オピニオン

持続可能なスポーツ振興のために メディア間での協業システムを
持続可能なスポーツ振興のために メディア間での協業システムを
川喜田 尚

最近、スポーツ中継をめぐる放送のあり方についてある意味の"事件"が続いた。FIFAワールドカップカタール2022・アジア最終予選の日本代表アウェー戦をスポーツ専門の動画配信サービスDAZNが独占配信。ABEMAによる同大会の全試合生中継の発表。4月9日のボクシング村田諒太×ゴロフキン戦のアマゾンプラ

【メディア時評】相互理解のためのメディア・リテラシー 知見の共有・体系化、局越えた連携に課題 BPO青少年委との共同研究から
【メディア時評】相互理解のためのメディア・リテラシー 知見の共有・体系化、局越えた連携に課題 BPO青少年委との共同研究から
飯田 豊

日本マス・コミュニケーション学会は今年1月、「日本メディア学会」に名称変更するとともに、学会規約を大幅に改正した。新聞業界の強い後押しによって、日本新聞学会として設立されたのが1951年。放送学やマス・コミュニケーション研究の隆盛を経て、日本マス・コミュニケーション学会になったのは91年である。この

テレビ報道は感染拡大抑制の一助になり得たのか~「コロナ時代の民放報道研究」③
テレビ報道は感染拡大抑制の一助になり得たのか~「コロナ時代の民放報道研究」③
桶田 敦

2020年春、私が所属する大妻女子大学をはじめとする大学は、新型コロナウイルス(以下、新型コロナ)の感染拡大に翻弄された。当時、私は学科の教務委員をしていたこともあり、新入生に大学での履修方法を教える立場にあった。高校までの履修と異なり、大学では自分で受ける科目を決めなくてはならない。一方で、語学や

震災から11年の「定点観測」 当事者として考えるために
震災から11年の「定点観測」 当事者として考えるために
水島 久光

2022年3月16日の深夜、東日本を大きな揺れが襲った。震源地は福島県沖でマグニチュード7.4、最大震度6強を記録した。内陸では11年の東日本大震災に匹敵する体感であったという人もいる。実際SNSには、めちゃめちゃになった本棚や商品陳列の写真が並び、東北新幹線は一部でおよそひと月不通となった。 この

放送人のメッセージ ひとつでも多くに人に伝えたい 放送界の"外"へ~「コロナ時代の民放報道研究」②
放送人のメッセージ ひとつでも多くに人に伝えたい 放送界の"外"へ~「コロナ時代の民放報道研究」②
本間 謙介

取材・報道の現場で何が起きていたのか、何に悩んでいたのかを知りたい――「コロナ時代の民放報道研究 Ⅱ.民放テレビ・ラジオ実態調査」のうち、テレビ社の報道デスクへのインタビュー調査は、そんな動機から思い立ったものだ。アンケートでは分からない本当の声を残したいと、なるべく言葉を端折らないよう腐心し、それ

未知の事態に悩み、苦労した姿"見えた"~「コロナ時代の民放報道研究」①
未知の事態に悩み、苦労した姿"見えた"~「コロナ時代の民放報道研究」①
本間 謙介

吉田戦車のマンガ「伝染るんです。」に印象的なネタがある。メインキャラクターの一人、「かわうそ君」――某新聞社の広告キャラクターなのが示唆的だ――が、「約束」に代わり「憶測」を売る、というおはなしだ。おじさんが代金を払うと、根も葉もない「憶測」を吹き込むかわうそ君。これを聞いたおじさんが「憶測で物を言

リモートプロダクションの可能性 コスト削減以外にもメリット WOWOWでのリモートプロダクションの様子
リモートプロダクションの可能性 コスト削減以外にもメリット WOWOWでのリモートプロダクションの様子
石村 信太郎

2019年春ごろ、WOWOWでは初めてリモートプロダクションという取り組みを実施した。TBSテレビと共同で開発・運用している低遅延マルチアングル配信アプリ「Live Multi Viewing」を制作に応用できないかと考えたことが始まりである。 ソフトウエア化で遠隔制御が可能に 通常の番組制作で遠隔

【メディア時評】道上氏の45年を引き継いで ABCラジオ"朝の顔"が交代 パーソナリティも働き方改革
【メディア時評】道上氏の45年を引き継いで ABCラジオ"朝の顔"が交代 パーソナリティも働き方改革
森 綾

