマも熱かった。中でも激しい熱狂を巻き起こしたのは、日曜劇場(TBS系日曜21時枠)で放送された『VIVANT』だ。 本作は『半沢直樹』を筆頭とする日曜劇場のヒット作を多数手がけた福澤克雄が、原作とチ

性加害事件を子どもたちにどのように伝えているか ~「子どもとメディア➉」
性加害事件を子どもたちにどのように伝えているか ~「子どもとメディア➉」
加藤 理

世界にも類を見ない故・ジャニー喜多川氏による対児童の性加害報道の中で、テレビやラジオは、ジャニーズ事務所の今後や、所属タレントたちに関する報道を精力的に続けている。10月2日の記者会見以降は、いわゆるNGリストと指名リストの問題も加わり、ジャニーズ問題は混迷の度を深めている。 多数の人気タレントを抱

テレビがない人はNHKプラスにお金を払うのか?「データが語る放送のはなし」㉝
テレビがない人はNHKプラスにお金を払うのか?「データが語る放送のはなし」㉝
木村 幹夫

前回から少し間が空きましたが、民放連研究所が本年3月に実施したネット配信へのニーズに関する調査結果の最終回です。今回のテーマは"NHKプラス"へのニーズです。 調査の概要を確認 このシリーズの第1回(6月7日掲載)で調査の概要をお示ししましたが、確認のため、再びお示ししておきます。今回を含め過去4回

大震災とメディア~この100年で変わったこと、変わらないこと~「データが語る放送のはなし」㉜
大震災とメディア~この100年で変わったこと、変わらないこと~「データが語る放送のはなし」㉜
木村 幹夫

9月1日は防災の日。特に今年(2023年)は1923年の関東大震災から、ちょうど100年の節目です。これにちなんで、今回は震災とメディアの関係について、民放連研究所の調査データなども用いながら考えてみたいと思います。この100年でメディアの世界は大きく変わりましたが、震災時にメディアが果たす役割はど

テレビ番組は「学力」をどのように伝えているか~「子どもとメディア⑨」
テレビ番組は「学力」をどのように伝えているか~「子どもとメディア⑨」
加藤 理

今から40年ほど前、膨大な量の知識の詰め込み教育が子どもたちを苦しめ、その中で「落ちこぼれ」と言われた子どもたちによる非行、校内暴力等の「教育荒廃」と呼ばれる現象が大きな社会問題になっていた。荒れる中学校の卒業式に警察が入っていく様子は、当時のニュースでたびたび報道されていた。 また、学歴主義の中で

NHKは最近、どうなっているのか?~塚田祐之の「続・メディアウォッチ」⑭
NHKは最近、どうなっているのか?~塚田祐之の「続・メディアウォッチ」⑭
塚田 祐之

「NHKは最近、どうなっているのか?」とよく聞かれる。私はNHKを離れてすでに7年がたつ。私も一視聴者として「なんで次々と、公共放送の信頼を損なうような事態が起きているのか」という疑問を抱いており、答えに窮してしまっている。 このところ、インターネット配信の実施基準で認められていないBS番組の配信に

キー局とローカル局、どっちの同時配信を見たい?「データが語る放送のはなし」㉛
キー局とローカル局、どっちの同時配信を見たい?「データが語る放送のはなし」㉛
木村 幹夫

今回は、「キー局とローカル局、どっちの同時配信を見たいか?」問題です。この調査には、以下のような設問を毎年設けています。 「あなたは、あなたがお住まいの地域のローカル放送局のテレビ放送と東京キー局が関東で放送しているテレビ放送の両方がインターネット上で、どちらも無料で放送と同時にそのまま配信されると

見逃しがメイン、同時配信はオマケ?「データが語る放送のはなし」㉚
見逃しがメイン、同時配信はオマケ?「データが語る放送のはなし」㉚
木村 幹夫

引き続き、民放連研究所がここ数年、毎年春先に実施している放送のネット配信へのニーズに関する調査結果をご紹介します。今回は、地上波民放テレビが行う同時配信サービスに関する部分です。 同時配信へのニーズはいまだ高まらず...... 以前にも何度かご紹介しましたが、この調査では、地上波民放テレビが行うイン

傑作ぞろいの春クールとNetflixドラマの台頭
傑作ぞろいの春クールとNetflixドラマの台頭
成馬 零一

2023年春クールのドラマは傑作ぞろいだったが、最後まで夢中で観ていたのが、岡田惠和が脚本を担当した『日曜の夜ぐらいは...』だ。 朝日放送テレビ制作の新設枠 本作はテレビ朝日が新設した朝日放送テレビ制作ドラマを放送するドラマ枠(日曜22時)の第一作。 車椅子生活の母親と暮らしながらファミレスでアル

Z世代もオンデマンドなら見る!?「データが語る放送のはなし」㉙
Z世代もオンデマンドなら見る!?「データが語る放送のはなし」㉙
木村 幹夫

引き続き、2023年3月に民放連研究所が実施した、放送のネット配信へのニーズに関する調査の結果です。今回は、地上波民放が行う見逃し配信に関する部分の調査結果を中心にご紹介します。 民放の見逃し配信利用経験者は半数に近づく まず、地上波民放テレビが行う見逃し配信サービスの利用経験です。これにはTVer

