第50回放送文化基金賞決まる 民放の番組がエンターテインメント部門を独占

編集広報部

放送文化基金が主催する第50回放送文化基金賞が6月6日に発表された。エンターテインメント部門で最優秀賞をはじめ優秀賞、奨励賞を民放の番組が独占した。また、配信事業者から初めてNetflixがドラマ部門に入選した。同賞は、過去1年間(2023年4月~24年3月)に放送・配信された番組やコンテンツが対象。

エンターテインメント部門の最優秀賞はCBCテレビの『歩道・車道バラエティ 道との遭遇』。全国各地の珍しい「道」を紹介するレギュラー番組で、「どんな道にも未知の物語があり、それを紐解くことで人々の暮らしや地域の歴史が見えてくる」と高く評価された。
優秀賞は読売テレビ放送の『るてんのんてる』。同社の若手ディレクター陣が週替わりで渾身の企画を放送する挑戦型のバラエティ企画のうち、理想の人生と現実の人生をフェイクドキュメンタリーの手法で対比した企画が受賞した。

奨励賞は熊本放送の『ななまるテレビ「今日、解決はしないけど。―熊本で生きるわたしたちのテレビー」』と琉球放送の『ラジオの神回テレビで語る』の2本。
「受賞作はすべて民放のローカル局。キー局のまねをしなくても、いいものをつくれることを教えてくれた」と同部門の丹羽美之審査委員長は本誌に語った。

ドキュメンタリー部門で最優秀賞に輝いたのはNHK福岡放送局の『ETV特集「膨張と忘却~理の人が見た原子力政策~」』、優秀賞はテムジン・NHKエデュケーショナル・NHKの『鷹を継ぐもの』がそれぞれ受賞。民放からは沖縄テレビ放送の『OTV報道スペシャル 続・水どぅ宝~PFAS 汚染と闘う!Fight For Life~』が奨励賞となった。

ドラマ部門はNHKエンタープライズ・NHKの『NHKスペシャル シリーズ"宗教2世" 神の子はつぶやく』が最優秀賞。優秀賞はテレビ東京の『初恋、ざらり』に。奨励賞はNetflixの『Netflixシリーズ 忍びの家 House of Ninjas』とTBSテレビ・TBSスパークルの『金曜ドラマ 不適切にもほどがある!』の2作品。Netflixは動画配信事業者から初めての同賞受賞となった。

ラジオ部門では、NHKの『みんなでひきこもりラジオ』が最優秀賞に。RKB毎日放送の『空想労働シリーズ サラリーマン』が優秀賞、ニッポン放送の『星野源のオールナイトニッポン』が奨励賞に輝いた。

ドキュメンタリー、ドラマ、エンターテインメント、ラジオの受賞作に携わった個人に贈られる賞は、演技賞を河合優実さん(『シリーズ"宗教2世" 神の子はつぶやく』)と阿部サダヲさん(『不適切にもほどがある!』)が受賞。映像賞は高倉天地さん(『鷹を継ぐもの』)、企画賞は賀来賢人さん(『忍びの家 House of Ninjas』)と松田望さん(『ななまるテレビ「今日、解決はしないけど。」』)、パーソナリティ賞に栗原望さん(『みんなでひきこもりラジオ』)が選ばれた。

放送文化部門のうち、民放からは「30年にわたる手話を通した「情報バリアフリー」を目指す取組み」で岡山放送の情報アクセシビリティ推進部、「ラジオ講座によるアイヌ語の理解と継承」でSTVラジオの『アイヌ語ラジオ講座』制作チーム、「10年にわたり番組を通じて地域の農業・農家を盛り上げてきた実績」でRSK山陽放送の『笑味ちゃん天気予報』制作スタッフの3組が受賞。

放送技術部門の民放関係は「ボリュメトリックビデオを用いたプロ野球中継」でプロ野球中継高度化検討チーム(日本テレビ放送網、キヤノン、読売新聞東京本社)と、「照明業務支援システムの開発」で照明業務支援システム開発チーム(朝日放送テレビ、パナソニック、森平舞台機構)の2組が受賞した。

また、今回は放送文化基金50周年記念賞として、▷黒柳徹子さん(女優・ユニセフ親善大使)▷相田洋さん(ドキュメンタリスト)▷重延浩さん(テレビマンユニオン会長・ゼネラルディレクター)▷NHK連続テレビ小説制作班▷「かぐや」搭載ハイビジョンカメラ開発グループ及び制作グループ――に贈られる。

贈呈式は7月9日(火)に行われる。受賞一覧等の詳細は放送文化基金のウェブサイトを参照。

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