この3月で45年目となるはずだったABCラジオ「おはようパーソナリティ 道上洋三(どうじょうようぞう)です」。月~金曜朝6時半開始の生ワイド番組は「いつもの朝」という道上のキャッチフレーズとともに、阪神・淡路大震災のときもリスナーの心の支えとなった、同局の金字塔のような番組だ。 しかし昨年9月11日

岡山放送 ゼロバリアに向けての取り組み 海外でも高い評価
岡山放送 ゼロバリアに向けての取り組み 海外でも高い評価
篠田 吉央

バリアフリーに関する世界唯一の国際賞で、「バリアフリー界のアカデミー賞」ともいわれる「ゼロ・プロジェクト・アワード」の受賞が内定してからの社内の動きは非常にスピード感に溢れていました。当社の中静敬一郎社長の号令のもと、社内にコンテンツ戦略プロジェクトが発足。各部署から横断的に集ったメンバーは柔軟な発

国家による自由、国家からの自由(下)
国家による自由、国家からの自由(下)
永原 伸

国家による自由か、国家からの自由か。3つのばらばらの話題に"通奏低音"のように流れる問題を「上」「中」と論じてきた。この回を締めくくりとしたい。 「上」は、(1)衆院憲法審査会による憲法改正国民投票法のCM規制論議について、「中」は、(2)総務省の有識者会議によるデジタル時代の放送制度の在り方に関す

国家による自由、国家からの自由(中)
国家による自由、国家からの自由(中)
永原 伸

「ネット上の言論空間の歪み」は問題だが 国家による自由か、国家からの自由か。3つのばらばらの話題に"通奏低音"のように流れる問題を引き続き論じてみたい。 「上」では、(1)衆院憲法審査会による憲法改正国民投票法のCM規制論議を取り上げた。「中」では、(2)総務省の有識者会議によるデジタル時代の放送制

国家による自由、国家からの自由(上)
国家による自由、国家からの自由(上)
永原 伸

3つの話題に流れる"通奏低音" 国家による自由か、国家からの自由か――。それが問題だ。ハムレットを気取るつもりはないが、最近とみにそう思う場面が増えてきた。 (1)衆院憲法審査会による憲法改正国民投票法のCM規制論議 (2)総務省の有識者会議によるデジタル時代の放送制度の在り方に関する検討 (3)自

SDGsを自分ごとに 放送局の強みを新たな場面で活用
SDGsを自分ごとに 放送局の強みを新たな場面で活用
森永 真弓

日本には昔から「三方よし」と呼ばれる、近江商人の精神があります。自身の利益を追求するだけでなく、相手や社会の幸せも同時に目指し願う考え方です。実はSDGsが提唱された根底にも同じものが流れています。SDGsのコンセプトは「経済価値を至高とするやり方により金と力がごく一部に偏ってしまった社会を終わらせ

【海外メディア最新事情】二極化する米ケーブルニュース局 国民の世論形成に大きな影響
【海外メディア最新事情】二極化する米ケーブルニュース局 国民の世論形成に大きな影響
佐々木 香奈

大きな事件が起こると、米国ではケーブルニュース局が真価を発揮する。新型コロナウイルスが猛威を振るい始めた2020年もそうだった。自宅待機中、情報に飢える国民は1日中テレビのニュースにかじりついた。 そして今、ウクライナでの戦争という大惨事。筆者が住むニューヨーク市にはウクライナ人も多く住んでおり、母

【メディア時評】被写体との信頼関係を築くには 記者は「取材しない」勇気を それを支える経営者の度量
【メディア時評】被写体との信頼関係を築くには 記者は「取材しない」勇気を それを支える経営者の度量
小松 理虔

11回目の「3・11」が終わった。新聞やテレビの震災報道を見ていて感じたことがある。それは「次世代」の登場が目立ったことだ。昨年までは、まさに「直接的に被災したその人」を取り上げたものが多かったが、今年は、被災当時は子どもだった世代や、震災後に生まれた世代にも光が当たっていた印象がある。10年という

【新放送人に向けて2022③】老ジャーナリストからフレッシュな放送人へ
【新放送人に向けて2022③】老ジャーナリストからフレッシュな放送人へ
隈元 信一

いま放送界に飛び込んで、歩き始める。何と幸せなことだろう。私は68歳の老ジャーナリスト。35歳から今日に至るまで、ラジオやテレビの世界を取材してきた。「放送って面白い」と心から思える。番組に励まされたり慰められたりしている人が、いかにたくさんいることか。目の当たりにしてきたのが、私の記者人生だった。