Z世代はテレビよりYouTube!なのか?「データが語る放送のはなし」㉘
Z世代はテレビよりYouTube!なのか?「データが語る放送のはなし」㉘
木村 幹夫

前回に続いて、2023年3月に民放連研究所が実施した、放送のネット配信へのニーズに関する調査の結果をご紹介します。今回は、テレビと動画配信、YouTube の利用率、視聴時間に関する部分の調査結果です。 テレビの利用率は87%、動画は82%、YouTube 74% まず、テレビとネット動画の利用状況

YouTubeがあればテレビはいらない⁉ 「データが語る放送のはなし」㉗
YouTubeがあればテレビはいらない⁉ 「データが語る放送のはなし」㉗
木村 幹夫

さて、今回から何回かに分けて、民放連研究所が本年3月に実施したテレビの所有状況や放送のネット配信へのニーズに関する調査の結果をご紹介します。これは、2021年12月(この連載を開始する前)から5回にわたってご紹介した「放送のインターネット同時配信利用のニーズを探る」と「なぜテレビを持たないのか?pa

コロナ禍の経験をどう活かすか 検証すべき時はいま~塚田祐之の「続・メディアウォッチ」⑬
コロナ禍の経験をどう活かすか 検証すべき時はいま~塚田祐之の「続・メディアウォッチ」⑬
塚田 祐之

「熱っぽいので病院で検査をしてもらったらコロナの陽性だった」。昨年7月、新型コロナウイルス感染拡大の第7波がピークにさしかかった時、2日前に食事を共にした知人から突然のメールが届いた。 私は特段体調に変化がなかったが「念のために」と考え、東京都が実施していた駅前PCR検査を受けてみた。結果が届いたの

英国の放送ってどうなってるの? part7 ~英国のローカルテレビ:後編~「データが語る放送のはなし」㉖
英国の放送ってどうなってるの? part7 ~英国のローカルテレビ:後編~「データが語る放送のはなし」㉖
木村 幹夫

英国ローカルテレビの後編、英国篇の(一応の)最終回です。引き続き、英国のローカルテレビ局STV(スコットランド・テレビ)のお話です。 スタジオ部門は他局のために番組を制作 2022年、STVの制作部門であるSTV Studiosは30の番組(うち11は複数エピソードからなるシリーズ)を計244時間制

英国の放送ってどうなってるの?part6 ~英国のローカルテレビ:前編~「データが語る放送のはなし」㉕
英国の放送ってどうなってるの?part6 ~英国のローカルテレビ:前編~「データが語る放送のはなし」㉕
木村 幹夫

英国篇もいよいよ大詰めです。最後は、日本や米国では当たり前でも英国では珍しい(?)ローカルテレビ局のお話しを、前後編に分けてお届けします。 唯一の独立したローカルテレビ局"STV" 英国篇の初回でお話ししたように、現在の英国のテレビ放送は、他の欧州諸国と同様に、全国放送が基本です。しかし、1955年

英国の放送ってどうなってるの?part5 ~iPlayerだけじゃない! 英国の放送ネット配信"BVOD":後編~ 「データが語る放送のはなし」㉔
英国の放送ってどうなってるの?part5 ~iPlayerだけじゃない! 英国の放送ネット配信"BVOD":後編~ 「データが語る放送のはなし」㉔
木村 幹夫

英国の放送事業者によるネット配信BVODの後編です。今回は、BVODの視聴・利用の状況や、マネタイズ状況についてお話しします。 幅広い年齢層がBVODを視聴 図表1に英国におけるテレビ、ネット、DVD、その他の動画視聴時間の内訳を示しました。視聴率調査機関BARBのデータをもとにOfcomが推計した

2023年冬クールドラマ総括 ファンタジーやSFのアイデアを用いて描かれた日常
2023年冬クールドラマ総括 ファンタジーやSFのアイデアを用いて描かれた日常
成馬 零一

2023年冬クール(1~3月)のテレビドラマは、ファンタジーやSFのアイデアを用いて日常を描く作品に光るものが多かった。 バカリズムドラマの総決算『ブラッシュアップライフ』 その筆頭が、お笑い芸人のバカリズムが脚本を担当した『ブラッシュアップライフ』だ。 日本テレビ系で日曜22時30分から放送されて

英国の放送ってどうなってるの? part4 ~ iPlayerだけじゃない!英国の放送ネット配信"BVOD":前編~ 「データが語る放送のはなし」㉓
英国の放送ってどうなってるの? part4 ~ iPlayerだけじゃない!英国の放送ネット配信"BVOD":前編~ 「データが語る放送のはなし」㉓
木村 幹夫

今回と次回の2回に分けて、英国の放送事業者によるネット配信事業"BVOD"(Broadcaster VOD)についてお話しします。英国の放送事業者によるネット配信といえば、BBCのiPlayerがあまりにも有名ですが、それだけではありません。 BVODってそもそもなに? "BVOD"という言葉は、日

英国の放送ってどうなってるの? part3 ~英国の放送市場とテレビ・動画視聴の状況~ 「データが語る放送のはなし」㉒
英国の放送ってどうなってるの? part3 ~英国の放送市場とテレビ・動画視聴の状況~ 「データが語る放送のはなし」㉒
木村 幹夫

part1、part2とこれまで、英国の放送事業の基本的な構造とハード・ソフト分離を中心とした水平統合について見てきました。いわば基本的な供給構造について見たわけですが、今回は、需要面である市場の現状や視聴者のメディア利用について概観してみます。 1.基本統計:人口:約6,700万人、世帯数約2,8

