第51回放送文化基金賞決まる エンターテインメントとラジオで民放が最優秀賞に

編集広報部
第51回放送文化基金賞決まる エンターテインメントとラジオで民放が最優秀賞に

放送文化基金が主催する第51回放送文化基金賞が6月6日に発表された。エンターテインメントとラジオの両部門で民放連会員社の番組が最優秀賞を受賞した。同賞は、過去1年間(2024年4月~25年3月)に放送・配信された番組やコンテンツで申請のあったものが対象。


各部門の最優秀賞は以下の4作品。

《ドキュメンタリー》
🎊NHK=NHKスペシャル 調査報道・新世紀 File3 子どもを狙う盗撮・児童ポルノの闇(前編・後編)

《ドラマ》
🎊NHK=連続テレビ小説 虎に翼

《エンターテインメント》
🎊テレビ朝日=題名のない音楽会~山田和樹が育む未来オーケストラの音楽会

《ラジオ》
🎊CBCラジオ=CBCラジオ特集「20年目」

テレビ朝日の『題名のない音楽会~山田和樹が育む未来オーケストラの音楽会』は放送60周年を記念して制作された4回のシリーズ企画で、18歳以下の子どもたちと「未来オーケストラ」を結成し、演奏会の実現までを追った。「長寿番組ながら新たなチャレンジ精神があり、音楽の力とともに子どもたちの未来を感じさせた」と高く評価された。

CBCラジオの『CBCラジオ特集「20年目」』は、無実を訴えながら12年間の服役後に再審無罪が確定した女性の20年を振り返りながら、再審法の問題点を浮き彫りにした。「女性が獄中から両親に送った手紙を本人が朗読しており、その声が痛みを伴って聴く者に迫る。ラジオならではの声の力を感じさせた」ことが受賞の理由。

民放連会員社からはこのほか、熊本朝日放送の『いのち つないで』がドキュメンタリー部門の奨励賞、日本テレビ放送網の『ホットスポット』がドラマ部門の優秀賞、中京テレビ放送の『ヒューマングルメンタリー オモウマい店 能登のずっと明るい寿司親子 2024-2025』がエンターテインメント部門の奨励賞、文化放送の『文化放送開局記念 昭和100年スペシャル「ドンとモーグリとライオンと~やなせたかし 名作前夜」』がラジオ部門の奨励賞をそれぞれ受賞した。配信事業者からはNetflixの『Netflixシリーズ 極悪女王』がドラマ部門奨励賞、AbemaTVの『国境デスロード トランプの壁突破デスロード 前編・後編』がエンターテインメント部門奨励賞を受賞した。

また、4部門の受賞作に携わった個人に贈られる賞は、演技賞を伊藤沙莉さん(『連続テレビ小説 虎に翼』)と角田晃広さん(『ホットスポット』)が受賞。脚本賞はバカリズムさん(『ホットスポット』)、出演者賞は石丸幹二さん(『題名のない音楽会~山田和樹が育む未来オーケストラの音楽会』)と西山美香さん・井戸謙一さん(『CBCラジオ特集「20年目」』)、調査報道賞にひいらぎネット・Tansa(『NHKスペシャル 調査報道・新世紀 File3 子どもを狙う盗撮・児童ポルノの闇(前編・後編)』)が選ばれた。

放送文化部門と放送技術部門は次の4件が受賞した。

《放送文化》※敬称略
🎊手塚孝典(信越放送)=25年にわたる満蒙開拓の証言記録とドキュメンタリー番組の制作
🎊吉崎 健(NHK福岡放送局)=長年にわたる「水俣病」など地域に根差したドキュメンタリー番組の制作
🎊長崎放送=永年にわたる被爆者証言の記録と放送、及び核軍縮に向けての報道
🎊NHK「性暴力」プロジェクト=継続して性暴力被害者の実態を伝え社会の理解を促進

《放送技術》※敬称略
🎊日本テレビコンテンツ開発チーム~3Dスキャンワークフローの簡易化とその活用(日本テレビ放送網)/代表=戸部雄輝、岸楓馬
🎊Live Multi Studio開発チーム~映像伝送ソフトウェア「Live Multi Studio」の開発(TBSテレビ、WOWOW)/代表=藤本剛(TBSテレビ)
🎊VMO開発チーム~VMO(バーチャルマスターオペレーター)の開発(テレビ北海道)/代表=高橋康二
🎊H3ロケット打上げ撮影システム開発チーム~H3ロケット打上げ用超高精細撮影システムの開発(NHK、JAXA、M-Tec JAPAN)/代表=三橋政次(NHK)

また、特別賞を「国際イベントを通してドキュメンタリーの海外展開を牽引」したことで天城靱彦さんとTokyo Docsが受賞した。

贈呈式は7月9日(水)に行われる。受賞一覧等の詳細はこちら(外部サイトに遷移します、以下同)を参照。

放送文化基金はこれに先立つ5月26日に公式ウェブサイトをリニューアルした。同基金が実施・運営する放送文化基金賞、各種助成事業、制作者フォーラムの主な事業の情報に素早くアクセスできる。スマートフォンやタブレットでも快適に利用できるようデザインも工夫。活動報告やインタビュー、コラムなどを随時掲載する「HBF MAGAZINE」のコーナーを新たに設け、拡充していくという。

また、同基金は3月3日からX(旧Twitter)で公式アカウントを開設した。受賞作品や関連情報などを発信するとともに助成や制作者フォーラムなどの活動も随時紹介していく。

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