【新放送人に向けて2022②】どんな経験も記者としての糧に
【新放送人に向けて2022②】どんな経験も記者としての糧に
繁澤 かおる

入社以来、10年以上報道部で記者やディレクターを経験してきました。記者としては、これまで、行政や医療・教育を主に担当し、記者としての仕事をしながら、公共キャンペーンCMのプロデューサーやドキュメンタリードラマのディレクターなどを務めてきました。私生活では、2歳の息子を育てる母です。 この春で、社会人

【新放送人に向けて2022①】萎縮しないために放送倫理を学ぼう
【新放送人に向けて2022①】萎縮しないために放送倫理を学ぼう
秋山 浩之

この春、放送業界に仲間入りされる新放送人たちに向けて、先輩からのメッセージなどを連続企画でお届けします。1回目は、放送に関する業務の基本となる放送倫理について、TBSテレビの秋山浩之さんにやさしく説明してもらいました。(編集部) もしあなたが作った番組が原因で誰かが傷ついたとしたら? あなたの良心は

「クレヨンしんちゃん」アニメ放送30周年 常に攻めの姿勢忘れず
「クレヨンしんちゃん」アニメ放送30周年 常に攻めの姿勢忘れず
佐野 敬信

今年で「クレヨンしんちゃん」はテレビアニメ放送開始30周年になります。毎週土曜日の夕方に放送しているテレビ放送以外にも、年に1回公開している映画や雑誌で連載されている漫画などがあり、それらがDVDや配信、コミックスなどになって日本のみならず海を越えて世界中の人に楽しんでいただいています。このように本

【海外メディア最新事情】米大学のスポーツ・ジャーナリズム教育 放送人のキャリア形成に大きな影響 仕事への高い満足感につながる
【海外メディア最新事情】米大学のスポーツ・ジャーナリズム教育 放送人のキャリア形成に大きな影響 仕事への高い満足感につながる
水野 剛也

米国の報道分野で、全国的に成長を見せている数少ない領域の一つがスポーツである。当然、求人も比較的多く、近年はスポーツ報道に特化した科目やカリキュラムを設ける大学が増えている。インターンシップも同様だ。しかし、勢いのある業界ゆえ、参入には厳しい競争が伴う。だからこそ、有望な学生を獲得・育成すべく、大学

【メディア時評】理工系学生と考える「望ましい社会」 男女平等、同性婚は当たり前 テレビドラマも想像の一助に
【メディア時評】理工系学生と考える「望ましい社会」 男女平等、同性婚は当たり前 テレビドラマも想像の一助に
治部 れんげ

2021年4月から理工系の大学で文系教養科目を教えている。私が担当しているのは「未来社会論」と題した授業だ。学年によって、子ども、ジェンダー、企業やリーダーシップなどの切り口を設定し、「望ましい未来の社会」を考える。自分が本気で望む未来について思い描き言語化することは、簡単ではない。年齢を問わず多く

もう誰も傷つかないために 報道は自殺を防止する力をもつ
もう誰も傷つかないために 報道は自殺を防止する力をもつ
髙橋 聡美

2020年、自殺者数がリーマン・ショック後の09年以来11年ぶりに増加した。とりわけ女性と若者の増加が顕著で、前年比で女性が約15%、未成年が約20%の増加であった。未成年女性に至っては約44%の増加となり、リーマン・ショック後とは自殺の実態が明らかに異なっている。コロナ禍の感染への不安や自粛生活な

【海外メディア最新事情】英国 BBC受信許可料廃止で論議 視聴者への価値提供の視点が重要に
【海外メディア最新事情】英国 BBC受信許可料廃止で論議 視聴者への価値提供の視点が重要に
入江 晃史

現在、BBCの受信許可料モデルの将来が英国で論議を呼んでいる。これまでも似たような話は時々報道されていたが、今回は現職閣僚の発言が発端となっており、しばらく論議は続きそうである。 大臣のツイートが契機 同発言は、1月16日にツイッターに投稿された。このツイートは、1月15日付のデイリーメール紙の記事

【メディア時評】ミステリーの"考察ブーム"続く 「犯罪者の更生」と向き合うドラマも 硬派な作品揃う――2021年秋クール
【メディア時評】ミステリーの"考察ブーム"続く 「犯罪者の更生」と向き合うドラマも 硬派な作品揃う――2021年秋クール
成馬 零一