英国の放送ってどうなってるの?part2 ~ハード・ソフト分離のお手本?~「データが語る放送のはなし」㉑
英国の放送ってどうなってるの?part2 ~ハード・ソフト分離のお手本?~「データが語る放送のはなし」㉑
木村 幹夫

ご承知のとおり、日本や米国の地上波放送事業者は、基本的に、制作→編成→送出→送信の全てのレイヤーを自分で行う垂直統合型です。対して英国は、前回見たように、事業者によって程度に差はあるものの、多くのレイヤ―が分離され、他社と統合されている水平統合型です。今回は日本で特に関心がありそうな、送信と送出の部

英国の放送ってどうなってるの?part1 ~出版型放送とは?~「データが語る放送のはなし」⑳
英国の放送ってどうなってるの?part1 ~出版型放送とは?~「データが語る放送のはなし」⑳
木村 幹夫

米国ローカルテレビのシリーズに続いて、今回より英国の放送についてお話しします。英国の放送と言えば、まず思い浮かぶのは100年の歴史を持つBBCですね。あとは欧州の衛星放送の巨人Skyでしょうか? いえいえ、ここでは、それらスターの陰に隠れて、あまり目立たない英国の地上民放を中心にお話しすることにしま

【新放送人に向けて2023②】いまなぜテレビなのか 若手制作者の挑戦~塚田祐之の「続・メディアウォッチ」⑫
【新放送人に向けて2023②】いまなぜテレビなのか 若手制作者の挑戦~塚田祐之の「続・メディアウォッチ」⑫
塚田 祐之

まもなく4月。テレビ放送開始70年の今年、放送界は新たな放送人として第一歩を踏み出す若者たちを迎える。コロナ禍が3年余り続き、これまで当たり前だと思っていた日常がことごとく奪われた日々。ロシアのウクライナ侵攻による戦闘が長期化し、"戦争"を身近なものとして実感せざるをえない不確実性の時代。こうした経

東日本大震災から12年 発災直後の報道をふりかえり災害報道について考える㊦~「子どもとメディア⑧」
東日本大震災から12年 発災直後の報道をふりかえり災害報道について考える㊦~「子どもとメディア⑧」
加藤 理

(㊤はこちら) 次に、震災報道と子どもに焦点を当てたい。テレビやラジオは、災害時にライフラインとジャーナリズムの役割だけでなく、緊張状態を緩和し心のケアをする癒しの提供という大きな役割もある。日本全体が極度の緊張状態にあった東日本大震災時にも、被災地外では早くバラエティが見たい、歌番組が見たい、アニ

東日本大震災から12年 発災直後の報道をふりかえり災害報道について考える㊤~「子どもとメディア⑦」
東日本大震災から12年 発災直後の報道をふりかえり災害報道について考える㊤~「子どもとメディア⑦」
加藤 理

2011年3月11日の東日本大震災から間もなく12年になろうとしている。4月になると、全ての小学生は東日本大震災を経験していない子どもたちになる。 昨年、新海誠監督の『すずめの戸締まり』が上映された。主人公の鈴芽は、普通の日常を過ごす高校生である。だが、夜には震災で犠牲になった母を夢の中で探し続けて

自社制作比率の謎を追え! ~「データが語る放送のはなし」⑲
自社制作比率の謎を追え! ~「データが語る放送のはなし」⑲
木村 幹夫

今回のテーマは「自社制作比率の謎を追え!」と冒険小説の邦題風にしてみました......。最近何かと話題な(?)民放の"自社制作比率"のお話しです。"自社制作比率"と言うワード自体は、以前からよく知られていますが、このデータの具体的な内容・特徴については案外知られておらず、その経営上の意味合いについて

米国ローカルテレビ篇スピンオフ  ~ローカルニュースを守るには? ~ 「データが語る放送のはなし」⑱
米国ローカルテレビ篇スピンオフ ~ローカルニュースを守るには? ~ 「データが語る放送のはなし」⑱
木村 幹夫

7回にわたってお話しした米国ローカルテレビ篇(文末にリスト)では、米国のネットワーク系列ローカルテレビ局が、いかにローカルニュースに注力しているかについて、またローカルニュースがローカルテレビ局にとって最大の収入源であることについてお話ししました。そしてローカルニュースは、ほぼ無限にある無料チャンネ

「テレビ、ラジオ営業収入予測」ってどうやってるの?:後編 ~AIモデルの超謎~ 「データが語る放送のはなし」⑰
「テレビ、ラジオ営業収入予測」ってどうやってるの?:後編 ~AIモデルの超謎~ 「データが語る放送のはなし」⑰
木村 幹夫

(前編はこちらから) 後編では、AIを用いた予測についてお話しします。民放連研究所でも1年ほど前から、AIを利用した予測を行っています。ひとくちにAIといっても幅広い概念ですが、機械学習を用いた予測モデルの構築を行っています。 AIを用いた分析手法とは? 本題に入る前に、最初が肝心ですので概念の整理

「テレビ、ラジオ営業収入予測」ってどうやってるの?:前編 ~回帰モデルの謎~「データが語る放送のはなし」⑯
「テレビ、ラジオ営業収入予測」ってどうやってるの?:前編 ~回帰モデルの謎~「データが語る放送のはなし」⑯
木村 幹夫

