米大統領選 ハリス×トランプがABCで初討論 6,700万人超が視聴

編集広報部
米大統領選 ハリス×トランプがABCで初討論 6,700万人超が視聴

米大統領選挙の民主党候補カマラ・ハリス米副大統領と共和党候補ドナルド・トランプ前大統領による初の討論会が9月10日、ペンシルベニア州フィラデルフィアの国立憲法センターで行われた。この模様は21時から23時(米東部時間)に主催したABCを含む全17局で生中継され、ニールセンによると17局の総視聴者数は平均6,714万人。6月末にCNNが主催したバイデン×トランプ討論会の5,130万人を大きく上回った。

ただし、これまでの大統領候補者討論会で歴代トップだった2016年のヒラリー・クリントン×ドナルド・トランプによる初回の8,400万人には及ばず、20年のバイデン×トランプによる2回の討論会平均6,805万人にも及ばなかった。

生中継したのはABC、CBS、FOX、NBC、Merit Street、Scripps News、Telemundo、Univision、BET、CNN、CNNe、FOX News、FOX Business、MSNBC、Newsmax、NewsNation、PBS。このうち視聴者数のトップは主催局ABCの1,905万人。過去16年間の討論会中継史上、全ネットワーク中最高の視聴者数だという。加えてABCの親会社ディズニーの配信プラットフォームHuluとDisney+、ABC傘下ローカル局それぞれの配信アプリでの視聴者数が合計740万人。ABCのリニアと配信を合計すると2,640万人に上る。Disney+もサービス開始以来、ライブイベントとしては全米最高の視聴者数となった。局別の平均視聴者数トップ10は以下のとおり。

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今回の討論会で話題となったのが、司会を務めたABCアンカーのデヴィッド・ミューアとリンジー・デイビスによるトランプ氏の発言へのリアルタイムでのファクトチェックだ。たとえば、中絶問題でトランプ氏が「民主党は出産後の中絶を支持している」と発言した直後、デイビスが「新生児を殺すことを合法とする州は米国にはありません」と指摘し、移民問題でトランプ氏が「ハイチ移民が米国民のペットの犬猫を食べていた」と発言すると、ミューアは「そのような事実はない」と返している。多くの視聴者は司会者二人のファクトチェックを賞賛したが、「ハリスの発言をファクトチェックしないのは不公平だ」と批判もあったとウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)が伝えている。

討論会の終了後、WSJはハリス、トランプの両氏と司会者二人の2時間に及ぶやり取りを逐一文書化し、全ての発言についてファクトチェックを行ったものを、ウェブサイトで公開(外部サイトに遷移します)している。

また、今回も前回のCNNと同様、2回のCMブレークを設けた。ABCが他局にサイマルキャストしたのは討論会の様子だけ。ブレークにはそれぞれの局がCMを入れたり、アンカーらによる途中分析を挟んだ。

討論会終了直後に歌手テイラー・スウィフトがSNSでハリス支持を表明するという大きなオマケも。若者層の間でスウィフトの影響力は計り知れないだけに(関連記事はこちら)、民主党にとって今後の選挙活動をさらに勢いづける材料になるとの見方もある。

討論会の終了後、ハリス陣営が2回目の開催を呼びかけているとAxiosが伝えたが、トランプ氏は9月12日にSNSで否定している。保守派ケーブルニュース局のFOX Newsがかねてから名乗りを上げていたが、どうやら実現しないようだ。

ちなみに日本ではNHKが総合テレビと同時配信でABCの中継を生で伝えたが、米国でもNHKコスモメディア アメリカ社(本社ニューヨーク市)の運営で北米とカナダを対象とした邦人向けサービス「Jme」の「NHKワールドプレミアム」チャンネルで討論会の様子が日本語字幕付きで生配信され、現地での関心の高さをうかがわせた。

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