2021年秋(10~12月)クールのドラマは、社会的なテーマをミステリーなど独自の切り口で描こうとする硬派な作品が多かった。 日曜劇場(TBS系日曜21時枠)の「日本沈没―希望のひと」(以下「日本沈没」)はその筆頭だ。本作は日本列島沈没を前にした混乱と選択を描いた壮大な物語。過去に何度もリメイクされ

【海外メディア最新事情】21ー22年米放送界 総括と展望 コロナ禍脱却で広告需要復活へ クロスプラットフォーム測定にも期待
【海外メディア最新事情】21ー22年米放送界 総括と展望 コロナ禍脱却で広告需要復活へ クロスプラットフォーム測定にも期待
渡邉 卓哉

2021年の米広告費は、コロナ禍からの脱却が意識され、広告主が消費に関して強気に転じたこともあり、20年比で大幅に改善した。特にデジタルは大きな伸びを記録し、20年に苦戦したテレビも広告需要が復活。調査会社のeMarketerによれば、春に行われるテレビ広告の一括事前取引であるアップフロントの取引額

メディアは災害報道の「メタ知識」を提供できていたか:COVID-19関連報道の総括に向けて
メディアは災害報道の「メタ知識」を提供できていたか:COVID-19関連報道の総括に向けて
橋本 純次

COVID-19(新型コロナウイルス感染症)は、情報社会のゆがみと、そこで理想的なコミュニケーションを実現することの困難を浮き彫りにした。例えばこれまでの期間、SNSやニュースサイトのコメント欄は負の感情に覆われ、とても冷静な議論ができる状況とはいえなかった。また、公権力と人々の、あるいはマスメディ

【2021年度(第76回)文化庁芸術祭受賞のことば ラジオ部門大賞】RSK山陽放送『塀の中のラジオ~贖罪と更生 岡山刑務所から』 隔絶された世界を伝える
【2021年度(第76回)文化庁芸術祭受賞のことば ラジオ部門大賞】RSK山陽放送『塀の中のラジオ~贖罪と更生 岡山刑務所から』 隔絶された世界を伝える
米澤 秀敏

土曜日の夜9時、岡山刑務所だけで放送されている「受刑者のためのリクエスト番組」が始まる。DJを担当するのも受刑者だ。彼らが聴きたい曲を、添えられたメッセージとともに紹介する30分間は、まさにラジオ番組。消灯後、眠りに就くまでのささやかな癒やしは、1980年から40年以上続く独自の取り組みだ。 主に初

【2021年度(第76回)文化庁芸術祭受賞のことば テレビ・ドキュメンタリー部門大賞】テレビ岩手『たゆたえども沈まず』 震災後10年 人間の慈しみ描く
【2021年度(第76回)文化庁芸術祭受賞のことば テレビ・ドキュメンタリー部門大賞】テレビ岩手『たゆたえども沈まず』 震災後10年 人間の慈しみ描く
遠藤 隆

ローカル局の良さというと、地域に密着した情報や映像をきめ細かく集めることができること。東日本大震災のような大災害に際しては、地元局に加えて系列局の応援も入るので発生当初は膨大な量の映像が集まった。また、その後も日常的に被災地の取材を続けることができた。今回の番組では、テレビ岩手が続けてきた定点観測の

こんな時だからこそCESに行ってみた
こんな時だからこそCESに行ってみた
長井 展光

「世界最大のテクノロジーの祭典」と言われるCES(元々はコンシューマー・エレクトロニクス・ショー)。年初にアメリカ・ラスベガスで20万人近くを集める巨大イベントだが、昨年はコロナ禍でオンライン開催に。今年はオンラインと並行してリアル開催を復活させるというので、プライベートで「エィ、ヤッ!」と行ってみ

盛り上がりに欠くNHKプラスへのニーズ~同時/見逃し視聴サービスの利用意向に関する調査結果⑤
盛り上がりに欠くNHKプラスへのニーズ~同時/見逃し視聴サービスの利用意向に関する調査結果⑤
木村 幹夫

※第1回、第2回、第3回、第4回に続く論考です。 最終回となる今回は、2020年春に民放に先駆けて開始された常時同時配信"NHKプラス"へのニーズを見てみよう。 ご承知のようにNHKプラスでは、NHKの受信契約者を対象として、総合と教育(Eテレ)の番組の大部分がリアルタイムと1週間の見逃し配信のセッ