先日、「2023年度のテレビ、ラジオ営業収入見通し」の記事を掲載しました。この営業収入見通しは、毎年1月に翌年度の予測値を発表し、年度半ばの9月にその改訂を行っています。今回と次回は、前・後編に分けて、「テレビ、ラジオ営業収入見通し」でどうやって予測を行っているのかについてご紹介してみたいと思います

米国ローカルテレビ篇part4:米国ローカルテレビ局の経営(後編)費用と利益水準について ~「データが語る放送のはなし」⑮
米国ローカルテレビ篇part4:米国ローカルテレビ局の経営(後編)費用と利益水準について ~「データが語る放送のはなし」⑮
木村 幹夫

米国ローカルテレビ篇8回目は、いよいよ最終回(の予定......)です。今回はローカルテレビ局の費用と利益について見ていきます。かつて米国のローカルテレビ局(ラジオもそうですが)は、毎期安定して高いキャッシュを生み出すため、投資家にとっては魅力的な業界でしたが、現在はどうなっているのでしょうか? 実

米国ローカルテレビ篇part4:米国ローカルテレビ局の経営(前編) 収入の内訳とその変化 ~「データが語る放送のはなし」⑭
米国ローカルテレビ篇part4:米国ローカルテレビ局の経営(前編) 収入の内訳とその変化 ~「データが語る放送のはなし」⑭
木村 幹夫

米国ローカルテレビ篇もいよいよ最終パートです。今回と次回の2回に分けて米国ローカルテレビ局の経営についてお話しします。日本のローカルテレビは、中期的な売上の低迷により収益性が低下傾向にありますが、米国の場合はどうなのでしょうか? 今回は収入面を中心に紹介し、次回、費用と利益について見ることにします。

NHKはどこに向かうのか<後編>  ~塚田祐之の「続・メディアウォッチ」⑪
NHKはどこに向かうのか<後編> ~塚田祐之の「続・メディアウォッチ」⑪
塚田 祐之

インターネットを軸にメディア環境が激変する中、これからの放送はどんな役割を果たすべきか。いま、何が求められているのか。テレビ放送開始から70年、これまで以上に"テレビの真価"が問われている。山積する課題を前に1月25日、NHKの新しい会長に稲葉延雄氏が就任した。 就任の記者会見で、稲葉新会長は「私の

NHKはどこに向かうのか<前編>  ~塚田祐之の「続・メディアウォッチ」⑩
NHKはどこに向かうのか<前編> ~塚田祐之の「続・メディアウォッチ」⑩
塚田 祐之

NHKの新しい会長に稲葉延雄氏が1月25日に就任する。稲葉氏は日本銀行の理事を務めたあと、リコーの取締役会議長などを歴任した。NHK外部からの会長就任は、2008年以降連続で6人目となる。 今年は、日本でテレビ放送が始まって70年を迎える。1953年2月1日にNHKが、8月28日には民放第1号の日本

米国ローカルテレビ篇part3:米国ローカルテレビ局の番組のはなし(後編)~「データが語る放送のはなし」⑬
米国ローカルテレビ篇part3:米国ローカルテレビ局の番組のはなし(後編)~「データが語る放送のはなし」⑬
木村 幹夫

番組のおはなしの後編です。後編では、米国ローカルテレビの(ほぼ)唯一の自社制作番組であるローカルニュースが、ローカル局の営業や経営にどう貢献しているのかを中心に見て行きます。 ナショナルクライアントへのセールスは外部委託 まずローカルニュースの営業についてお話ししますが、その前に、前回お話ししたネッ

番組の「法律監修」という仕事の意義と役割  実際の仕事内容を可視化してみた~「『現場で活かせる』法律講座シリーズ」⑤
番組の「法律監修」という仕事の意義と役割  実際の仕事内容を可視化してみた~「『現場で活かせる』法律講座シリーズ」⑤
國松 崇

1.はじめに...「法律監修」という仕事があるのを知っていますか? 筆者は一般的な弁護士業の傍ら、しばしばドラマや映画などの「法律監修」を依頼されることがある。コンテンツの「法律監修」という仕事に関しては、これといって明確な定義もなく、また経験者などによって具体的な内容が明かされることも少ない。そこ

米国ローカルテレビ篇part3:米国ローカルテレビ局の番組のはなし(前編)~「データが語る放送のはなし」⑫
米国ローカルテレビ篇part3:米国ローカルテレビ局の番組のはなし(前編)~「データが語る放送のはなし」⑫
木村 幹夫

今回のテーマは、テレビ放送事業のコアである番組です。米国のローカルテレビではどんな番組が放送されているのでしょうか? 前後編の2回に分けておはなしします。 プライムの前と後にローカル枠 まずは日本同様、テレビ視聴最大のボリュームゾーンであるプライムタイム(19-23時)の編成を見てみましょう。図表1

米国ローカルテレビ篇part2:放送局所有会社のはなし~「データが語る放送のはなし」⑪
米国ローカルテレビ篇part2:放送局所有会社のはなし~「データが語る放送のはなし」⑪
木村 幹夫

今回は、前回も触れましたが、米国の放送局所有会社のはなしです。日本にはない業態の会社ですので、ピンとこない部分もあるかも知れませんが、米国のローカル放送を語る際に理解必須の情報ですので、できるだけわかりやすくお話ししたいです(願望......)。 テレビ局所有会社とは? 前回お話したように、米国の場

