米大統領選CNNテレビ討論 地上波・ケーブル・ネットでも同時中継

編集広報部
米大統領選CNNテレビ討論 地上波・ケーブル・ネットでも同時中継

CNNが主催した米国大統領選のテレビ討論会が6月27日の21時(米東部時間)から約90分にわたって行われた。同局のアトランタスタジオを会場に、CNN以外にも地上波・ケーブルの主要局で同時中継されたほか、CNNはデジタルプラフォットフォームとYouTubeでライブ配信した。この日、MSNBCなどのケーブル局は朝から特番を組み、視聴者からは「まるでお祭り騒ぎだ」。しかし、討論会そのものは「トランプ前大統領が質問に答えず、自分が言いたいことだけをしゃべって終わった」「バイデン現大統領の声が出ていない。言葉に詰まって何を言いたいかわからなかった」と、両陣営ともかなりの酷評を受けた。

翌28日にニールセンが地上波・ケーブルの主要局の視聴者数推計を発表している。これによると、地上波・ケーブルを合わせた平均総視聴者数は5,130万人、広告主が最も重視するターゲットの2554歳は1,0918,000人だった。この推計にはPBS(公共放送サービス)やNewsNation、スペイン語チャンネルのTelemundoニュースなどのデータは入っておらず、最終的な視聴データが待たれるが、視聴状況は概ねこの数字で把握できる。ニールセン推計の内訳、ランキングは以下のとおり。

討論会視聴者数図表.jpg

ネット視聴を加えると
前回の総視聴者数を上回る可能性も

主催したCNNは開局以来最高の視聴者数を上げた。ただし、各局を足した総視聴者数は2020年の同じくバイデンとトランプの両氏による第1回討論会が7,310万人、同2回目は6,290万人と今回の5.130万人を大きく上回っている。討論会で過去最高だったのは16年のヒラリー・クリントン氏とトランプ氏の第1回目で8,400万人。討論会はこれまで11月の選挙前に3回行われ、初回視聴者数が最も多い。今年は討論会の開催自体が危ぶまれたこともあり、例外的に2回の開催となった。例年なら2回目は1回目より視聴者数が減るが、今年はバイデン大統領の初回パフォーマンスが予想以上に精彩を欠いたこともあり、2回目の視聴者数が1回目を上回る可能性もある。

さらに今年は、リニア以外にCNNはデジタルプラットフォームとYouTubeでもライブ配信し、合わせて3,000万人が視聴したという。これは記録的な数字で、ほかにもニュース配信サービス「Local Now」のTheGRIO-TVチャンネルなどの視聴者数を加えると、クロスプラットフォームでの最終的な視聴者数は20年を超えることも見込まれる。詳細なデータが待たれる。

今年の討論会は全てにイレギュラー。これまでは非営利・超党派の大統領候補討論会委員会(CPDCommission on Presidential Debates)が運営・主催していたが、今年はCPDが一切関与せず、テレビ局と候補者2人の直接交渉で5月半ばに開催が電撃決定した。 その際、バイデン陣営はテレビ局に条件を提示。テレビ局のスタジオで観客やその他の候補者を入れず、バイデンとトランプの両氏と司会者のみで行うこと。そして、与えられた発言時間が経過した時点でマイクをオフにすること。この条件をのむのか注目されたトランプ氏はルールを守り、予想以上のパフォーマンスをしたと言える。

両党とも正式な候補者を指名していない6月に1回目を開催するのも異例だ。バイデン陣営から提示されたものだが、早期に有権者に決断材料を与えたいとの意図があった。しかし、それに反してバイデン大統領は高齢であることや健康上の不安といった弱点を露呈し、討論会を終えると各方面から酷評された。ニューヨーク・タイムズ紙ほか米有力メディアがこぞって「立候補を辞退せよ」と報じたほどだ。バイデン大統領の進退、トランプ氏の性犯罪裁判の判決など注目要素には事欠かない。

2回のCMブレークに出稿が殺到

CPDの運営下には討論会の中継中に広告は入らなかった。しかし、今回は主催局のCNNが2回のCMブレークを入れると事前に発表し、3分30秒のCM枠が21時50分と22時30分(米東部時間)の2回設定された。アドウィーク誌によると、この2枠に広告出稿が殺到したという。それぞれ11のスポンサー・ブランドが出稿した(同時放送した地上波やケーブル局はそれぞれ独自の判断でCM枠を埋めた模様だ)。

 【21時50分枠のCM(全11銘柄)】
・GoTurkiye.com:トルコ公式観光サイト
・The Daily Show:コメディ・セントラルのトークショー
・Stand Up to Jewish Hate:ユダヤ人種差別と戦う財団
・Saatva Classic Mattress:マットレスのブランド
・Ro:ヘルスケア企業
・Oura:フィンランドのヘルステクノロジー企業
・Indeed.com:求職サイト
・Audible:Amazonのオーディオブック
・ClearChoice(その1):歯科インプラントセンター
・Iberogast:ドイツの製薬会社Bayerの整腸剤
・DoorDash:食品のデリバリー

【22時30分枠のCM(全11銘柄)】
・5 Things:WBDの配信サービスMAXのフランチャイズ
・Viking Cruises:スイスのクルーズ会社
・Hard Knocks: WBDのMAXで7月から始まるアメフト中継
・The American Edge Project: AIにおける米国の重要性を訴えるロビー団体
・HCMRealTalk.com:バイオ製薬会社Bristol-Myers Squibbの心筋症情報サイト
・Zip Recruiter:求人サイト
・Booking.com:旅行予約サイト
・Clif Bar:エナジーバー
・Sketchers:シューズブランドのスリップオンスニーカー
・ClearChoice(その2):歯科インプラントセンター
・Magic: The Gathering:カードゲーム「Wizards of the Coast」の新作

2回目の討論会は9月10日にABCが主催し、生中継することになっている(時間は未定)。

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