ローカル局の同時配信へのニーズはキー局以上にある可能性も~同時/見逃し視聴サービスの利用意向に関する調査結果④
ローカル局の同時配信へのニーズはキー局以上にある可能性も~同時/見逃し視聴サービスの利用意向に関する調査結果④
木村 幹夫

※第1回、第2回、第3回に続く論考です。 在京キー局の多くは、2022年春ごろより、プライムタイム限定で全国を対象としたネット同時配信を開始する予定とされている。言うまでもなく、プライムタイムの番組のほとんどはキー局から送られるネットワーク番組であり、全国で同じ時間にほぼ同じ番組が放送されている。従

【「地方の時代」映像祭2021グランプリ】 岡山放送「忘れてはいけないこと~認知症受刑者が問いかけるもの」 塀の中の現実伝える
【「地方の時代」映像祭2021グランプリ】 岡山放送「忘れてはいけないこと~認知症受刑者が問いかけるもの」 塀の中の現実伝える
岸下 恵介

「前へ進め!」。刑務官の威勢のいい声が塀の中に響く。岡山市中心部から車で30分ほど離れた場所にある岡山刑務所。受刑者の数は400人余りだ。初犯で刑期10年以上の男性受刑者が収容されていて、半数以上が無期懲役。人命を奪った生命・身体犯が大半を占める。 岡山放送では2005年に受刑者の過剰収容問題、刑務

同時配信の利用形態~もっぱら自宅で利用、テレビ受像機視聴も多い?~同時/見逃し視聴サービスの利用意向に関する調査結果③
同時配信の利用形態~もっぱら自宅で利用、テレビ受像機視聴も多い?~同時/見逃し視聴サービスの利用意向に関する調査結果③
木村 幹夫

今回は、同時配信がどのような状況でどんなデバイスを使って見られるのかについての調査結果を紹介する。テレビをスマホで視聴可能な同時配信は、もっぱら外出先などで利用されるのだろうか? テレビのない部屋ではスマホ、リビングではテレビで 図表8に"地上波民放テレビの同時配信/見逃し視聴サービスをどのように利

同時配信は"テレビ受像機離れ"に有効か~同時/見逃し視聴サービスの利用意向に関する調査結果②
同時配信は"テレビ受像機離れ"に有効か~同時/見逃し視聴サービスの利用意向に関する調査結果②
木村 幹夫

今回は、本題であるネット同時配信のニーズについて見ていく。なお、前回の冒頭でも触れたように、インターネット調査では、一般的にテレビ視聴時間が長い70代以上が含まれないだけでなく、ネットのヘビーユーザーの含有率が世の中の平均的な水準よりも高くなるため、メディアへの接触・利用に関しては、一般的にネットに

テレビ東京『午後のロードショー』25周年 "素敵な映画体験"を届け続けて 地上波における映画放送の文化を守る
テレビ東京『午後のロードショー』25周年 "素敵な映画体験"を届け続けて 地上波における映画放送の文化を守る
岡本 英一郎

『午後のロードショー』(毎週月~金、13・40~15・40)は、1996年4月1日にスタートし、2021年1月22日に放送5,000回、同年4月1日に放送25周年を迎えることができました。ここまで番組が続いてきたのは、ひとえに『午後のロードショー』をご覧いただいている視聴者の皆さまのおかげです。あら

放送のインターネット同時配信利用のニーズを探る~同時/見逃し視聴サービスの利用意向に関する調査結果①
放送のインターネット同時配信利用のニーズを探る~同時/見逃し視聴サービスの利用意向に関する調査結果①
木村 幹夫

2020年3月、NHKは地上波テレビ放送の常時ネット同時配信サービスと見逃し視聴(キャッチ・アップ)サービスを組み合わせた"NHKプラス"を開始した。それまで日本では、一部の衛星放送の有料チャンネル以外では、インターネット上での放送の常時同時配信は行われていなかった。NHKプラスは日本における初めて

【メディア時評】テレビの黄金時代を担った人たち 橋田壽賀子さん、鴨下信一さんらを悼む
【メディア時評】テレビの黄金時代を担った人たち 橋田壽賀子さん、鴨下信一さんらを悼む
鈴木 嘉一

年の瀬を迎えると、その年に亡くなった人々に思いをはせる。放送界では、文化功労者や文化勲章に選ばれた名脚本家の橋田壽賀子をはじめ、優れた演出家や俳優たちの死が相次いだ。 大正末期に生まれ、「激動の昭和」と平成、令和の4代を生き抜いた橋田は4月4日、95歳で死去した。常に大衆の身近な題材を取り上げ、半世