「予測の敗北」 米中間選挙で「赤い波」はなぜ起きなかったのか~「21世紀メディアはどこへ向かう?」⑦
「予測の敗北」 米中間選挙で「赤い波」はなぜ起きなかったのか~「21世紀メディアはどこへ向かう?」⑦
津山 恵子

タイムズスクエアの大掲示板で、投票を訴える広告(11月6日、筆者撮影) 米中間選挙の投開票が11月8日、実施された。大統領選挙の間の年に4年に一度行われるいわば「総選挙」。バイデン大統領と民主党が上下院の過半数を失い、共和党が大勝する「赤い波(赤は共和党の党色)」が起きると予想されていた。しかし、民

米国ローカルテレビ篇part1:放送エリアのはなし②~「データが語る放送のはなし」⑩
米国ローカルテレビ篇part1:放送エリアのはなし②~「データが語る放送のはなし」⑩
木村 幹夫

放送エリアのはなし②では、エリア内のテレビ局の構成や所有・オペレーションの構造、実態についてご紹介します。日本と似ているところもあれば、かなり様相が異なるところもあります。 放送免許と放送局所有会社の関係は? なお、前回の最後の部分でも少し触れましたが、DMAはケーブルテレビ、衛星放送での地上波再送

"フェイクな時代"  正確な情報をどうつかみ、読み解いていくか ~塚田祐之の「続・メディアウォッチ」⑨
"フェイクな時代"  正確な情報をどうつかみ、読み解いていくか ~塚田祐之の「続・メディアウォッチ」⑨
塚田 祐之

今年もあと1カ月あまり。2022年は長く歴史に刻み込まれる年になるに違いない。2月、ロシアによるウクライナ侵攻が始まった。"プーチンの戦争"と言われるように権威主義的国家のトップが仕掛けた他国への侵攻を、世界は止められないままだ。すでに9カ月近くがたつが事態打開に向けた動きが見えない中で、戦況はさら

テレビ報道を見た子どもたちの反応から見えてくること~「子どもとメディア⑥」
テレビ報道を見た子どもたちの反応から見えてくること~「子どもとメディア⑥」
加藤 理

テレビの報道が子どもたちにもたらしていることについて考えるにあたり、学校での道徳のことから書き始めたい。1958年に特設されて戦後の道徳教育を担ってきた「道徳の時間」は、小学校では2018年度から「特別の教科 道徳」として教科化された。11年の大津の事例をはじめとする数々のいじめ事件や、残忍な少年犯

米国ローカルテレビ篇part1:放送エリアのはなし①~「データが語る放送のはなし」⑨
米国ローカルテレビ篇part1:放送エリアのはなし①~「データが語る放送のはなし」⑨
木村 幹夫

2カ月以上間が空いてしまいましたが、放送のいろいろな側面をデータをもとに見てみる"データが語る放送のはなし"第9回です。今回から何回か連続で米国のローカルテレビに関するデータをご紹介します。パート1である今回のテーマは、"米国ローカルテレビの放送エリア"です。 日本の地上波テレビのエリアについては、

テレビ放送開始70年 いま考えておくべき課題~塚田祐之の「続・メディアウォッチ」⑧
テレビ放送開始70年 いま考えておくべき課題~塚田祐之の「続・メディアウォッチ」⑧
塚田 祐之

日本でテレビ放送が始まって来年で70年を迎える。1953年2月にNHK、8月に民放の日本テレビ放送網が本放送を開始した。私は前年の52年3月の生まれなので、テレビとほぼ同じ時代を歩んできた。 NHKではすでに、テレビ放送開始70年特設サイト「テレビ70」の公開を始めている。70年にわたるNHKのほぼ

"テレビの実力はそんなものではないはずだ"番外編~「データが語る放送のはなし」⑧
"テレビの実力はそんなものではないはずだ"番外編~「データが語る放送のはなし」⑧
木村 幹夫

"テレビの実力はそんなものではないはずだ"は3回で終了......の予定でしたが、まだご紹介できていない重要な発見(?)もありますので、今回は"番外編"と題して紹介することにします。 過去2回(part2とpart3)、「テレビの広告効果に関する研究」第2回調査の結果から、テレビとCGM動画広告につ

テレビは割安な媒体! "テレビの実力はそんなものではないはずだ"part3~「データが語る放送のはなし」⑦
テレビは割安な媒体! "テレビの実力はそんなものではないはずだ"part3~「データが語る放送のはなし」⑦
木村 幹夫

前回の最後で、「広告認知効率の違いこそが、購買ファネル分析における最大のポイント」と申しあげました。実は、接触ではなく広告認知を起点とした場合のスコアは、購買にいたるまで、テレビCMとCGM動画広告の差はほとんどないのです(図表1)。 <図表1. 広告認知を100とした購買ファネル分析> 図表1は、

現在でも巨大なテレビのリーチと高い広告認知効率 "テレビの実力はそんなものではないはずだ"part2~「データが語る放送のはなし」⑥
現在でも巨大なテレビのリーチと高い広告認知効率 "テレビの実力はそんなものではないはずだ"part2~「データが語る放送のはなし」⑥
木村 幹夫

前回予告しましたように、民放連研究所は電通、ビデオリサーチの協力を得て、7月20日に「テレビの広告効果に関する研究 第2回調査報告」を行いました。関連する資料は民放連の公開サイトにまとめてアップしています。今回と次回は、その報告からエッセンスをいくつか抜き出して、この分野に明るくない方にとっても、で

ウェブ上の実名入り事件報道(映像・記事)は許されないのか? 最新の最高裁判例からひもとく放送局への影響 侮辱罪厳罰化のおさらいも~「『現場で活かせる』法律講座シリーズ」④
ウェブ上の実名入り事件報道(映像・記事)は許されないのか? 最新の最高裁判例からひもとく放送局への影響 侮辱罪厳罰化のおさらいも~「『現場で活かせる』法律講座シリーズ」④
國松 崇

自社の番組や取り組みなどをインターネットで紹介したり、事件報道などをインターネットでも配信するなど、いまや放送局にとって、インターネットは切っても切り離すことができない重要なツールになっている。このような状況は、デジタル技術の目覚ましい発展を鑑みれば、今後ますます強まっていくことは間違いない。今年(

ロシアのウクライナ侵攻と「映像の力」~塚田祐之の「続・メディアウォッチ」⑦
ロシアのウクライナ侵攻と「映像の力」~塚田祐之の「続・メディアウォッチ」⑦
塚田 祐之

ロシアによるウクライナ侵攻が始まって4カ月以上が過ぎた。依然として、ウクライナ東部を中心に激しい攻防が続いており、長期化する戦闘で犠牲者の数が増え続けている。ウクライナの国外・国内への避難民も、これまでにあわせて1,500万人以上に上っている(6月21日現在)として、国連難民高等弁務官事務所は緊急の

"テレビの実力はそんなものではないはずだ"part1~「データが語る放送のはなし」⑤
"テレビの実力はそんなものではないはずだ"part1~「データが語る放送のはなし」⑤
木村 幹夫

今回から3回連続で"テレビの実力はそんなものではないはずだ"と題して、最近何かとディスられることも多い(?)テレビの広告効果を、データをもとに可視化してみます。 まずpart1では、おさらいとして、2020年8月に民放連研究所が発表した「テレビの広告効果に関する研究」の報告から、生活者の意識レベルで

なぜテレビを持たないのか?part2~「データが語る放送のはなし」④
なぜテレビを持たないのか?part2~「データが語る放送のはなし」④
木村 幹夫

引き続き"なぜテレビを持たないのか"のpart2です。 前回は、内閣府経済社会総合研究所の「消費動向調査」をもとに、テレビの普及率、保有台数の推移を見ました。今回は私たちの調査結果をもとに、テレビを持たない理由を探ってみます。以前、ここでご紹介したネット配信に関するインターネット調査(国内調査)は、

なぜテレビを持たないのか?part1~「データが語る放送のはなし」③
なぜテレビを持たないのか?part1~「データが語る放送のはなし」③
木村 幹夫

前回からしばらく間が空きましたが、「データが語る放送のはなし」の第3回です。えっ、この連載自体忘れてた? まぁ地味な連載ですから......今回も地味な内容で申しわけありませんが、最近何かと話題になることもある"テレビ離れ"に関連したお話です。 読者の皆さんは"テレビ離れ"というと具体的にどのような

参院選を前に青少年と子どもの目線を大事にした報道について考える~「子どもとメディア⑤」
参院選を前に青少年と子どもの目線を大事にした報道について考える~「子どもとメディア⑤」
加藤 理

2022年4月1日から、成年年齢が20歳から18歳に引き下げられた。今回の民法の改正は、明治時代から今日まで、約140年間変わる事のなかった成年年齢を変える歴史的な出来事だった。すでに公職選挙法の選挙権年齢や憲法改正国民投票の投票年齢は18歳に引き下げられていたが、今回の改正によって、18歳からのク

Netflixが減速、CNN+は1カ月で打ち切り ストリーミングが飽和状態に?~「21世紀メディアはどこへ向かう?」 ⑥
Netflixが減速、CNN+は1カ月で打ち切り ストリーミングが飽和状態に?~「21世紀メディアはどこへ向かう?」 ⑥
津山 恵子

写真:CNN+のFacebookから 「1980年6月に創業者テッド・ターナーがCNNを開局した時以来の最も重要な事業」――。その重大事業であるサブスクリプション・ビデオ・オンデマンド(SVOD)「CNN+」は3月29日(現地時間)に始まった。しかし、わずか1カ月後の4月30日に終了することになった

同時配信・ウクライナ報道 テレビの強みをどう発揮するか~塚田祐之の「続・メディアウォッチ」⑥
同時配信・ウクライナ報道 テレビの強みをどう発揮するか~塚田祐之の「続・メディアウォッチ」⑥
塚田 祐之

戦闘が続くロシアのウクライナ侵攻。そして、3年目に入った新型コロナウイルスの感染拡大。出口が見えない2つの困難を前に、やりきれなさが続く中で、新年度が始まった。それから1カ月が過ぎ、春の番組改編も出そろった。 民放は今回、多くの局でネット視聴を意識したドラマやバラエティなどの番組改編を試みている。民

人口だけじゃない! エリアと収入の関係~「データが語る放送のはなし」 ②
人口だけじゃない! エリアと収入の関係~「データが語る放送のはなし」 ②
木村 幹夫

第2回は「民放のエリアと収入の関係」です。前回は民放のエリア別人口には、べき乗則に従う大きな格差があることをお話ししました。放送エリア別の人口格差は、ミクロに見ればさまざまな要因が働いていますが、ごく大きくマクロで見れば自然の摂理にしたがっているとも言えます。 では、民放局の収入はどうやって決まって