JNN全28局が"SDGメディア・コンパクト"加盟~全国規模で社会課題の解決を目指す
JNN全28局が"SDGメディア・コンパクト"加盟~全国規模で社会課題の解決を目指す
井上 波

「SDGメディア・コンパクト」は、SDGs(Sustainable Development Goals=持続可能な開発目標)の達成を後押しするうえで「メディアとエンターテインメント業界の果たす役割が不可欠」という認識のもと、国連のグテーレス事務総長が2018年に発足させたイニシアチブ。加盟したメディ

サッカーには放送の力が必要~地元局でのノウハウをサンフレッチェ広島の経営に活かして
サッカーには放送の力が必要~地元局でのノウハウをサンフレッチェ広島の経営に活かして
仙田 信吾

昨年1月、中国放送、RCCフロンティアを卒業して、サンフレッチェ広島社長に就任しました。この年2月23日の開幕戦、難敵鹿島アントラーズをホームに迎え3対0で打ち破り、最高のスタートを切りました。しかし、これがコロナの影響を受けない唯一の試合だったのです。 この開幕戦には、放送で培ったノウハウをつぎ込

日本テレビ「ジェンダーチームプロジェクト」 ジェンダーを身近に話せるメディアに
日本テレビ「ジェンダーチームプロジェクト」 ジェンダーを身近に話せるメディアに
長谷部 真矢

「なんか、モヤモヤするね......」。きっかけは報道フロアでの同僚との何気ない立ち話だった。時は今年2月、東京オリンピック・パラリンピック組織委員会の森喜朗前会長の「わきまえている女性」発言が、私たちの働く日本テレビを含め、あらゆるテレビニュースで連日大きく報道されていた。 私自身、職場で耳にする

【海外メディア最新事情】 メディア・エンタメ分野が矛先に 中国でエスカレートする管理統制 体制維持強化が最大の目的
【海外メディア最新事情】 メディア・エンタメ分野が矛先に 中国でエスカレートする管理統制 体制維持強化が最大の目的
青﨑 智行

3期目突入を確実にした習近平指導部による管理統制強化がエスカレートする一方だ。その矛先はメディア・エンターテインメント分野、とりわけ巨大ネット企業に向けられている。昨年末に独占禁止法の改正・運用強化が宣言され、今年はアリババ、テンセント、バイドゥなど主要ネット企業が巨額の罰金を徴収されたほか、テンセ

【メディア時評】次世代が震災を学ぶ機会に 「3月ジャーナリズム」が抱える課題 テレビが伝えた復興 多角的に検証
【メディア時評】次世代が震災を学ぶ機会に 「3月ジャーナリズム」が抱える課題 テレビが伝えた復興 多角的に検証
笹田 佳宏

東日本大震災から10年、この間にメディア界に新しい言葉が生まれた。「3月ジャーナリズム」である。同じような言葉として、「原爆の日」や「終戦記念日」に合わせるように、戦争や平和についての報道が8月に目立つことを表現した「8月ジャーナリズム」がある。これには、戦争や平和について考える番組や記事が8月に集

メディアとジェンダー:メディア業界におけるジェンダーバランスの現状と改善に向けて
メディアとジェンダー:メディア業界におけるジェンダーバランスの現状と改善に向けて
阿部 るり

2021年は「ジェンダー」をめぐるニュースが大きな注目を浴びた。2月の森喜朗元首相の「女性蔑視発言」に始まり、6月の「LGBT法案」見送り、恒例の「新語・流行語大賞」に「ジェンダー平等」がノミネートされた。 新聞社のデータベースを利用して「ジェンダー」に関連する記事件数の変化を調べてみると、この10

なぜその「問い」への道は塞がれているのか~皇室とメディアの関係はこの国の自画像
なぜその「問い」への道は塞がれているのか~皇室とメディアの関係はこの国の自画像
水島 久光

10月後半のある午後、私は自宅近くのカフェでいつものように原稿書きの仕事をしていた。すると隣の席に、70~80代と思しき3人のご婦人が座った。恐らく一番年長と思われる方が口火を切った。「私はね、絶対だめだと思うの」――それからほぼ1時間、私が席を立つまでずっと同じ話が続いていた。例の「眞子さま」の一

『ウルトラ』と『金妻』を横断する閃き ――飯島敏宏さんを偲んで
『ウルトラ』と『金妻』を横断する閃き ――飯島敏宏さんを偲んで
樋口 尚文

1932年生まれの飯島敏宏(2021年10月17日没、89歳)の生涯は、民放ドラマ史そのものであったと言えるだろう。戦前戦中の多くの子どもたちがそうであったように、飯島は雑誌「少年倶楽部」に描かれる大陸雄飛譚や時代劇のファンタジーに夢中な"軍国少年"であったが、願書を出していた陸軍幼年学校で教育を受

選挙報道のお行儀~選挙報道・特番は視聴者に何を伝えようとしたのか
選挙報道のお行儀~選挙報道・特番は視聴者に何を伝えようとしたのか
山田 健太

2021総選挙が終わって少し落ち込んでいる。理由は結果、ではない。ちなみに自民「完勝」はおおよそ想定どおりで、すでに投開票前に公言していたところだ。傷心の理由は、筆者周辺の学生の投票率の伸び悩みにある。学科名がジャーナリズム学科であることとも関係し、少し口幅ったく言えば「賢い市民」を育てることが使命

【メディア時評】ジャンル多様な音楽家の番組揃う 未来の喋り手にも期待 2021年秋のラジオ新番組
【メディア時評】ジャンル多様な音楽家の番組揃う 未来の喋り手にも期待 2021年秋のラジオ新番組
やきそばかおる

ツイッターやインスタグラムのほか、SNSで動画を公開したり、音声配信アプリで自分の思いを自由に配信できる時代、受け手側も魅力的な人を発掘しやすくなった。今秋は、地域にゆかりのある人が専門分野を活かした番組が続々と登場している。 中でも音楽家の番組が目立つ。今改編に先立って、話題のピアニスト・ハラミち

【メディア時評】ドラマ史変える"怪作"の試み 原作活かした映像化/SNS・配信との融合 「グルメドラマ」が独自の発展――2021年夏クール
【メディア時評】ドラマ史変える"怪作"の試み 原作活かした映像化/SNS・配信との融合 「グルメドラマ」が独自の発展――2021年夏クール
成馬 零一

2021年夏(7~9月)クールのテレビドラマは、東京オリンピック・パラリンピックの開催期間と重なっていたこともあってか、話題作が少なく全体的に低調だった。だが、不作だったかというと決してそんなことはなく、意外な良作・怪作が多かった。 中でも一番楽しめたのが「ハコヅメ~たたかう!交番女子」(日本テレビ

放送史から「放送のローカリティ」を捉え直す
放送史から「放送のローカリティ」を捉え直す
樋口 喜昭

先日、ある学生から、「地元のテレビ局が大好きな友人がいて、将来、そこで働きたいがどうしたらいいかわならないと言っている。先生、一度会ってもらえますか?」との相談を受けた。近年テレビを全く見ないという学生が多いというのに、いったいどんな学生だろうという興味もあって早速会って話を聞いた。 その学生は、子

【海外メディア最新事情】2年ぶりのMIPCOM 仏・カンヌから現地リポート コロナ禍で配信サービスの影響力拡大 オンラインとリアルの共存が今後の課題
【海外メディア最新事情】2年ぶりのMIPCOM 仏・カンヌから現地リポート コロナ禍で配信サービスの影響力拡大 オンラインとリアルの共存が今後の課題
稲木 せつ子

「誰が参加しなかったかを報じるのではなく、成果に注目してほしい」と切り出したのは、世界最大級のコンテンツ見本市・MIPCOMを主催するRXグローバルの新ディレクター、ルーシー・スミス氏だ。今月11日から4日間、仏カンヌで開催された同見本市の総括記者会見での発言である。スミス氏は「5,000人の参加を

「家族の肖像―石井ふく子のホームドラマ」
「家族の肖像―石井ふく子のホームドラマ」
岡室 美奈子

2021年10月11日(月)より22年1月23日(日)まで、早稲田大学演劇博物館において特別展「家族の肖像―石井ふく子のホームドラマ」を開催している。 ホームドラマは、アメリカのシットコム(シチュエーションコメディ)の影響を受けつつも、独自のジャンルとして日本のテレビ史の中で大きな役割を果たしてきた