"人口"と民放のエリア~「データが語る放送のはなし」①
"人口"と民放のエリア~「データが語る放送のはなし」①
木村 幹夫

"放送"のデータというと皆さんは何を思い浮かべますか? まずはテレビの視聴率でしょうか? 以前はもっぱら、誰が見ていたかはとりあえずは置いといて、どれだけの世帯が見ていたかを示す世帯視聴率が中心でしたが、現在では誰(と言っても基本的に性年齢までですが)が見ていたかを単位とする個人視聴率が主に用いられ

衝撃的な出来事についての報道の受け止め方とメディアリテラシー~「子どもとメディア④」
衝撃的な出来事についての報道の受け止め方とメディアリテラシー~「子どもとメディア④」
加藤 理

子どもはなぜお化けを怖がるのだろうか。衝撃的な出来事に関する報道を子どもがどう視聴しているか考えるために、お化けと子どもの話から始めたい。 大人からみるとありえないこと、荒唐無稽と思ってしまうことを子どもは「現実」の出来事だと思い込む。特に7歳くらいまでの子どもは、目にしていること、聞いたことは全て

英BBC マードックのドキュメンタリー通じ、世界のメディアへ警鐘~「21世紀メディアはどこへ向かう?」 ⑤
英BBC マードックのドキュメンタリー通じ、世界のメディアへ警鐘~「21世紀メディアはどこへ向かう?」 ⑤
津山 恵子

写真:マードックとトランプ前米大統領(BBC「マードック王国の台頭」ウェブサイトから) 世界的なメディア王、ルパート・マードックは今、どうしているのだろうか。 マードックが日本で「黒船来襲」と呼ばれたのは、1996年と26年も前のこと。彼が率いるメディア大手、ニューズ・コーポレーション(当時)とソフ

開票速報に"新たな発想"を~塚田祐之の「続・メディアウォッチ」⑤
開票速報に"新たな発想"を~塚田祐之の「続・メディアウォッチ」⑤
塚田 祐之

報道に長年携わった者として、"がく然"とした出来事がある。昨年10月31日。岸田政権発足後、すぐに行われた衆議院議員選挙の『開票速報特番』だ。各テレビ局は午後8時に投票が締め切られると、直ちに競って「政党別の獲得予測議席数」を発表。しかし今回、この数字が開票結果から大きく外れていたのだ。 しかも、"

「放送局がSNSとうまく付き合っていくために」後編 実際にどのようにしてトラブルが生じるのか~「『現場で活かせる』法律講座シリーズ」③
「放送局がSNSとうまく付き合っていくために」後編 実際にどのようにしてトラブルが生じるのか~「『現場で活かせる』法律講座シリーズ」③
國松 崇

SNSをめぐるトラブルについて、前編では主なトラブルの種類や内容のポイントについて解説を加えたが、後編ではSNSを使用する場面において、実際にはどのような状況下においてこうしたトラブルが発生するのか、という点について具体的に解説していきたい。また、末尾にSNSに関する最近の裁判例を紹介しているので、

テレビは性の多様性をどのように伝えてきたか~「子どもとメディア」③
テレビは性の多様性をどのように伝えてきたか~「子どもとメディア」③
加藤 理

昨年の「NHK紅白歌合戦」は司会を紅組と白組に分けず、「Colorful~カラフル~」をテーマにしていました。さまざまな色が現れる画面越しに、現代社会の課題である多様性を認め合う社会の実現に思いを馳せた方も多かったと思います。 性の多様性は、レズビアン、ゲイ、バイセクシャル、トランスジェンダーそれぞ

「放送局がSNSとうまく付き合っていくために」 前編 SNS利用時に注意すべきポイント~「『現場で活かせる』法律講座シリーズ」②
「放送局がSNSとうまく付き合っていくために」 前編 SNS利用時に注意すべきポイント~「『現場で活かせる』法律講座シリーズ」②
國松 崇

このデータ(下図)を見れば分かるように、友人とのコミュニケーションから、広く社会に向けた情報発信まで、Twitter、Instagram、TikTok、LINEなどに代表されるSNSは、特に若い世代において今や日常生活に欠かせないツールとなった。これは放送局にとっても例外ではなく、例えば「バズった」

AM、ローカル局ラジオのこれから~塚田祐之の「続・メディアウォッチ」④
AM、ローカル局ラジオのこれから~塚田祐之の「続・メディアウォッチ」④
塚田 祐之

前回の連載では、徳島の四国放送ラジオの番組『JRT 日曜懐メロ大全集』で44年活躍している81歳のラジオ・パーソナリティ、梅津龍太郎さんのラジオと地域にかける思いに焦点をあてた。全国の民放AMラジオ局には、それぞれの地域で長年親しまれているパーソナリティが活躍し、局の"顔"ともいえる番組がある。 2

「フューチャー・オブ・テレビジョン」  新型コロナで変わるライフスタイルにテレビが対応するには~「21世紀メディアはどこへ向かう?」 ④
「フューチャー・オブ・テレビジョン」 新型コロナで変わるライフスタイルにテレビが対応するには~「21世紀メディアはどこへ向かう?」 ④
津山 恵子

Netflixなどサブスクリプション・ビデオ・オンデマンド(SVOD)業界との全面対決となってきたアメリカの放送業界。人々をSVODに向かわせるトレンドを後押ししたのが、新型コロナウイルスの感染拡大による「ステイ・アット・ホーム経済」で、その影響は2022年、3年目に突入した。 SVOD業界との競争