選挙報道のお作法~現場判断に迷った時のヒント 選挙報道に携わる放送人へ
選挙報道のお作法~現場判断に迷った時のヒント 選挙報道に携わる放送人へ
山田 健太

超・短期決戦の選挙戦が始まった。いつもだと筆者のもとにも選挙取材・報道のための学生アルバイト要請があるのだが、今年はゼロ。コロナ禍の影響もあるだろうが、悠長に「ド素人」を集め説明会を開いて対応するといった、時間的・精神的な余裕がないことも一因ではないかと想像される。もちろん以前よりこの時期に総選挙が

【メディア時評】オリパラとコロナ報道の両立 矛盾に及び腰だったメディア 画づくりや編成に工夫も
【メディア時評】オリパラとコロナ報道の両立 矛盾に及び腰だったメディア 画づくりや編成に工夫も
田中 幹人

6月18日。筆者ら「新型コロナ専門家有志の会」は日本民間放送連盟に「オリンピック・パラリンピックの際の感染対策を涵養する報道様式についての要望書」を送付した。この文書は次のように結ばれていた。 「皆さまにおかれましては、この1年以上のコロナ禍のなかでメディアの皆さんが培ってきた伝えかたの工夫や、これ

【メディア時評】メディアの「強者性」を考える 記者は加害者になっていないか 社会の複雑さと向き合い、耐えて
【メディア時評】メディアの「強者性」を考える 記者は加害者になっていないか 社会の複雑さと向き合い、耐えて
小松 理虔

個人的な体験で恐縮だが、少し前に参加したオンライントーク番組に寄せられたコメントから、メディアの持つ「強者性」について考えてみたい。先日、フリーランスの論者が語り合うイベントに参加した。配信画面のモニターには視聴者からの和やかなコメントが表示されていたのが、突如、思いもよらぬコメントが流れた。「小松

フェイクニュースの生態系に呑み込まれるテレビ
フェイクニュースの生態系に呑み込まれるテレビ
藤代 裕之

フェイクニュースを入手するのはテレビ......。総務省が発行する「令和3年版情報通信白書」に掲載された調査結果は、テレビ業界でほとんど話題になっていないようだ。フェイクニュースはソーシャルメディアの問題として語られることが多いためだろうか。しかしながら、テレビは決してフェイクニュースに無関係ではな

【海外メディア最新事情】放送法制の抜本的改革を 英Ofcom政府に提言 オンラインサービスも射程に
【海外メディア最新事情】放送法制の抜本的改革を 英Ofcom政府に提言 オンラインサービスも射程に
入江 晃史

「わが国の放送事業者は、アナログのルールの下で運営されている間は、デジタル世界で競争をすることができない。(中略)今年秋に、21世紀に適合するような放送の将来に関する白書を提示する。(中略)まずは、競争環境の同等性を確保する必要がある。放送事業者は明らかな格差により、不利な状態で競争している。すべて

【メディア時評】終戦から76年――子どもたちに戦争をどう伝えるか 自分ごととして考える機会に 体験者の声聞ける今こそ放送が大きな役割
【メディア時評】終戦から76年――子どもたちに戦争をどう伝えるか 自分ごととして考える機会に 体験者の声聞ける今こそ放送が大きな役割
加藤 理

8月15日、今年も平和を祈念し、尊い命を戦争によって奪われた方々を慰霊する日が訪れた。各局では、10日ほど前からニュース番組内の特集コーナーを中心に、戦争に関する話題を取り上げていた。終戦から76年の今年は、戦争の記憶が薄らいでいく中、どのように語り伝えていくことができるのか、どのようにすれば視聴者

民放ジャーナリズムの再生に向けて
民放ジャーナリズムの再生に向けて
山腰 修三

民放ジャーナリズムの「危機」が指摘されて久しい。とはいえ、その起源、あるいは原因を特定のものに絞ることは難しい。メディア環境の変化、ライフスタイルの変化、あるいは政治的、経済的文脈など、複雑な諸要因が結びつきつつ徐々に進展してきたと見なすべきである。 ただし、「危機」の進展の背後に存在するいくつかの

災害対策基本法の一部改正に伴う避難情報変更
災害対策基本法の一部改正に伴う避難情報変更
福島隆史

情報の伝え方、呼びかけ方の見直しを  最近、市町村が住民に対して出す避難情報のうち「避難勧告」が廃止されたことは多くの方がご存知と思う。災害対策基本法(災対法)の一部が改正され、今年5月20日に施行されたことによるものだ。「避難勧告」と「避難指示」は災対法が昭和36(1961)年に制定されて以来60