81歳のラジオ・パーソナリティ~塚田祐之の「続・メディアウォッチ」③
81歳のラジオ・パーソナリティ~塚田祐之の「続・メディアウォッチ」③
塚田 祐之

日曜日の午後1時。時報とともに、ラジオからビリー・ヴォーン楽団が演奏する『浪路はるかに』のゆったりとした曲が流れてくる。徳島にある四国放送ラジオ『JRT 日曜懐メロ大全集』、2時間55分の生放送の始まりだ。 この番組のパーソナリティは、梅津龍太郎さん、81歳。昭和52(1977)年に『演歌懐メロ日曜

ジェンダー形成とメディア~「子どもとメディア」②
ジェンダー形成とメディア~「子どもとメディア」②
加藤 理

社会的・文化的に作られた性差を指す「ジェンダー」という言葉は、日本でも広く認知されるようになっています。それにもかかわらず、世界の男女平等ランキングを示す「ジェンダー・ギャップ指数」2021年版で日本は153カ国中120位、G7諸国の中では最下位という結果でした。 この指数は、「ジェンダー間の経済的

「地デジ10年」テレビはどう変わったか~塚田祐之の「続メディアウォッチ」②
「地デジ10年」テレビはどう変わったか~塚田祐之の「続メディアウォッチ」②
塚田 祐之

「7月24日」は何の日かご存じでしょうか。今年は東京2020オリンピックの開会式翌日でした。10年前の2011年7月24日正午、東日本大震災で甚大な被害を受けた東北3県を除いた全国44都道府県で、地上波テレビがアナログ放送を終了。それまでのアナログ受信機では、テレビ放送が見えなくなり、一斉にデジタル

業界地図を塗り替えるOTTサービスとコード・カッティング~「21世紀メディアはどこへ向かう?」 ③
業界地図を塗り替えるOTTサービスとコード・カッティング~「21世紀メディアはどこへ向かう?」 ③
津山 恵子

オーバー・ザ・トップ(OTT)サービス最大手、米ネットフリックス(Netflix)の勢いは、米国から世界に飛び出て、とどまるところを知らない(冒頭の画像はニューヨークのタイムズ・スクエア。かつては、テレビドラマや映画のビルボードが目立ったが、今や地下鉄駅広告まで、OTTによるドラマシリーズの広告が席

番組で使っていいの?? 押さえておきたい「商標登録」の仕組み~「『現場で活かせる』法律講座シリーズ」①
番組で使っていいの?? 押さえておきたい「商標登録」の仕組み~「『現場で活かせる』法律講座シリーズ」①
國松 崇

これまでに筆者は番組の制作・放送に関するさまざまな相談を受けてきたが、その中でも定期的に受ける相談の一つが、「登録商標」の番組内での使用である。たとえば情報番組内のコーナーで「●●」という登録商標をアナウンサーが度々読み上げる場合に「メーカーに許可を取る必要はないか?」あるいは「他の言葉に言い換えた

"隠れたカリキュラム"とメディア~「子どもとメディア」①
"隠れたカリキュラム"とメディア~「子どもとメディア」①
加藤 理

メディアが子どもに与える影響について論じる貴重な機会を与えていただきました。さまざまな角度から子どもとメディアについて考える場にしていきたいと思います。 テレビ・ラジオが子どもに与える影響に対して、社会はとても敏感です。少年犯罪が起こると、メディアの影響ではないかとの指摘がしばしばあがります。198

911の20周年特集にNetflix、AppleTVが参入 「風化」はメディアのせいか~「21世紀メディアはどこへ向かう?」 ②
911の20周年特集にNetflix、AppleTVが参入 「風化」はメディアのせいか~「21世紀メディアはどこへ向かう?」 ②
津山 恵子

今年9月11日、2001年米同時多発テロから20周年を迎えた。 私は、共同通信社ニューヨーク支局の特派員として赴任した2003年から、20周年の今年までほぼ毎年、9月11日には崩壊した世界貿易センター跡だったグラウンドゼロ、そして現在は新しい世界貿易センターに通い続けている。 そして年々、グラウンド

東京オリンピックが遺した"3つのこれから"~塚田祐之の「続メディアウォッチ」①
東京オリンピックが遺した"3つのこれから"~塚田祐之の「続メディアウォッチ」①
塚田祐之

コロナ禍、1年延期、無観客......。異例ずくめの東京2020オリンピックが閉幕した。開催か、中止か、延期か。最後まで世論が大きく割れた中での開催となったが、205の国や地域、そして難民選手団、合わせて約1万1,000人の選手が参加。開会式の入場行進は2時間に及んだ。 新型コロナウイルスの感染拡大

米NBCにとって五輪は旨味があるのか 視聴はストリーミングにシフト~「21世紀メディアはどこへ向かう?」 ①
米NBCにとって五輪は旨味があるのか 視聴はストリーミングにシフト~「21世紀メディアはどこへ向かう?」 ①
津山恵子

東京五輪が8月8日、閉幕した。米国で五輪放送権を独占するネットワークテレビ局NBCにとって、「成績表」はどう出たのか。まず、視聴者数は過去最低だった。しかし、ストリーミング配信の視聴者は激増し、「五輪の新しい視聴方法」への道筋をしっかりと開拓した。しかも、広告主からだけではなく、ストリーミング配信契